高橋幸宏還暦ライブ、豪華客演陣と3時間半越え33曲披露

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12月22日、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて高橋幸宏の還暦記念ライブ「高橋幸宏 60th Anniversary Live」が実施された。

「高橋幸宏 60th Anniversary Live」の様子。

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「高橋幸宏 60th Anniversary Live」の様子。

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「高橋幸宏 60th Anniversary Live」の様子。高橋幸宏(手前)、細野晴臣(奥)。

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「高橋幸宏 60th Anniversary Live」の様子。鈴木慶一(手前)、高橋幸宏(奥)。

「高橋幸宏 60th Anniversary Live」の様子。鈴木慶一(手前)、高橋幸宏(奥)。

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8月に音楽ガイドブック「心に訊(き)く音楽、心に効く音楽 -私的名曲ガイドブックー」とトリビュートアルバム「RED DIAMOND ~Tribute to Yukihiro Takahashi~」を発売するなど、2012年は還暦を記念した話題が相次いだ幸宏。「高橋幸宏 60th Anniversary Live」はそんな“還暦イヤー”の総まとめになることが予告されており、当日の会場には多くのファンが詰めかけた。さらに同公演には、バンドメンバーとして小山田圭吾(G)、白根賢一(Dr)、高桑圭(B)、高田漣(G, Pedal Steel)、高野寛(G)、堀江博久(K)、権藤知彦(Programming、Euphonium、他)、小原礼(B)、Dr. kyOn(K)、矢口博康(Sax)、徳武弘文(G)といった名うてのミュージシャンたちに加え、スティーヴ・ジャンセン(Dr、Vo、他)、細野晴臣(G, Vo)、原田知世(Vo)、鈴木慶一(G, Vo)ら縁深いアーティストたちが参加し、訪れた観客はこの豪華な競演を存分に味わった。

公演は18:30にスタート。ステージ上のディスプレイが幸宏の音楽史を振り返るような映像を映し出し、本編の幕開けを告げた。映像が終わると小山田、堀江、白根、高桑、高田、権藤にコーラスを加えた編成のバンドが「世界中が I love you」のイントロを繰り出す。その後ステージ中央に幸宏が現れると、幸宏を祝福するような拍手が会場中に響いた。小山田のギターカッティングと高田の流麗なペダルスチールが浮遊感を生み出すこの楽曲を幸宏は優雅に歌うと、間髪入れずに82年発表の「WHAT, ME WORRY?」に収録される「It's Gonna Work Out」、80年リリースの「Murdered By The Music」を演奏。冒頭から振り幅の広いセットリストを披露し、このライブが幸宏の音楽史を振り返るようなものになることを改めて観客に示した。

「Murdered By The Music」が終わると、この日初めてのMCタイムへ。幸宏は開場ギリギリまでリハをやっていたこと、リハで腰を痛めたことなどを話し場内を和ませる。そしてBUZZの東郷昌和を最初のゲストとしてステージに呼び込み、2人が幼なじみであることを紹介した。その後東郷がコーラスを担当した「Radioactivist」では、和やかなMCの雰囲気から一転し、スタイリッシュなニューウェーブサウンドで会場を沸かせた。さらに「Drip Dry Eyes」を挟んで演奏されたのは、鈴木慶一とのユニットTHE BEATNIKSでリリースした「Now and Then」。打ち込みによるトラックががアブストラクトな音世界を生み出す中、幸宏とともに歌声を響かせたのはスティーヴ・ジャンセンだ。ダークで美しいこの楽曲を2人で歌い終えると、幸宏はスティーヴをあらためて観客に紹介。この盟友の登場に、観衆は大きな声で喜びを表現した。幸宏は「“スティーヴがいるからこの曲やるだろう”と思っている人も多いと思うので、それやります」と言って「Stay Close」の演奏を開始。序盤は幸宏とスティーヴがボーカルを担当し、タイトでファンキーな演奏とコントラストを描くように淡々と歌い上げていく。そして矢口のサックスソロをきっかけに、幸宏とスティーヴの2人はそれぞれ各自のドラムセットまで移動。白根、高橋、スティーヴのトリプルドラムでぶ厚いグルーヴを轟かせ、混沌とした楽曲の魅力を力強く引き出す。序盤のハイライトとなった「Stay Close」の熱も冷めやらぬうち、バックバンドはスティーヴ、小原、徳武、Dr. kyOn、矢口、権藤、高野という編成に。幸宏が「年上チーム」と名付けたこのメンバーでは2006年発表の「STILL WALKING TO THE BEAT」から始まり、83年発売の「My Bright Tomorrow」「前兆(まえぶれ)」、84年リリースの「THE PRICE TO PAY」など、アダルトな雰囲気を醸す楽曲を披露。観客は思い思いに体を動かしながら、一流ミュージシャンたちのシュアーな演奏を楽しんだ。

ライブが中盤に差しかかったところで、幸宏はステージに原田を呼び込んでpupaの時間がスタート。「またアルバム作りたいね」などMCをした後、シーケンスの揺れとシンセの音色が心地良い「At Dawn」「Laika」を演奏し、会場を温かな雰囲気で包み込む。さらにMCで幸宏は、「次に演奏する曲は、アニバーサリーアルバム収録のため自分に秘密で制作が行われていた」と明かす。その音源をイギリス・ロンドンに滞在している際に聴き、涙が出るほど嬉しかったと打ち明けて「元気ならうれしいね」のpupaバージョンを演奏。“元気ならうれしいね”と繰り返すサビを口ずさんでいる観客も数多く見受けられた。

pupaでの演奏を終えると、再び白根、高桑、小山田、堀江、高田、権藤の編成で「Blue Moon Blue」「The Words」「In This Life」をパフォーマンスし前半終了。その後休憩を挟み後半戦が開始された。後半は細野晴臣と幸宏のユニット・SKETCH SHOWのステージからスタートした。細野がステージに現れると、ひときわ大きな拍手が会場に響く。細野と幸宏は、YMOで唯一今回のライブ不参加となった坂本龍一いじりを中心にトークを展開し客席を沸かせ、演奏では細野のアコースティックギターとエレクトロニカが絶妙に解け合う「Chronograph」「Stella」やアンビエントな雰囲気が魅力の「Ekot」をパフォーマンス。ファンは久々のSKETCH SHOWのライブを堪能していた。細野の演奏の次に登壇したゲストは鈴木慶一。MCで鈴木は「THE BEATNIKSでの僕の立ち位置はpupaでいう知世ちゃん」「ブラックpupaです」といった“慶一節”を連発する。それに対して1歳年下の幸宏がつっこむという掛け合いで観衆の爆笑を誘いながら、2人のユニットTHE BEATNIKSの「ちょっとツラインダ」、2人の共作曲「1%の関係」、BUZZの小出博志をステージに招き美しいサビ美しいメロディを届けた「X'mas Day In The Next Life」など計5曲を熱演。息の合ったパフォーマンスを見せつけた。

鈴木がステージから去るといよいよ祭りも終盤。81年発表のアルバム「NEUROMANTIC」から「Glass / ガラス」「Something In The Air / 予感」を立て続けに演奏し、最後は85年の楽曲「今日の空」を披露。楽曲同様に爽やかな雰囲気で本編の幕が下ろされた。本編だけで29曲という大ボリュームにも関わらず、暗転後即座に客席からアンコールを求める手拍子が発生。手拍子は時間とともに大きくなり、幸宏が再びステージに姿を表すと手拍子は大きな喝采に変わる。アンコールで幸宏は「Set Sail」「Prayer Of Gold」の2曲を演奏。幸宏はバンドが生み出すゆったりとしたグルーヴに身を任せるように歌い、しっとりとした時間を作り上げていく。さらにダブルアンコールのMCで幸宏は「1stアルバムからの曲をやります……月日が経つのは早いもので、もう35年前の曲になるんですね」と伝える。またアルバム制作時に坂本龍一と機材を駆使して曲を作り上げたことや、ピエール・バルーのこと、フランス・パリでのPV撮影など、1stアルバムにまつわるさまざまな思い出を語ると「その楽曲をこんなメンバーでやれるのが幸せです」と続け、1stアルバム「Saravah!」から「Sunset」「Saravah!」を演奏した。「Sunset」ではアダルトオリエンテッドなメロディとシーケンスで静かなグルーヴを作り上げ、「Saravah!」では高野が奏でるボッサ風のギターの調べが幸宏の歌声に寄り添う。ファンはこのプレゼントに酔いしれていた。

演奏を終えると、ライブの余韻を残したまま出演者全員がステージに登場し挨拶。観客は改めて幸宏の還暦を祝うように大喝采で応えていた。出演者がステージから姿を消したあとは、ステージ上のディスプレイに全出演者をクレジットしたエンドロール風の映像が流れる演出が。幸宏と各出演者が一緒に写る写真が名前とともに掲載されるこの映像を、観衆は終演を惜しむように静かに眺める。そして映像の最後に幸宏の写真とともに「Thank You!」のメッセージが映し出され、3時間半を越えるコンサートと幸宏のアニバーサリーイヤーが締めくくられた。

高橋幸宏 60th Anniversary Live
2012年12月22日 東京都 Bunkamuraオーチャードホール セットリスト

01. 世界中が I love you
02. It's Gonna Work Out
03. Murdered By The Music
04. Radioactivist
05. Drip Dry Eyes
06. Now And Then
07. Stay Close
08. Still Walking To The Beat
09. My Bright Tomorrow
10. Disposable Love
11. 前兆(まえぶれ)
12. The Price To Pay
13. At Dawn
14. Laika
15. 元気ならうれしいね
16. Blue Moon Blue
17. The Words
18. In This Life
19. Chronograph
20. Stella
21. Ekot
22. Inevitable
23. Left Bank
24. ちょっとツラインダ
25. 1%の関係
26. X'mas Day In The Next Life
27. Glass / ガラス
28. Something In The Air / 予感
29. 今日の空
<アンコール>
30. Set Sail
31. Prayer Of Gold
<ダブルアンコール>
32. Sunset
33. Saravah!

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