Bialystocksは枠を越えていく、ミステリアスな「Songs for the Cryptids」ツアーの衝撃と余韻

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Bialystocksのライブハウスツアー「Songs for the Cryptids Tour」が11月29日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎えた。

Bialystocks(撮影:上村窓)

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高速ミラーボールで異空間へ

10月にリリースしたアルバム「Songs for the Cryptids」を携えて全国7都市のライブハウスを巡ったBialystocks。これは彼らにとって最大公演数のツアーで、ファイナルを含む複数公演でチケットがソールドアウトとなった。Cryptids=未確認生物と題されたアルバムのツアーだけあって、ライブは随所に見えない存在を感じさせるような、どこかミステリアスな空気を孕んでいた。

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」の様子。(撮影:上村窓)

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スペーシーなSEが流れる中、サポートメンバーの西田修大(G)、朝田拓馬(G)、越智俊介(B)、小山田和正(Dr)、オオノリュータロー(Cho)とともにBialystocksの甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)が登場。菊池が奏でる浮遊感のあるシンセがSEと混ざり合い、ライブはアルバムと同じく「空も飛べない」で幕を開ける。会場中に水玉模様を作っていたミラーボールの光の粒は、甫木元が歌い始めると同時にゆっくりと回転。楽曲の盛り上がりに伴ってそのスピードはみるみる増していき、観る者を異空間へと誘った。間髪をいれず、逆光に照らされた彼らはスリリングな過去曲「All Too Soon」をプレイ。小山田がテクニカルなドラミングでリードする、Bialystocksのライブの醍醐味の1つである即興的な演奏を2曲目にして見せつけ、フロアから喝采を浴びた。

ギター・甫木元空

Bialystocks(撮影:上村窓)

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観客が裏拍で息ぴったりのクラップを繰り返す「Emptyman」、甫木元の歌と朝田のギターが張り合った「コーラ・バナナ・ミュージック」などの過去曲に続き、スポットライトを浴びた甫木元&菊池が演奏を始めたのは「Kids」。ロックを見直していたという菊池の最新のモードが色濃く表れたこの曲は、まさにクラシックロック然とした貫禄を備え、オオノが深みを与えるコーラスワークや、スポットから一転してあたりを真っ赤に染めた照明演出、甫木元を含むトリプルギターなどで観客に強いインパクトを残した。1曲1曲に歓声や拍手で興奮を表現する観客へ、甫木元は「改めましてBialystocksです。お越しいただきありがとうございます」と挨拶。続いて「『僕たちも誰かから見たら未確認生物かもしれない』というSF的な視点を持てば、ユーモアを含んだ歌詞が書けるのではと考えてタイトルを付けました」と最新アルバムのコンセプトを説明し、「シンプルに一緒に音が楽しめればと思います」とライブへの意気込みを口にした。

「I Don't Have a Pen」の“うねり”

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」の様子。(撮影:上村窓)

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菊池が甫木元の歌と歩調を合わせながらアコースティックギターを弾いた「ごはん」で感動的な空気が広がったライブ中盤。何やら不穏なSEに導かれ、アルバム楽曲が連続で披露された。哀愁漂う「憧れの人生」のアウトロでは朝田と越智のセッションに菊池のアコギ、小山田のドラム、西田のギターが次々に合流するロングアレンジが施され、ひと際アグレッシブなパフォーマンスを展開した朝田&西田が最後にハイタッチ。甫木元のフォーキーで美しい歌声が際立った「虹」「聞かせて」は繊細さをたたえた共通の世界観で奏でられ、温かなポップソング「頬杖」は観客の体を心地よく揺らした。メロディセンスと歌唱力が光る過去曲「Over Now」の次に演奏されたのは「Mirror」。ロードムービー「ルート29」の主題歌であるこの曲が、Bialystocksのツアーという旅の終盤に寄り添うように優しく響き渡った。

サポートギター2人に挟み撃ちにされる甫木元空(Vo / Bialystocks)。(撮影:上村窓)

サポートギター2人に挟み撃ちにされる甫木元空(Vo / Bialystocks)。(撮影:上村窓)[拡大]

菊池がボコーダーを操った「Winter」で壮大なサウンドスケープを生み出したのち、軽快なナンバー「近頃」を披露したBialystocks。その間奏では、アコギを弾く甫木元を挟み撃ちするように、またしても朝田&西田が激しいギタープレイを見せて喝采を浴びた。冒頭からクライマックスばりのアレンジが熱狂を呼んだ過去曲「I Don't Have a Pen」はライブ後半のハイライトの1つ。アウトロでは見えない存在に引っ張られているかのようにメロディとリズムがうねり出し、調和と不調和がせめぎ合う。型にとらわれない演奏に観客は大歓声を上げ、場内が興奮のるつぼと化した。

「Branches」に深まる余韻

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」の様子。(撮影:上村窓)

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「最後まで楽しんでいってください」と甫木元が告げ、ライブ終盤の定番であるポップナンバー「Upon You」の演奏がスタート。観客がクラップで一体となり、最後の“溜め”で上がった歓声に笑いが起こるなど、リラックスムードでライブはエンディングへと向かう。ラストナンバーはアルバム収録曲のハートウォーミングな「幸せのまわり道」。1人、また1人とサポートメンバーが舞台から去り、最後に残った甫木元と菊池は静かに演奏を終え、おじぎをしてステージをあとにした。その後、アンコールに応えた菊池が歩いて、甫木元が走って再登場。甫木元は別公演に参加した三嶋大輝(B)、ノバフミヤ(Cho)を含め、ツアーを一緒に作り上げたサポートメンバーを紹介した。さらに2025年の単独公演を告知してファンを喜ばせた彼は「今回あんまりだった方も……次はいいかもしれません。ぜひ遊びに来てください」と謙虚に語り笑いを誘った。

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」の様子。(撮影:上村窓)

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」の様子。(撮影:上村窓)[拡大]

そして再びサポートメンバーを迎え、Bialystocksは過去曲屈指のライブチューン「Nevermore」で強い爽快感を広げたのち、最後にアルバムのラストナンバー「Branches」を演奏。何かが起こりそうな予感がつきまとうこの曲に、観客たちは身じろぎひとつせずにじっくりと聴き入る。ライブ冒頭と同じく、場内にはミラーボールの光の粒が散乱。その光以外に目立った明かりはなく、ライブハウスの壁という“枠”が暗闇へと溶け出し、神秘的なサウンドの響きも相まって、観客たちはまるで果てしなく広大な空間に佇んでいるかのようだ。リフレインするピアノやギター、「嵐はまだ」と繰り返すボーカルも陶酔を誘った。そんな没入感のあるステージで「Songs for the Cryptids Tour」は幕引きとなり、客席からは大きく長い拍手が送られる。客電が灯ったあとも、会場は深い余韻に包まれていた。

Bialystocksは「Bialystocks 単独公演 2025」と題し、2025年4月25日に東京・国際フォーラム ホールA、29日に大阪・フェスティバルホールでワンマンライブを行う。国際フォーラム ホールAは彼らのワンマンとしては最大収容人数の会場となる。オフィシャル1次先行は12月8日までチケットぴあで受付中。詳細は特設サイトで確認を。

セットリスト

Bialystocks「Songs for the Cryptids Tour」2024年11月29日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. 空も飛べない
02. All Too Soon
03. Emptyman
04. コーラ・バナナ・ミュージック
05. 差し色
06. Kids
07. 光のあと
08. 灯台
09. ごはん
10. 憧れの人生
11. 虹
12. 聞かせて
13. 頬杖
14. Over Now
15. Mirror
16. Winter
17. 近頃
18. I Don't Have a Pen
19. Upon You
20. 幸せのまわり道
<アンコール>
21. Nevermore
22. Branches

公演情報

Bialystocks 単独公演 2025

2025年4月25日(金)東京都 国際フォーラム ホールA
2025年4月29日(火・祝)大阪府 フェスティバルホール

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at Zepp DiverCity(TOKYO)
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