蓮沼執太フィル“丸の内中央口”近くのビル街に溶けた「RAW TOWN」、あの2曲を初演

1

99

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 15 55
  • 29 シェア

蓮沼執太フィルのフリーライブ「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」が6月6日に東京・京橋にあるTODA BUILDINGで開催された。

蓮沼執太とは?

1983年9月11日生まれ、東京都出身の音楽家。2006年10月にアメリカのインディーズレーベルから発表したアルバム「Shuta Hasunuma」でデビュー。2010年に総勢16名からなる現代版フィルハーモニックポップオーケストラ「蓮沼執太フィル」を結成し、2014年1月に1stアルバム「時が奏でる」をリリースする。2016年2月には蓮沼がシンガーソングライターとして制作したソロアルバム「メロディーズ」を発表し、9月に自身の音楽活動10周年を記念したライブイベント「蓮沼 X 執太」を開催した。2017年2月に蓮沼執太 & U-zhaan名義のコラボアルバム「2 Tone」をリリース。11月に公募から選抜した新メンバー10名を蓮沼フィルに追加した26名の新たなクリエーション「蓮沼執太フルフィル」を始動させ、8月に東京・すみだトリフォニーホールにてお披露目公演「フルフォニー」を行った。2019年には平成30年度「第69回 芸術選奨 文部科学大臣賞」メディア芸術部門において新人賞を受賞。同年8月に東京・日比谷野外大音楽堂で蓮沼執太フィル単独公演「日比谷、時が奏でる」を開催し、この模様を収めたBlu-rayボックスが2020年4月に発売された。8月に蓮沼執太フルフィルとしての1stアルバム「フルフォニー|FULLPHONY」を配信し、10月に同作のCDとアナログをリリース。

「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」の様子。(撮影:後藤武浩)

「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」の様子。(撮影:後藤武浩)

大きなサイズで見る(全29件)

蓮沼フィルが京橋の街に音楽を解き放ち、周囲の環境すべてを音楽として立ち上げる体験的公演。高層ビルが立ち並ぶオフィス街の麓にある広場には総勢15名分の楽器セットやスピーカー、照明が組まれ、開演前からライブを心待ちにする人々が集まった。

広がる音と人の輪

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)[拡大]

ステージはなく、メンバーの周囲を360°観客が取り囲む、蓮沼フィルではお馴染みの“全方位型”スタイルでライブはスタート。「ONEMAN」をはじめとした明るくゆったりとした代表曲たちをのびのびと演奏していく。「wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya」の後半からはダンサーのAokidも加わり、観客に入り交じりながらアクロバティックなパフォーマンスを披露して会場を盛り上げた。

パフォーマンスで参加したAokid。(撮影:後藤武浩)

パフォーマンスで参加したAokid。(撮影:後藤武浩)[拡大]

風に乗って広がる音楽に引き寄せられた人々が足を止め、観覧の輪がどんどん大きくなる中、次に披露されたのは「丸の内中央口」の歌詞で始まる「RAW TOWN」。“きみに会いにいく”ために移動する様子を高揚感たっぷりに描いたこの曲には都内のさまざまな地名が登場し、街中で演奏されるのにうってつけの楽曲だ。椅子から立ち上がり軽快に歌う蓮沼は「生のきみに会いにいくって」という歌詞に合わせてオーディエンスを見渡したのちAokidを指さして、生のグルーヴを楽しんでいた。

「あ」のテーマ&ソロ曲「Vanish, Memoria」をフィルVerで初演

「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」の様子。(撮影:後藤武浩)

「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」の様子。(撮影:後藤武浩)[拡大]

続けて披露されたのは蓮沼が音楽ディレクターを務めるNHK Eテレの番組「デザインあneo」のオープニングテーマ。今回初演となったこの楽曲はテンポや曲調がめまぐるしく変化していく難度高めのアレンジが追加されており、多彩な音色でくるくると変わる表情を見せるパフォーマンスに、子供も大人も楽しげに聴き入っていた。

斉藤亮輔(G)(撮影:後藤武浩)

斉藤亮輔(G)(撮影:後藤武浩)[拡大]

蓮沼執太フィルのライブは2024年9月に東京・東京ミッドタウンで行われたフリーライブ以来、9カ月ぶり。前回に続き屋外での演奏となったことについて蓮沼が斉藤亮輔(G)に「外で演奏するのはどう?」と尋ねると、斉藤は「気持ちいいですね」「吹き抜け感て言うんですか。ビルとビルの間から見える空が都市ならではという感じがします」と感想を述べた。

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)[拡大]

さらにもう1曲初パフォーマンスされたのは、蓮沼のソロ曲「Vanish, Memoria」。この曲はもともと2022年開催のコンサート「消憶 きおく」のために書き下ろされたものだが、コロナ禍の影響でフィル編成でのレコーディングが困難となり、石塚周太(G)と、アメリカのドラマー、グレッグ・フォックスの演奏によるインストゥルメンタル音源がリリースされていた。それがこのたび新たに歌詞が追加され、満を持してフィルの演奏によってお披露目された。

今日はありがとう

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)

蓮沼執太(撮影:後藤武浩)[拡大]

最後の曲「SoulOsci」では曲のクライマックスに向けてメンバーの演奏がヒートアップ。イトケン(Syn, Dr)と尾嶋優(Dr)によるツインドラムの高速プレイと、石塚がかき鳴らす歪んだギターサウンドが迫力を増していき、オーディエンスの熱気を最高潮に高めた。歓声と拍手がやまない中、アンコールで届けられたのは「Eco Echo」。蓮沼は最後の歌詞を「今日はありがとう」と変えて、集まったオーディエンスに感謝を伝えライブを終えた。

なお蓮沼が参加するグループ展「HEAR HERE」がTODA BUILDING内Yutaka Kikutake Galleryにて7月12日まで開催中。8月5日には東京・ブルーノート東京で蓮沼執太フィルのワンマンライブが開催される。チケットは会場公式サイトにて販売中。

関連記事

セットリスト

「蓮沼執太フィル TODA BUILDING LIVE “都市と合奏”」2025年6月6日 TODA BUILDING

01. ONEMAN
02. Juxtaposition with Tokyo
03. wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya
04. RAW TOWN
05. 「あ」のテーマ
06. Vanish, Memoria
07. SoulOsci
<アンコール>
08. Eco Echo

この記事の画像(全29件)

蓮沼執太、楊博、小林七生 グループ展「HEAR HERE」

2025年6月6日(金)~7月12日(土)東京都 Yutaka Kikutake Gallery Kyobashi
OPEN 11:00 / CLOSE 19:00(日曜、月曜、祝日は休館)

蓮沼執太フィル × BNT 2025

2025年8月5日(火)東京都 ブルーノート東京
[1st]OPEN 17:00 / START 18:00
[2nd]OPEN 19:45 / START 20:30
<出演者>
蓮沼執太フィル
メンバー:蓮沼執太 / 石塚周太(G)/ itoken(Syn, Dr)/ 大谷能生(Sax)/ 音無史哉(笙)/ 尾嶋優(Dr)/ 葛西敏彦(PA)/ K-Ta(Marimba)/ 小林うてな(steel pan)/ ゴンドウトモヒコ(Euphonium)/ 斉藤亮輔(G)/ 千葉広樹(B)/ 手島絵里子(Viola)/ 宮地夏海(Flute)/ 三浦千明(Vo, Flugelhorn)

読者の反応

  • 1

音楽ナタリー @natalie_mu

【ライブレポート】蓮沼執太フィル
🏙️「都市と合奏」🎶

“丸の内中央口”近くのビル街に溶けた「RAW TOWN」
あの2曲を初演(写真33枚)

https://t.co/7FrxNFt0WQ

#蓮沼執太フィル https://t.co/zEZAunQOka

コメントを読む(1件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 蓮沼執太 の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。