BRAHMAN結成30周年に向け戦い抜いた全75曲の熱演、4時間ライブを完走し「生きてるか?」

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BRAHMANが11月4日に神奈川・横浜BUNTAIにてワンマンライブ「六梵全書 Six full albums of all songs」を開催した。

BRAHMAN「六梵全書 Six full albums of all songs」の様子。(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

BRAHMAN「六梵全書 Six full albums of all songs」の様子。(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

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「真善美」で幕開け、「梵唄 -bonbai-」の楽曲が収録順に

このライブは2025年に結成30周年を迎える彼らが、過去にリリースした6枚のフルアルバムの収録曲全72曲を4時間にわたって演奏するという内容。チケットはアリーナスタンディング、スタンド席ともに完売し、開演前の会場にはどこか覚悟を決めたような表情のオーディエンスが続々と飲み込まれていった。

開演時刻を迎えた場内は早くも興奮状態となり、4人の登場を待ち切れないオーディエンスの雄叫びが上がり始める。開演予定時刻を少々過ぎた頃にオープニングSEの「Molih ta, majcho i molih」が流れ、BRAHMANの30年の歴史を振り返るように過去のライブ映像がステージ後方の大型ビジョンに映し出された。映像の終わりに30周年のロゴが大きく現れると、場内には怒号のような歓声が沸き起こった。

TOSHI-LOW(Vo)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

TOSHI-LOW(Vo)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])[拡大]

ステージに姿を現した4人が72曲の最初の1曲として演奏したのは、2018年にリリースされたアルバム「梵唄 -bonbai-」の1曲目でもある「真善美」。通常のライブでは終盤に披露されることが多いこの曲での幕開けが、今回の公演がいつもとは異なるものであることを観客に改めて印象付ける。TOSHI-LOW(Vo)は「30年は30年という塊じゃないし、今日やるライブの72曲も72曲の塊じゃない。1曲1曲の大事な物語だ」と大舞台に挑む思いを語る。「4時間後、ここに立っているかはわからない」と本音を明かして観客を和ませつつも、TOSHI-LOWは「でもそんなことは知ったこっちゃない、ずっと全力でやってきたんだ。『六梵全書』、30年分のBRAHMAN始めます!」と叫び、4時間にわたる死闘への火蓋を切った。

その言葉を合図にするように、続く「雷同」「EVERMORE FOREVER MORE」からはすさまじい勢いでダイバーたちがフロア前方に飛んでいき、会場の熱気は急上昇。目まぐるしく変化するテンポで観客を翻弄した「AFTER-SENSATION」、RONZI(Dr)が刻むスネアに乗せて哀切なメロディが歌われた「其限」と、その後も「梵唄」の楽曲が収録順に披露されていった。「今夜」ではTOSHI-LOWが歌詞を「横浜に行こう」と変えて歌うひと幕も。「守破離」から再び狂乱状態となったフロアは、終盤の「ナミノウタゲ」「天馬空を行く」といったナンバーでエモーショナルな空気に包まれる。「満月の夕」では観客の大合唱が起こる中、ビジョンにステージの映像が映し出され、スタンド席後方のオーディエンスまで4人の熱いパフォーマンスの様子を丁寧に届けた。

アルバムを遡りながら進む前半戦

KOHKI(G)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

KOHKI(G)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])[拡大]

「梵唄」の楽曲がすべて披露され、次は何が始まるのかと観客が固唾をのんで待っていると、再び「Molih ta, majcho i molih」が流れ始めた。いったん袖に下がることもなく、ステージ上にそのまま残っていた4人が鳴らし始めた曲は、2013年リリースのアルバム「超克」の1曲目「初期衝動」だ。イントロで大歓声がこだまし、静寂から新たなカオスへと向かっていくフロア。続いてアルバム2曲目「賽の河原」が始まると、ここからの展開に確信を得たようにさらなる歓声が起こった。

「今際の際」のアウトロで狂乱をブツリと途切らせたあとは「俤」「空谷の跫音」といったミドルチューンで会場を圧倒していくBRAHMAN。そんな感傷的なムードを「遠国」でのKOHKI(G)とMAKOTO(B)の鮮烈な音色が切り裂き、「警醒」ではTOSHI-LOWがステージの左右まで進み出てオーディエンスを煽った。TOSHI-LOWが静かに「霹靂」を歌い始めると、徐々に熱量を増していく4人のアンサンブルに導かれて観客の腕が一斉に上がった。

MAKOTO(B)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

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「超克」最後の楽曲「虚空ヲ掴ム」の残響が会場に残る中、この日3回目の「Molih ta, majcho i molih」とともに次のパートが始まった。流れをつかみ始めた観客の期待に応えるように始まったのは、2008年発売のアルバム「ANTINOMY」の1曲目「THE ONLY WAY」。KOHKIが奏でるオリエンタルなギターフレーズ、RONZIが刻むパワフルなリズムが会場に衰え知らずの熱狂を巻き起こしていく。「SPECULATION」ではステージ後方からの逆光が4人の熱演をより際立たせ、神々しさすら感じさせる。オーディエンスも「ONENESS」の心地よいサウンドに身を委ねたあと、「HANDAN'S PILLOW」では大合唱を繰り広げるなど、BRAHMANが提示するさまざまな世界を存分に楽しむ。「CAUSATION」ではTOSHI-LOWがマイクスタンドを折り曲げるほどのアグレッシブなパフォーマンスを繰り広げ、観客を圧倒した。

3作品を取り混ぜた予測不能の展開へ

RONZI(Dr)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

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「ANTINOMY」のラストナンバーである37曲目「KAMUY-PIRMA」が終わり、2004年リリースのアルバム「THE MIDDLE WAY」の1曲目「THE VOID」が始まる。そうなれば当然、次はアルバム2曲目の「LOSE ALL」か……と会場中が考える中、ドロップされたのは2001年発表のアルバム「A FORLORN HOPE」の収録曲「BASIS」だった。予想を覆す突然の展開に場内は騒然。ここからBRAHMANは「THE MIDDLE WAY」「A FORLORN HOPE」、そして1998年リリースのアルバム「A MAN OF THE WORLD」の楽曲を取り混ぜたセットリストを展開していく。まったく予測不能となった後半戦への期待を表すように、「BASIS」では前半戦以上のすさまじい数のダイバーが宙を舞った。

TOSHI-LOWとMAKOTOのジャンプで始まった「GOIN' DOWN」ではオーディエンスも一斉に飛び跳ねて会場を揺らし、47曲目の「DEEP」からはアリーナに大漁旗が登場して観客やメンバーを鼓舞する。鈴の音色に観客がざわめいたあとは「時の鐘」へ。ここからはしっとりとしたAメロが印象的なビル・ジョーンズのカバー曲「FROM MY WINDOW」、深遠な世界を提示した「FAR FROM...」と、重厚なアンサンブルを聴かせる。アルバムの収録曲順に演奏した前半とはまた異なり、BRAHMANが織りなす多彩な音像をたっぷり堪能できるセットリストを、観客は感動に満ちた表情で楽しんでいた。

BRAHMAN(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

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53曲目に披露されたのは「A FORLORN HOPE」収録のインストナンバー「SLIDING WINDOW」。ここで初めてTOSHI-LOWはステージを去り、KOHKI、MAKOTO、RONZIによる軽快なアンサンブルでオーディエンスを楽しませた。続く「THAT'S ALL」「THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE」で会場にはさらなる狂乱がもたらされる。TOSHI-LOWが語りかけるようなボーカルを届けた「Z」、幻想的なサウンドからエモーショナルなサビへと展開する「A WHITE DEEP MORNING」と、その後も多種多様な楽曲が披露される。メロウなイントロが印象的な64曲目「MIS 16」からは空気感が再び変わり、「(a piece of) BLUE MOON」「BYWAY」「PLASTIC SMILE」などのミドルチューンを連投。迫りくる72曲目に向けてひと息の清涼感を届けた。

TOSHI-LOW(Vo)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])

TOSHI-LOW(Vo)(Photo by Tsukasa Miyoshi[Showcase])[拡大]

ラストスパートとばかりに「ANSWER FOR…」が演奏されると、オーディエンスも気合いの入った表情で再びダイブやモッシュを繰り返す。悔いの残らないように観客がコールを繰り返した71曲目「FOR ONE'S LIFE」が終わると、TOSHI-LOWは「生きてるか?」と客席に笑いかけ、「ラスト!『TONGFARR』!」と叫んだ。4時間にわたる熱演を締めくくるラストナンバーをメンバー4人は充実した表情で奏で、歌い、観客も全身でその音を受け止めていた。

まさかの73曲目へ突入、そして待望のニューアルバム

すべての曲を歌い終えたTOSHI-LOWはステージに座り込むが、ニヤリと笑ったRONZIがドラムを叩き始めるとオーディエンスから歓喜の声が起こり、TOSHI-LOWも驚きと苦笑が混じった表情でRONZIを振り返る。ここで披露されたまさかの73曲目は、1997年に発表したミニアルバム「WAIT AND WAIT」の収録曲「FLYING SAUCER」。粋なサプライズに観客も全力のモッシュとダイブで応えたあとは、4人が小声で何事かを話し合う。そして彼らの初音源である1996年リリースの「Grope Our Way」から「BEYOND THE MOUNTAIN」「ARTMAN」も投下。実に75曲ものパフォーマンスを完走すると、4人はマイクや楽器をステージ上に放り出し、何事もなかったかのようにステージを去っていった。

放心状態の観客が見守るビジョンにはこの日のステージを支えたスタッフロール、そして予定されていた72曲のセットリストが映し出される。最後に記されたのは「73. 順風満帆」という曲名。ここで未発表の新曲「順風満帆」のミュージックビデオが突如として上映された。メンバー4人の熱演をアグレッシブなカメラワークでとらえたMVに観客は大興奮。さらにこの曲を収録したニューアルバム「viraha」が2025年2月26日にリリースされること、アルバムを携えた全国ツアーが行われることもアナウンスされ、ファンを大いに沸かせて狂乱の一夜を締めくくった。

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セットリスト

BRAHMAN「六梵全書 Six full albums of all songs」2024年11月4日 横浜BUNTAI

01. 真善美
02. 雷同
03. EVERMORE FOREVER MORE
04. AFTER-SENSATION
05. 其限
06. 今夜
07. 守破離
08. 怒涛の彼方
09. 不倶戴天
10. ナミノウタゲ
11. 天馬空を行く
12. 満月の夕
13. 初期衝動
14. 賽の河原
15. 今際の際
16. 俤
17. 露命
18. 空谷の跫音
19. 遠国
20. 警醒
21. 最終章
22. JESUS WAS A CROSS MAKER
23. 鼎の問
24. 霹靂
25. 虚空ヲ掴ム
26. THE ONLY WAY
27. SPECULATION
28. EPIGRAM
29. STAND ALOOF
30. SILENT DAY
31. ONENESS
32. HANDAN'S PILLOW
33. YOU DON'T LIVE HERE ANYMORE
34. CAUSATION
35. FIBS IN THE HAND
36. 逆光
37. KAMUY-PIRMA
38. THE VOID
39. BASIS
40. SHADOW PLAY
41. DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
42. SHOW
43. GOIN' DOWN
44. SEE OFF
45. CHERRIES WERE MADE FOR EATING
46. BOX
47. DEEP
48. NO LIGHT THEORY
49. 時の鐘
50. FROM MY WINDOW
51. FAR FROM...
52. BED SPACE REQUIEM
53. SLIDING WINDOW
54. THAT'S ALL
55. THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE
56. CIRCLE BACK
57. NEW SENTIMENT
58. LOSE ALL
59. Z
60. A WHITE DEEP MORNING
61. TREES LINING A STREET
62. HIGH COMPASSION
63. LAST WAR
64. MIS 16
65. (a piece of) BLUE MOON
66. BYWAY
67. PLASTIC SMILE
68. PLACEBO
69. ANSWER FOR…
70. ARRIVAL TIME
71. FOR ONE'S LIFE
72. TONGFARR
73. FLYING SAUCER
74. BEYOND THE MOUNTAIN
75. ARTMAN
76. 順風満帆 Music Video

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BRAHMAN / OAU @tacticsrecords

[メディア情報]
11/4に開催されたBRAHMAN 六梵全書のライブレポートが本日から1日1本、様々なWEB媒体にて公開!
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