「うちがステージ!」

うちがステージ! Vol.2 [バックナンバー]

“今”読みたい別役実戯曲3選

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新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛を余儀なくされ、劇場へ足を運ぶことが難しい状況が続いている。本連載「うちがステージ!」では、公演の再開を待つ間も劇場にいる気分が味わえるような提案を、毎回異なるテーマでお届けする。

第2回では、今年3月に死去した劇作家・別役実にフィーチャー。144本にものぼる別役戯曲から、“今”読みたい戯曲を、小野寺修二カンパニーデラシネラ)、ケラリーノ・サンドロヴィッチナイロン100℃)、中野成樹中野成樹+フランケンズ)、ふじきみつ彦に、それぞれの視点から紹介してもらった。

小野寺修二(カンパニーデラシネラ)

小野寺修二(撮影:鈴木穣蔵)

小野寺修二(撮影:鈴木穣蔵)

“今”読みたい別役実戯曲3選

・「会議」
・「日々の暮し方」
・「魔女とたまごとお月様」

コメント

自分が舞台で関わった3作を挙げます(「日々の暮し方」は戯曲でなくエッセイを翻案)。思いがけない視点から、いつの間にか人間について考えることになっていくのが面白い。先が見えないときや変化を求めるとき、違う角度があるのだと、その袋小路すら疑えるのだと、背中を押してもらえる気がします。回り道オーライもっと自由に、慌てず未知なものの存在を恐れず、結果を受け止める。今、新たな視点を持つ意味でも読み返したいと思いました。

プロフィール

1966年北海道出身。演出家。日本マイム研究所にてマイムを学ぶ。1995年から2006年まで、パフォーマンスシアター水と油で活動。その後、文化庁新進芸術家海外研修制度研修員として1年間フランスに滞在し、帰国後、カンパニーデラシネラを立ち上げる。2009年に第3回日本ダンスフォーラム賞、2011年に第18回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞。9月から12月までカンパニーデラシネラ「ドン・キホーテ」山口・宮崎・神奈川公演、11月には神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで新作公演、2021年2月には恩田陸の小説を原作とした「木洩れ日に泳ぐ魚」の公演を控えている。

カンパニーデラシネラ - 小野寺修二・主宰
小野寺修二 (@derashinera) | Twitter
カンパニーデラシネラ | Facebook

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

ケラリーノ・サンドロヴィッチ

“今”読みたい別役実戯曲3選

・「受付」
・「病気」
・「夕空はれてーよくかきくうきゃくー」

コメント

悩みに悩んだ挙句、結局過去に演出させてもらった作品から選出。
別役さんの戯曲はどれも素晴らしいけれど、1980年代に書かれたものが喜劇としての純度が高く、ともかく笑える。読み方を間違えるとくどいだけに感じる危険も孕んでいるけれど。
仮定がいつの間にか決定事項にされてゆく詐術の見事さ。論理的健忘症とでも呼ぶべき人々に振り回される三作三様の「男1」。誰にも真似のできない(私ゃ必死に真似してますが)至高の作劇を楽しんでいただきたい。

プロフィール

1963年東京都出身。劇作家・演出家・映画監督・音楽家。1982年にニューウェイヴバンド・有頂天を結成。1985年に劇団健康を旗揚げし、1992年に解散。1993年にナイロン100℃を始動させる。1999年に「フローズン・ビーチ」で第43回岸田國士戯曲賞を受賞、2018年秋に紫綬褒章を受章。KERA・MAPなどのユニットも主宰するほか、外部プロデュース公演も多数手がけている。6月18日には、自選戯曲集が早川書房から出版される。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) | Twitter
ケラリーノ・サンドロヴィッチ|株式会社キューブ オフィシャルサイト
ケラリーノ・サンドロヴィッチ自選戯曲集1──ナイロン100℃篇 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
ケラリーノ・サンドロヴィッチ自選戯曲集2──昭和三部作篇 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン

中野成樹(中野成樹+フランケンズ)

中野成樹(Photo by kazue kawase)

中野成樹(Photo by kazue kawase)

“今”読みたい別役実戯曲3選

・「数字で書かれた物語」
・「マザー・マザー・マザー」
・「太郎の屋根に雪降りつむ」

コメント

選んでみました。「数字で書かれた物語」は、日蓮会という宗教団体の青年たちが結成した「死のう団」にまつわるもので、「マザー・マザー・マザー」は「人民寺院」というアメリカのカルトをもとにしたもの。「太郎の屋根に雪降りつむ」は「二・二六事件」についてのもので、3本に含まれているキーワードは、「信仰」と「青年」ですかね。うまく言えませんが、そこにある「自主的な発熱」のようなものをいま欲しているのかな、とか。

プロフィール

1973年東京都出身。演出家、日本大学芸術学部演劇学科准教授。2003年に中野成樹+フランケンズを結成。劇団では、海外古典戯曲や日本の近代戯曲を、現代日本の価値観と身体に即し、誤訳と意訳を織り交ぜ再解釈する“誤意訳”の手法で立ち上げている。舞台上演のほか、劇場の外で演劇的なイベントを実施する外の刺激+フランケンズとして、商店街でのドラマリーディングや、路上・電車内での「みえない演劇」などの活動を行っている。

NakaFra | 一般社団法人なかふら/中野成樹+フランケンズ
中野成樹+フランケンズ (@NakaFra) | Twitter

ふじきみつ彦

ふじきみつ彦

ふじきみつ彦

“今”読みたい別役実戯曲3選

・「死体がひとつ」
・「受付」
・「ポンコツ車と五人の紳士」

コメント

詳細は省きますが、僕は6年間、新宿区役所横のルノアールの2階で毎月、別役先生にコントの指南を受けていました。僕にとって別役実は不条理劇ではなく、コントと笑いの師匠です。先生は笑いが重要だといつも言っていました。ですので、コントおよび笑いの戯曲を3つ。特に「死体がひとつ」はこれぞ別役実のコントだなと。先生が初めて書いたコントは死体ものだそうですし、僕が先生に初めて見ていただいたコントは死体ものでした。

プロフィール

1974年神奈川県出身。劇作家・脚本家。広告代理店勤務を経て、2005年から作家活動を開始する。山内ケンジと共に構成・演出を手がけた山内雅子プロデュース「灼熱の巴里」「巴里の4月」、「シティボーイズミックス」「muro式.」や演劇ユニット・切実への脚本提供に加え、NHK Eテレ「みいつけた!」や現在放送中のテレビドラマ「きょうの猫村さん」の脚本を担当。また、6月26日に公開を控える映画「子供はわかってあげない」の脚本を、監督の沖田修一と共に手がけている。

ふじきみつ彦 - mitsuhiko fujiki
ふじきみつ彦 (@fujikimitsuhiko) | Twitter

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