蓮沼執太フィルが2年ぶりブルーノートに登場、変化球な1部とテンション高めな2部で観客を魅了

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蓮沼執太フィルのワンマンライブ「蓮沼執太フィル × BNT 2025」が8月5日に東京・ブルーノート東京で開催された。

蓮沼執太とは?

1983年9月11日生まれ、東京都出身の音楽家。2006年10月にアメリカのインディーズレーベルから発表したアルバム「Shuta Hasunuma」でデビュー。2010年に総勢16名からなる現代版フィルハーモニックポップオーケストラ「蓮沼執太フィル」を結成し、2014年1月に1stアルバム「時が奏でる」をリリースする。2016年2月には蓮沼がシンガーソングライターとして制作したソロアルバム「メロディーズ」を発表し、9月に自身の音楽活動10周年を記念したライブイベント「蓮沼 X 執太」を開催した。2017年2月に蓮沼執太 & U-zhaan名義のコラボアルバム「2 Tone」をリリース。11月に公募から選抜した新メンバー10名を蓮沼フィルに追加した26名の新たなクリエーション「蓮沼執太フルフィル」を始動させ、8月に東京・すみだトリフォニーホールにてお披露目公演「フルフォニー」を行った。2019年には平成30年度「第69回 芸術選奨 文部科学大臣賞」メディア芸術部門において新人賞を受賞。同年8月に東京・日比谷野外大音楽堂で蓮沼執太フィル単独公演「日比谷、時が奏でる」を開催し、この模様を収めたBlu-rayボックスが2020年4月に発売された。8月に蓮沼執太フルフィルとしての1stアルバム「フルフォニー|FULLPHONY」を配信し、10月に同作のCDとアナログをリリース。

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

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蓮沼執太フィルがブルーノート東京でコンサートを行うのは、2023年7月以来およそ2年ぶり。前回に引き続き今回も1部と2部で異なるセットリストが用意され、新旧さまざまな楽曲がこれまでとはひと味違う演出で披露された。

変化球的な構成で観客を魅了「1stセット」

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)[拡大]

1部は「centers #2」でスタート。これまで「centers」は#1~3を1セットで演奏されることが多く、#2のみをライブの冒頭で披露するのは非常にレアなケースだ。この曲では尾嶋優(Dr)、斉藤亮輔(G)がK-Taとともにマリンバを演奏したり、ゴンドウトモヒコ(Euphonium)が三浦千明(Vo, Flugelhorn)とグロッケンを叩いたりと編成も立ち位置もバラバラだが、ステージ上にいるメンバーの数が明らかに少ないことに観客が気付き始めた頃、笙を鳴らす音無史哉を先頭に千葉広樹(B, Violin)、手島絵里子(Viola)、大谷能生(Sax)が入場し、演奏に合流するという変化球的な演出でオーディエンスの興味を引いた。

蓮沼執太(Photo by YUKI KAWASHIMA)

蓮沼執太(Photo by YUKI KAWASHIMA)[拡大]

MCでは蓮沼が「こんばんは、蓮沼執太フィルです。約2年ぶりにブルーノート東京でライブをさせていただいております。『夏のブルーノートといえば蓮沼執太フィルだよね』と言われたいので、来年も出られるようにがんばります」と挨拶。そして2部構成のライブについて「1stセットはわりと長い曲を中心に、2ndセットは短い曲や歌モノをやろうと思っています」と解説した。この説明通り、1部では「FULLPHONY」や「BLACKOUT」など途中で曲調ががらりと変わる組曲のようなインストゥルメンタルナンバーをたっぷりと披露。14人が奏でる複雑なリズムが組み合わさり、迫力のあるアンサンブルとして届けられた。そして「centers #2」で始まった1部の締めくくったのは「centers #3」。定番とは異なる構成で観客に新鮮な驚きを与えつつ、最後はゆったりとした一体感で会場を包み込んで終演した。

研ぎ澄まされた新曲も披露「2ndセット」

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

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変化球的なセットリストが展開された1部とは打って変わり、2部はライブ定番曲「Hello Everything」で幕を開けた。伸びやかな曲調ながらも、間奏ではメンバー同士でジャムセッションのようなパワフルな掛け合いが展開され、フロアの熱気を一気に高めた。また蓮沼が音楽ディレクターを務めるNHK Eテレの番組「デザインあneo」のオープニングテーマ「『あ』のテーマ」や、蓮沼のソロ曲「Vanish, Memoria」のフィルバージョンといった最新曲も披露された。この2曲は6月の野外フリーライブ「都市と合奏」で初演された際は風や雑踏の音が混じりその場の空間と溶け合うことでライブ感が強いサウンドだったが、ブルーノート東京のステージでは各楽器の音の輪郭がクリアになり、研ぎ澄まされたバランスで重なり合っていることがありありと感じ取れた。

斉藤亮輔(G)と石塚周太(G)。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

斉藤亮輔(G)と石塚周太(G)。(Photo by YUKI KAWASHIMA)[拡大]

「1stセットで体が温まっているので、テンション高めでやっております」と笑顔を浮かべる蓮沼。「リハーサルで一度もやっていないので、緊張感がみなぎる瞬間が訪れるかと思います。お楽しみに」と前置きした初期曲「SoulOsci」は、クライマックスに石塚周太(G)のノイジーなギターがさく裂するアレンジで、オーディエンスをさらに高揚させていく。同じくひさびさの演奏となった初期曲「ZERO CONCERTO」では緊張感をたたえながら、徐々に疾走感を増していくドラマチックな展開で客席を魅了した。アンコールでは蓮沼が「Eco Echo」をエモーショナルに歌い上げ、「どうもありがとうございました。またお会いしましょう!」と結んでステージを降りた。

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」の様子。(Photo by YUKI KAWASHIMA)

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また、この公演の開催に合わせて作られた、蓮沼とゐのすビールのコラボレーションによる新作ビール「Phil Saison」もお披露目された。ブルーノート東京ではライブ当日の特別メニューとして「Phil Saison」が生で提供され、MC中に試飲した大谷は「非常にさわやかで、シードルみたいですね。香りがよく、軽くてほどよくスッキリ」コメントした。斉藤も「とってもおいしいです」と感想を語っている。ゐのすビール公式サイトでは「Phil Saison」の瓶ビールを2本セットで販売中。瓶内二次発酵するため、生ビールとは異なったまろやかな味わいが楽しめるとのこと。

蓮沼執太|Shuta Hasunuma (@Shuta_Hasunuma) | X

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セットリスト

「蓮沼執太フィル × BNT 2025」2025年8月5日 ブルーノート東京

[1st]

01. centers #2
02. Triooo - VOL
03. FULLPHONY
04. BLACKOUT
05. Meeting Place
06. Vanish, Memoria
07. centers #3

[2nd]

01. Hello Everything
02. Meeting Place
03. Triooo - VOL
04. 「あ」のテーマ
05. FULLPHONY
06. Vanish, Memoria
07. SoulOsci
08. ZERO CONCERTO
<アンコール>
09. Eco Echo

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音楽ナタリー @natalie_mu

蓮沼執太フィル
2年ぶりブルーノートに登場🪩
変化球な1部とテンション高めな2部で観客を魅了

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