PEDRO念願の日比谷野音ライブ、新曲＆「透明少女」カバー含む25曲を披露

アユニ・D率いるPEDROが、8月11日に東京・日比谷公園大音楽堂（日比谷野音）でワンマンライブ「PEDRO Special One-Man Show『ちっぽけな夜明け』」を開催。新曲やカバーを含む全25曲を披露し、小雨混じり曇天の野音を熱気で包んだ。

PEDROは、アユニ・D（B, Vo）、田渕ひさ子（G / toddle、KERA & Broken Flowers、bloodthirsty butchers、ex. NUMBER GIRL）、ゆーまお（Dr / ヒトリエ）で活動中の3ピースバンドで、2018年に始動してから今年で7周年を迎える。日比谷野音はアユニにとって特別な場所。2016年のBiSH加入後初ツアーのファイナルで立ったステージであり、かねてより「PEDROとして必ず立ちたい」と願っていた。会場が再整備工事で10月から使用休止となることが決まっている中、最後の機会をつかみ、晴れて本公演が開催されるはこびとなった。なお「ちっぽけな夜明け」の告知ビジュアルは、黒を基調としたバンド始動時のものによく似たデザインとなっていた。

この日は断続的に雨が降っていたが、開演時間は曇天ながらも雨は降らず。会場を囲むように生える木々から蝉がせわしなく鳴く声が聞こえる中、 PEDROがステージに登場。ほぼ無風で湿気が体にまとわりつく重たい空気を切り裂き、「NIGHT NIGHT」でライブをスタートさせた。アユニは黒髪ボブ、オレンジのリップ、墨色のビッグシルエットTシャツ、膝が見える短パン、白い靴下にローファーというスタイルで、少年のようでもあり、少女のようでもある雰囲気。構えるベースはPEDRO初ライブから愛用するMUSICMAN StingRayのステルスブラックモデルだ。

PEDROのストイックなライブを体現しているかのように、MCはほぼなく、次々と楽曲が披露された。ライブ前半では日比谷野音のロケーションにぴったりの「日常に混ざる蝉時雨がとても愛しいです」という歌詞がある「夏」や、生きる希望とあきらめない決意を歌った「感傷謳歌」といった楽曲が並び、生活に溶け込むようなアユニらしいワードセンスが野音にも溶け込んだ。

「ずっと立ちたかった舞台なので、今日は楽しみにしてました。今日来てもらってよかったなって思ってもらえるように、幼稚な言葉で申し訳ないんですけど、一生懸命がんばります。よろしくお願いします」というアユニの言葉に続いて、PEDROが「ラブリーベイビー」を披露すると、観客の歓声が響き、会場全体が一体感に包まれた。日が沈み、ステージのカラフルな照明が映える中、アユニはまるで踊るかのように、軽やかに笑顔でベースを弾いた。さらに7月に配信リリースされたアニメ「渡くんの××が崩壊寸前」のエンディングテーマ「愛愛愛愛愛」が軽快に響き、観客の手拍子が重なる。続いて「EDGE OF NINETEEN」「万々歳」と攻撃的なナンバーが続き、田渕の爆音ギターとゆーまおの力強いビートが会場を揺さぶった。

「吸って、吐いて」の演奏が始まり、アユニは「自分のことなんかいくつになっても好きになれなくて、いつも人のマネごとばかりして外ではいい顔して。本当の気持ちを伝えるのが怖くて」「でも情熱が嘘だったことなんて一度もない。だから私はもっとここでできんだろって！ もっとここで歌えんだろ！」と思いを吐露。汗だくの彼女は、鋭い眼差しで渾身の歌声を響かせた。さらにオルタナティブロックの激しいサウンドが鳴り響く「グリーンハイツ」でアユニは、「昔のほうがよかったですか？ ナメんじゃねえよ！」と歌詞を変えて絶叫し、感情を爆発させた。ライブ終盤には演奏中の激しさから一転して、「これからも私は音楽を続けていくので、また来たいと思ったら遊びに来てください」と静かに語った。すっかり暗闇があたりを包む日比谷野音。蝉の声はすっかり聞こえなくなり、夜の虫の音がより一層、静寂を際立たせた。

アンコールではまず田渕、ゆーまおが定位置に着き、少し遅れてステージに再登場したアユニが、バックドロップを自らはがす。するとその奥から新しいバックドロップが。そこには天使の羽と鹿のような角を持ち、カラフルなヘビを肩にかけたアユニのイラストが描かれていた。そんな新ビジュアルをバックに、PEDROは新曲「1999」を披露。アユニは「9月10日にミニアルバムを出します」と新作のリリースを告知した。アンコールでは新作「ちっぽけな夜明け」に収録される全6曲が初披露された。「いたいのとんでけ」でアユニはベースを置き、ハンドマイクでステージを闊歩。そしてライブは新作の表題曲となる「ちっぽけな夜明け」で幕を下ろした。

終演後、観客が席から離れ出したタイミングで、まさかのダブルアンコールが始まった。PEDROは夏に思い残すことがないようにという思いから、NUMBER GIRL「透明少女」のカバーを投下。日比谷野音での一夜は、鮮烈な余韻を残して終わった。

セットリスト

「PEDRO Special One-Man Show『ちっぽけな夜明け』」2025年8月11日 日比谷公園大音楽堂（日比谷野音）

01. NIGHT NIGHT
02. GALILEO
03. 夏
04. 東京
05. 感傷謳歌
06. 生活革命
07. ラブリーベイビー
08. 音楽
09. 祝祭
10. 愛愛愛愛愛
11. EDGE OF NINETEEN
12. 万々歳
13. 吸って、吐いて
14. グリーンハイツ
15. hope
16. 春夏秋冬
17. 雪の街
18. アンチ生活
＜アンコール＞
19. 1999
20. ZAWAMEKI IN MY HEART
21. 拝啓、僕へ
22. 朝4時の革命
23. いたいのとんでけ
24. ちっぽけな夜明け
＜アンコール2＞
25. 透明少女（NUMBER GIRLカバー）

PEDRO TOUR 2025「I am PEDRO TOUR」

2025年10月5日（日）静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2025年10月6日（月）兵庫県 Harbor Studio
2025年10月10日（金）広島県 LIVE VANQUISH
2025年10月15日（水）北海道 CASINO DRIVE
2025年10月16日（木）北海道 札幌PENNY LANE24
2025年10月24日（金）東京都 Zepp Shinjuku（TOKYO）
2025年11月4日（火）宮城県 darwin
2025年11月5日（水）青森県 青森Quarter
2025年11月11日（火）鹿児島県 CAPARVO HALL
2025年11月12日（水）熊本県 熊本B.9 V1
2025年11月13日（木）福岡県 DRUM Be-1
2025年11月20日（木）高知県 X-pt.
2025年11月21日（金）香川県 DIME
2025年11月26日（水）新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2025年11月27日（木）石川県 Kanazawa AZ
2025年12月3日（水）埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2025年12月9日（火）神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2025年12月12日（金）愛知県 THE BOTTOM LINE
2025年12月14日（日）大阪府 GORILLA HALL OSAKA