アヴちゃん(女王蜂)がプロデューサーを務めたオーディション企画「0年0組 -アヴちゃんの教室-」を経て結成され、2023年5月にシングル「Mr.FORTUNE」でデビューした龍宮城。それからわずか2年弱で達成した初の武道館公演は、11月にリリースした1stアルバム「裏島」を携えた全国ツアーの集大成として行われた。この記事では夜公演「裏・裏・裏島」の模様を中心にレポートする。
2年ぶりに「0年0組」制服で登場
ステージにしつらえられたのは、メンバー全員で考案したという“龍宮城”をテーマにしたセット。波やサンゴ礁、城などのモチーフが鎮座し、これから7人が誘う世界への期待をいやが上にも高める。開演を告げるチャイムの音、時計の針が刻む音に続き、ステージ中央の障子には見覚えのあるフォルムの上着を羽織る人物のシルエットが。そしてステージ後方に7人が並び、リーダーKEIGOの「起立、気をつけ、礼!」という号令に続き、1曲目の「校歌」が披露される。メンバーが着用していたのは龍宮城の礎となった「0年0組」の制服。デビュー当時のお披露目会以来約2年ぶりに袖を通したこの衣装を通じて、彼らの原点を改めて印象付けた。
ここから龍宮城はデビュー曲の「Mr.FORTUNE」や「バイオレンス」など、「0年0組」でもおなじみのナンバーを連投。「Mr.FORTUNE」は7人それぞれのラップが飛び交うマイクリレーバージョンとオリジナルバージョンを連続で披露し、この2年で培った表現力の豊かさをアピールする。曲中にはアリーナのセンターステージに移動して武道館全体からすさまじい歓声を浴びた7人だが、「バイオレンス」が終わるとKEIGOが1人ステージに残った。センターステージを行き来するピンスポットの明かりに翻弄されたKEIGOがメインステージに目をやると、そこにはソファにどっかりと腰を下ろしたRayの姿が。「……地獄だね?」とRayがニヤリと笑ったあと、2人は「BL」を互いの感情を絡め合うように熱唱。ラストでRayの顔が近付いてくるとKEIGOはそっと人差し指で制止し、代わりとばかりにアコースティックギターを差し出した。
受け取ったギターでRayが歌ったのはソロ曲の「完璧」。昼公演の「表国」では「完璧」に続いてKEIGOの「地獄でしょ?」という言葉から「BL」が始まったが、それを完全に逆転させた演出に客席からはどよめきが起こる。力強いストロークと熱い歌声を響かせたあと、Rayはジャケットを脱いで6人が作る輪に加わり、プレデビュー曲「RONDO」を披露した。ここでリーダーのKEIGOはグループを代表し、出発点となった「0年0組」への思いを「アヴちゃん先生、19人の生徒のみんな、いつも応援してくださる皆さんに出会えたことは、これからの人生で何にも変えがたい宝物です。競争だったり、別れがあるものは残酷だと思う部分もあります。だからこそ、僕らは妥協せず向き合って、心を動かして、1人でも多くの人に寄り添う。それが龍宮城の誠意です」とまっすぐに語る。そしてメンバー間の絆についても「休みの日はわざわざ集まって遊びに行きますし、こうやってライブを作るときやお仕事をするときはぶつかり合いの連発で。だからこそ、この先長く一緒に歩んでいくんだなと思います」と熱い気持ちを明かした。
ユニット曲で見せたそれぞれの個性、そして全員のMCは
龍宮城の情熱をファンに伝えたあと、7人は衣装をチェンジ。クールな黒色のガウンに着替え、サングラスをかけて「JAPANESE PSYCHO」をアグレッシブに歌い踊る。イントロ部分ではそれぞれがマイクを握ってオーディエンスを煽り、武道館に「領収書! 請求書!」コールを巻き起こした。その熱量を「BLOODY LULLABY」でさらに高めたのち、メインステージにはITARUとSが残る。ステージ後方に掲げられた「dp」のロゴが満月のように黄色く輝いたところで始まったのは「猟犬」。ITARUが観客と一体となって放つ雄叫びに、Sは「ハハハハ……うるせえ!」と言い放った。
さらにRay、S、齋木春空の3人による「SEAFOOD」、KENT、KEIGO、冨田侑暉による「禁句」と、ユニット曲が連投されていく。KENTの儚げな歌い出しから始まった「火炎」、抜群のシンクロ率によるダンスでファンを圧倒した「LATE SHOW」の熱狂ののち、ステージ後方に置かれた1台のキーボードにライトが当たった。そこにKENTが姿を現すと、客席からは大きな驚きの声が起こる。大きく息をついたKENTは鍵盤に手をかけ、「BOYFRIEND」を弾き語りで歌い始めた。丁寧な音色と甘く切ない歌声を響かせるKENTを観客は固唾をのんで見守る。オリジナルバージョンとはまた異なるピアノバラードのアレンジで、歌詞の世界観がさらに増幅して届けられるひとときとなった。
長い拍手に続いては再びメンバー全員が登場し、「零零」の壮大なアンサンブルに乗せてダンスパフォーマンスを披露。徐々に光量を増していくまばゆい照明に照らされながら、高らかな歌声を届けた。その後は7人全員が現在の思いを語るMCへ。先陣を切ったRayは「これからも僕たち龍宮城に予想も期待もしてください。予想は裏切ります。期待は超えていきます。それが龍宮城なので」と不敵な自信を見せ、ピアノの弾き語りを披露したKENTは「やっぱりがんばるっていうことはすごく難しいなと思いました。でも、僕らはそれに負けずに戦ったからこそ、こうやって憧れの方たちが立つような、この日の丸の下に立つことができました」と歩んできた道を振り返る。Sはライブ前半で披露した「0年0組」の世界に「僕たちの根底にあるものというのはすべてあそこに詰まってます。今後僕たちがどれだけ成長して大きなステージに行っても、あの教室は絶対忘れません。その結果を今日1つ皆さんにお見せできたのかな、というふうに思ってます」と思いを馳せた。
ITARUはアヴちゃん先生やこれまで支えてきたファンに対しての熱い感謝を述べつつ「多分これから自分たちも、皆さんにもいろんな壁があると思うんですけど、1つ1つ向き合って、みんなで乗り越えていきたい」と呼びかけ、龍宮城の一員に選ばれたことで自分の価値観が大きく変わったという齋木は「みんなには自分を好きであってほしいし、あなたという存在を一番好きな人であってほしいなと思います。なので、今日は最後まであなたの素敵な声を全力で届けてください」と語る。KEIGOは「今を大切に生きるって、本当に大事なんだなと思っています。僕らは今、すごく噛み締めてます。努力はいつでもいくらでもできるけど、この一瞬は、本番は、本当に一度しかないから」と今回のステージに賭ける思いを明かした。最後に出番が回ってきた冨田は「しゃべろうと思っていたことがたくさんあったんですけど、全部言われちゃいました(笑)」と和ませつつ、武道館ライブを7人で作り上げた苦労に重ね「来てくださってる皆さんも、生きてる中で辛いことがあるかもしれないんですけれども、そんなときはぜひ僕たちの音楽を聴いて。たくさんの方を癒せる音楽をこれからももっともっと届けていきたいです」と意気込んだ。
「裏島」3連続から初のアニメタイアップを発表
全員の決意表明かのごとく「2 MUCH」「SHORYU(→↓↘+P)」をパワフルに届けたのち、7人は花道を効果的に使ったフォーメーションダンスを披露しつつセンターステージへ移動。KEIGOがリフトアップされて大歓声が起こる中「DEEP WAVE」の華やかなパフォーマンスを繰り広げた。そして「0、1、2、3、4、5、6、7……」というカウントがエンドレスに続く中、7人は衣装を改めてアルバムのタイトルトラック「裏島」を披露。ひと呼吸置いて全員がメインステージに移動し、オリジナルからキーを半音上げた音源が流れる中で冨田が「……龍宮城へようこそ」と合図を放ち、2回目の「裏島」へと突入した。そしてRayの「……龍宮城へようこそ」という言葉からは、さらに半音上げた3回目の「裏島」へ。龍宮城の“どこまでも昇っていく”というメッセージを込めたパフォーマンスで武道館ライブの本編が締めくくられた。
メインステージで後ろを向き、横並びになった7人が手をつないだところで場内は暗転。アンコールを求める拍手が響く中、ITARUがひと言「新曲『WALTZ』」と告げた。ここで披露された「WALTZ」は、ゴシックなムードとオリエンタルなサウンドを融合した3拍子のナンバー。高みを目指して昇り続けた龍宮城の新境地を示すようなパフォーマンスのあと「以上、僕たち龍宮城でした。ありがとうございました」という挨拶で、今度こそライブの幕が閉じられた。
と同時に場内のスクリーンには「緊急告知」の文字が浮かび上がり、龍宮城初のアニメタイアップとして先ほど披露された「WALTZ」が4月から放送のテレビアニメ「黒執事 -緑の魔女編-」のエンディングテーマに決定し4月に配信リリースされること、2026年2月28日と3月1日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOでワンマンライブが行われることを発表。RayのMCどおり、龍宮城が“予想を裏切り、期待を超える”ことを予感させる新展開に、武道館は狂乱状態に陥った。
TOYOTA ARENA TOKYO公演のチケットは龍宮城の公式ファンクラブにて、3月31日まで最速先行予約を受け付けている。
メンバー7人MC全文&セットリストはこちら
龍宮城 OFFICIAL / 0年0組 @RYUGUJOofficial
【龍宮城 日本武道館「裏島」】
音楽ナタリーにてライブレポート掲載
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