フジファブリック20周年に向けて中野サンプラザで踏み出した第一歩、フレデリックも駆けつける

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フジファブリックのデビュー19周年を記念したワンマンライブ「Dance Sing Revolution No.19」が、19周年当日の4月14日に東京・中野サンプラザホールで開催された。

「瞳のランデヴー」を演奏するフジファブリックとフレデリック。(撮影:森好弘)

「瞳のランデヴー」を演奏するフジファブリックとフレデリック。(撮影:森好弘)

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このライブではフジファブリックの軌跡を振り返るようにさまざまな年代の楽曲を、驚きの演出も交えつつ披露。また会場の中野サンプラザは7月での閉館が決定しているため、フジファブリックにとっては今回が同会場での最後のワンマンライブとなった。

フジファブリック(撮影:かわどう)

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開場時刻を迎えて暗転した場内には、今回のライブグッズであるリングライトの5色の光がきらめき、普段のライブとはひと味異なる艶やかな雰囲気が満ちる。そんな中で最初に披露された曲は2008年リリースのアルバムのタイトル曲「TEENAGER」。このアルバムのリリースツアーで初めて中野サンプラザでのライブを行った、会場に縁の深い楽曲で幕を開けたあとは「東京」のファンキーなアンサンブルを届けた。続く「Magic」では、ようやく声出しが本格化したライブを楽しむようにオーディエンスが高らかなシンガロングを響かせた。

最初のMCで山内総一郎(Vo, G)は「僕らが思っていた以上に、きらびやかな世界が広がっていて……」とキラキラと輝く客席を見渡し、デビュー19周年を迎えた感謝を述べて大きな拍手を浴びる。「泣けてくるから!」と照れ笑いを浮かべた山内は「ひさしぶりに中野サンプラザに帰ってきました。いろんなことがありながらもいろんな音楽を作ってきたので、今日はいろんな時期の曲をやります」と話し、観客の期待を高めた。

続いて演奏された曲は19年前にリリースされたデビュー曲「桜の季節」。19年のキャリアに裏打ちされた深みのある演奏でオーディエンスを魅了すると、「フラッシュダンス」ではカラフルなライトに照らされた山内が思いを吐露するように熱い歌声を轟かせる。疾走感に満ちたビートが印象的な「Small World」のあと、山内は「19年間ともに過ごしてきた家族であり仲間」と、金澤ダイスケ(Key)と加藤慎一(B)、そしてサポートメンバーの伊藤大地(Dr)を紹介した。金澤はこの日行われていたライブの生配信を自身のスマートフォンで眺めつつ「ライブ前に(チャット欄で)コメントしてたんですけど、誰も本人だって信じなかったんですよね」とマイペースにトーク。加藤から「金澤さんの配信ルームじゃないんですよ」、山内から「由緒正しい中野サンプラザですよ!?」とツッコまれていた。

フジファブリック(撮影:森好弘)

フジファブリック(撮影:森好弘)[拡大]

「上京して初めて中野で桜を見たとき『こんなにきれいな桜があるんだ』とびっくりしたんです。今日はひさしぶりのサンプラザなので、春の曲をやろうと思います」という山内の言葉のあとは「Gum」が披露された。淡い桜色の照明と美しく芳醇なアンサンブルが会場を満たし、オーディエンスもその雰囲気に酔いしれる。その後に演奏された曲は「sing」。今回のライブのタイトルにも含まれているこの曲について山内は「作った当時『どういう気持ちで歌を歌おうか』ということを考えていて。言葉は少ないけど、全部が入っているような曲です」と思いを語った。

「音の庭」のシアトリカルな世界を届け、バンドを代表する楽曲「若者のすべて」をじっくりと聞かせたのち、山内はデビュー19周年の日を中野サンプラザで迎えた思いを語り始めた。中野サンプラザは2010年に志村正彦のお別れ会「志村會」の会場ともなった場所。「TEENAGER」ツアーでの初ライブの光景を「今でも鮮明に覚えている」という山内が、「ここに志村(正彦)くんの音や思いが染み付いていると思うとうれしい気持ちになります。さっき『おめでとう』の拍手をくれたでしょ? その拍手、志村くんにもお願いします」と観客に語りかけると、客席からは力強い拍手が起こる。その音を聞きながら山内は「19年おめでとう、志村くん。あなたが作ったバンドが19年やってこれてます」と感謝を明かした。

フジファブリックとZILLION。(撮影:森好弘)

フジファブリックとZILLION。(撮影:森好弘)[拡大]

「ここまで突き進んできて行き詰まることもあったけれど、バンドってのはそれぞれが支え合ってくれるんです。素晴らしいでしょう?」と話した山内はオーディエンスに対し、「1人ひとりに伝えたいと思います、出会ってくれて本当にありがとうございます。この先の未来に進んでいこうと思います」と20周年に向けた強い決意を語り、「まだみんな、歌って踊る体力は残っていますか?」とオーディエンスに呼びかける。両手を上げて答える客席に向けて「星降る夜になったら」を演奏したあと、続く「バタアシParty Night」ではダンサーとしてZILLIONが勢いよく登場し、観客を驚かせた。ZILLIONはフジファブリックが奏でるトリッキーなサウンドに乗せてキレのあるダンスを披露し、会場の熱気をさらにヒートアップさせた。

イントロで大歓声が沸き起こった「ダンス2000」では金澤のエモーショナルなキーボードソロが炸裂。「銀河」「Feverman」と軽快なアップチューンを連投したのち、本編最後には今回のライブタイトルの由来ともなった「ミラクルレボリューション No.9」が披露された。この曲では加藤とZILLIONのRION、WATARUが音頭を取り振付をレクチャー。オーディエンスは笑顔で腕を振り、ステージ上との一体感を楽しんだ。

アンコールに入る前にはステージ上で大がかりなセットチェンジが行われ、何が起こるのかと観客の期待を高める。再びステージに現れた山内は「なんかまたステージ上に増えてますよ?」とニヤリと笑いつつ、フジファブリックのライブ史上初めて迎えたダンサーであるZILLIONを「タイトルに“Dance”と入っているのに僕たちは誰も踊れない(笑)。でも事務所に素晴らしい新人がいたんです」と、所属事務所の後輩であることを紹介。まもなくデビューを迎える彼らを「俺らの19個下です。よろしくね」と観客に伝えた。

山内総一郎(左 / フジファブリック)と三原健司(右 / フレデリック)。(撮影:森好弘)

山内総一郎(左 / フジファブリック)と三原健司(右 / フレデリック)。(撮影:森好弘)[拡大]

そして「今日は素晴らしい仲間がお祝いに駆けつけてくれました」と紹介されて登場したのは、先日フジファブリックとともにコラボシングル「瞳のランデヴー」をリリースしたフレデリックの4人。大歓声に迎えられた三原健司(Vo, G)は「19周年おめでとうございます!」と先輩を祝福し、山内は「(対バンツアーの)『フジフレンドパーク』の福岡公演で一緒にやらせてもらったけど、なかなかやる機会がなくて。今回ちょっと無理を言って『空いてますか?』と聞いたら来てくれました!」と、再びのライブでのコラボを喜んだ。

ここで披露された曲はもちろん「瞳のランデヴー」。ステージ上の7人はアイコンタクトを取りつつ、楽しそうにポップなアンサンブルを奏でる。そんな彼らの様子と華やかなサウンドに引っ張られるように、オーディエンスも心地よさそうに体を動かした。演奏を終えた山内が「フレデリックももし何かあったら呼んでください!」と今度は自分たちがゲストを務めると申し出ると、三原健司は「……呼んでいいんですか?」と恐縮しつつもうれしそう。そんな彼はこの日の舞台裏について「楽屋でライブを観させていただきながら、『間に合わないかも!』ってバタバタ準備していたんですけど、フジファブリックのスタッフさんが『MCで押すから大丈夫です』と言ってくださって(笑)」と暴露。フジファブリックの3人は「そうだったなあ!」「スタッフはわかってる」と納得した様子で笑っていた。

フレデリックを送り出したのち、山内は6月から全国ツアーがスタートすることを発表してファンを大喜びさせた。「『Particle Dreams』というタイトルです。なんだろうって思うよね?……そのうちわかる」と含みをもたせた山内は「20周年に向けて今日がスタート、大きな花火を上げていきたいです。自分たちの力が続く限りはこのバンドをなくしません。そして皆さんと遥か彼方へ行きましょう」と高らかに宣言し、その願いを込めるように「STAR」と「徒然モノクローム」をパフォーマンスした。

すべての曲を終えたあとはZILLIONとフレデリックもステージに現れ、フジファブリックに改めて祝福の拍手を送る。山内が「最高の場所をまた一緒に作りましょう。いつも支えてくれてありがとう!」とファンへの感謝を述べると、3人は充実した表情で何度も手を振りながらステージを去っていった。

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フジファブリック「Dance Sing Revolution No.19」2023年4月14日 中野サンプラザホール セットリスト

01. TEENAGER
02. 東京
03. Magic
04. 楽園
05. 桜の季節
06. フラッシュダンス
07. Small World
08. Gum
09. sing
10. 音の庭
11. 若者のすべて
12. 星降る夜になったら
13. バタアシParty Night
14. ダンス2000
15. 銀河
16. Feverman
17. ミラクルレボリューション No.9
<アンコール>
18. 瞳のランデヴー
19. STAR
20. 徒然モノクローム

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※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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