Mrs. GREEN APPLEが2年半ぶりにファンと再会、活動再開後初のライブで届けた感謝と剥き出しの歌

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Mrs. GREEN APPLEが7月8日に神奈川・ぴあアリーナMMでワンマンライブ「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」を開催した。

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

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ミセスは2020年7月に“フェーズ1完結”を宣言し、約1年8カ月の活動休止期間を経て今年の3月に活動を再開。デビュー7周年記念日の7月8日にミニアルバム「Unity」をリリースし、“フェーズ2”初となるライブを行った。また本公演はミセスにとって、3人体制になってから初めてのライブでもある。

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)[拡大]

ステージを覆う紗幕に3人のシルエットが浮かび上がり、オーディエンスは喜びに満ちた大きな拍手で彼らを出迎える。紗幕が下ろされ、前回のライブから約2年5カ月ぶりにファンの前に姿を現した3人は、ゆっくりと階段を降り、サポートメンバーの森夏彦(B)と神田リョウ(Dr)の待つステージへと向かった。期待と緊張感が混ざり合う空気の中で、大森元貴(Vo, G)が「あぁ どうか いつか」と「Attitude」の一節を歌い始めると会場がどよめく。2019年10月に4thフルアルバムの表題曲として発表されるも、その後のツアー、ライブでも決して披露されることはなかった「Attitude」。彼らはフェーズ2初のライブをこの曲で始め、発表から2年半以上の時を経て、バンドの根幹にあるものをさらけ出すように音と言葉を解き放った。ステージで演奏する3人の表情は晴れやか。みずみずしく躍動感のあるサウンドが場内いっぱいに広がっていく。感極まるオーディエンスを前に「CHEERS」のイントロが始まると、舞台上で6つのミラーボールが点灯し、大森の「『Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia”』へようこそ! 楽しむ準備はできていますか? 最高の1日にしようぜ!」という元気な声が響き渡った。客席ではオーディエンスの高揚感がそのまま可視化されたかのようにライトバンドのカラフルな光がキラキラと揺れる。大森はメインステージから続く花道を歩き、センターステージで軽やかにステップを踏みながら楽しげに歌を届けた。会場の照明が暗くなり、陽気なムードから一転してスタートしたのは「L.P」。初期ナンバーの中でもとりわけミセスの“陰”の部分が反映されたこの曲で、感情が渦巻くような生々しい演奏が繰り広げられた。

藤澤涼架(Key)(撮影:上飯坂一)

藤澤涼架(Key)(撮影:上飯坂一)[拡大]

大森が「Mrs. GREEN APPLEです」と口を開き、メンバーはそれぞれ広い会場を見渡しながら手を振る。大森は「ちょっと感極まっちゃってるんですけど……2年半ぶりのライブですよ?」とひさしぶりの光景に感慨深げ。藤澤涼架(Key)は「おひさしぶりです! ひさびさにお会いすることができてとってもうれしいです。拍手もめちゃくちゃ届いてるし、マスクの下の笑顔とか、この3曲の中で届いてきたから。みんな思いっきり心から楽しんでくれたらいいなと思います!」と元気いっぱいに挨拶。若井滉斗(G)も「ただいま! 本当にみんなに会いたかったんです。鼻声なのはさっきちょっとだけ泣いたからです(笑)。今日は特別な1日なので、みんなで最高の“Utopia”を作り上げていけたらなと思います」と笑顔を浮かべた。「ワン、ツー、スリー、フォー!」のかけ声で始まったのは、2020年7月にリリースされたベストアルバム「5」の新録曲「アボイドノート」。ミセスはベストアルバム発売と同時に活動休止を発表したため、新作ミニアルバム「Unity」に加え、ベストアルバムの新録曲もこの日が初パフォーマンスとなった。壮大な風のようなサウンドを心地よく鳴らした彼らは、そのままメジャーデビュー曲「StaRt」へ。合いの手のような観客のクラップも、間奏で手によるウェーブが会場に広がる景色も変わらず。大森は懐かしい光景を前に「ただいまー!」と叫んだ。ステージを全力疾走して会場を盛り上げる藤澤の姿も健在。若井はセンターステージでファンに囲まれながら生き生きとギターソロを展開した。

若井滉斗(G)(撮影:上飯坂一)

若井滉斗(G)(撮影:上飯坂一)[拡大]

ライブであまり披露されることのない「道徳と皿」の演奏が始まると、この日何度目かもわからない観客のどよめきもひときわ大きなものに。決して美しいだけではない世界でもあきらめずに温かいものを忘れずにずっと生きていくという、ミセスの根底にある決意とメッセージが打ち鳴らされた。「PRESENT」では大森がセンターステージに立ち、英語と日本語をミックスさせながら声を弾ませて温かな歌を観客に贈る。「嘘じゃないよ」では美しいアンサンブルと、愛おしさと寂しさをにじませた大森の歌声が場内に響き渡った。これまで多くのリスナーの背中を押してきたであろうナンバー「In the Morning」を経て、彼らは新作ミニアルバム「Unity」の収録曲も披露していく。大森が「ここでスペシャルゲストを呼びます!」と宣言すると、新曲「ブルーアンビエンス(feat. asmi)」にフィーチャリングゲストとして参加したasmiがステージに登場。疾走感のあるバンドサウンドに乗せて大森とasmiが交互に掛け合い、思春期の感情を勢いよく歌い上げた。

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)[拡大]

asmiがステージを去ったあと、ミセスは花びらが舞う月夜の映像をバックに「月とアネモネ」を演奏。たゆたうようなメロディと儚さを感じさせる歌声が、オーディエンスを幻想的な夜の世界へと誘った。ノイズがかったイントロでスタートしたのは「延々」。ステージで吹き上がる緑色の炎の柱とカオティックなアンサンブル、強く言葉を吐き捨てるような大森の歌唱がダークな雰囲気を生み出す。その後バンドは白い光に包まれながらバラードナンバー「君を知らない」をゆったりと紡ぐ。感情的なギターソロやメロディアスな鍵盤ソロ、大森の叫ぶような歌声がオーディエンスの胸を深く突いた。

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)[拡大]

ひと呼吸置いて、大森は「休止期間どうだった? 2人は共同生活してたんだよね」と若井と藤澤に話を振る。若井と藤澤は共同生活中に当番制でごはんを作り合っていたとのことで、若井は「りょうちゃんはキノコ料理が得意」、藤澤は「若井は素麺を白だしで調理してくれて、それがとってもおいしかった」と互いの得意料理を明かした。大森が「約2年間のお休みをいただきまして、こうして今日を迎えてフェーズ2を開幕することができているわけですけど、その2年間の間に『ミセスのストリーミング総再生回数が20億回いきました』ってスタッフさんから連絡をいただいて。休止中に拡大してるのがすごく不思議な気持ちだったんですよね。めちゃくちゃ曲を愛してくれてるんだなって」と話し、「たくさん聴いてくれたということで、その曲をちょっと歌っちゃおうかな」と宣言。そしてここからは活動休止中も配信チャート上位にタイトルが刻まれ続けた代表曲を惜しみなく連投した。「僕のこと」では壮大なサウンドと包容力を感じさせる歌声に観客がじっくりと聴き入る。「夏が始まったんじゃないの? いけるかー!」という大森の言葉のあとに続いたのは「青と夏」。今は活動休止前のように観客が歌うことはできないが、大森が「心で歌え!」とオーディエンスに合唱パートを渡すと、「夏が始まった 君はどうだ」という心の歌声で会場がひとつになった。そのままミセスは「インフェルノ」へ勢いよく突入。火柱が激しく吹き上がるステージで心の炎をたぎらせるように熱のこもった演奏を繰り広げた。

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

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EDMチューン「うブ」ではビビッドなレーザーライトが激しく交錯。観客が自由に体を揺らして会場はダンスフロアと化した。「ロマンチシズム」ではカラフルなイラストによる“街”がステージに登場。この曲のミュージックビデオのようにミセスは街の中で演奏を繰り広げ、ステージに敷かれたベルトコンベアによってメンバーが街を歩いているような光景も描かれた。軽やかなカッティングギターで始まったのは「ダンスホール」。ミラーボールの光に彩られながら大森と8人のダンサーたちがショーのようにキレのあるダンスを繰り広げ、最後には金色のテープが鮮やかに会場を舞った。

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

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ここで大森は「編成が変わりまして。5人から3人になりました。大きな衝撃を与えてしまったと思うし、すごく寂しく、大きな出来事でした」と話を切り出す。そして彼が「でもフェーズ2という新章が始まりまして、こうして僕らもいろんな不安の中走り出して、これだけの人たちが集まってくださって……信じられないというか、どういうMCをしたらいいのかわからないくらいの気持ちになっています。ありがとうございます」と深々と頭を下げると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。大森は「フェーズ1とはなんなのかという話ですけど、わかりやすく形容してるだけです。だから、特に深い意味はないです。もともとやろうと思っていたプランが大きくそれた出来事があったものだから、逆張りじゃないけど、いろんなバランスで今日ここにこういう姿で立ってるんじゃないかなと思います」と真摯にファンに伝え、「フェーズ1のことを語るのはすごくセンシティブなものがあって。でも、ひと言で言うと、僕は本当にフェーズ1が大好きだし、すっげえ楽しかった」と言い切る。彼は「すごく青春でした。でも、青春は終わったわけではなくて、また新しい出会いや別れを繰り返していくのが生きていることだと思っています。そんな曲をたくさん書いてきましたが、いざ自分の身にそういうことが降りかかってくるとどういう指針で進んでいったらわからないと、毎日そんなことを考えます」と話を続け、「でも、すっごいあったかいものが詰まってる。結成から7年間、メジャーデビューから5年間、僕らはそれをずっと歌っていきます、今後も」と優しい眼差しで語った。「僕らにとっての青春ソングを歌います」と大森が告げ、演奏したのはベストアルバムの最後に収録され、フェーズ1を締めくくったナンバー「Theater」。メンバーは大切な思い出に触れるように1音1音丁寧にじっくりとサウンドを鳴らした。静寂の間を置いて、藤澤が紡ぐ繊細なメロディをバックに大森はセンターステージへ。彼が大きく息を吸って歌い始めたのは「Part of me」。光の柱に囲まれながら、大森は胸の内にある思いをそっと吐露するように剥き出しの歌を届ける。最後に彼はスモークが漂う花道をゆっくりと歩いてメンバーが待つメインステージへとたどり着き、白い光の中へと消えていった。

藤澤涼架(Key)と若井滉斗(G)。(撮影:上飯坂一)

藤澤涼架(Key)と若井滉斗(G)。(撮影:上飯坂一)[拡大]

オーディエンスの力のこもった拍手がメンバーをステージに呼び戻す。彼らは向かい合って一斉に音を鳴らし、これまでもライブでずっと披露してきた「我逢人」を楽しげに演奏した。若井は「まずは今日来てくれてる方、配信を観てくれてる方、本当にありがとうございました。このライブもそうですが、僕らの休止期間というのものは自分たちだけじゃ乗り越えられなかったものだと思っています。正直つらいときもありました。けど、周りの人たちが、たくさんの方がサポートしてくれて、こうやって今日ここに立てていることが本当にうれしいです。すべての人にありがとうございます!」とまっすぐに感謝の思いを伝えて、目からあふれる涙をぬぐう。藤澤は「約2年間休止していて、もちろんフェーズ2はまたみんなに会うための期間としてがんばっていたんですけど、やっぱり2年もあったので、不安になることもいっぱいありました。みんなが本当に待ってくれてるのかなって。SNSも1回辞めたし。だから、フェーズ2が始まってみんながコメントをくれたのもすごくうれしかったし、今日こうやってみんなとライブができて楽しい時間を過ごせるのは本当に幸せなことだなと思いました。ありがとうございます!」と弾けるような笑顔を見せた。

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)

大森元貴(Vo, G)(撮影:上飯坂一)[拡大]

大森は「あの……すごく支えられてます。それはサポートメンバーの2人もそうだし、僕は若井にもりょうちゃんにもすごく支えてもらっています。いやあ……俺、泣きそうかも、今……! 初なんだけど……!? うれしい……俺はステージ上で泣けないから、すごくドライな人間なんだって思ってたんだよ」と自分自身に驚きを隠せない様子で、「やっぱりすごい怖かったよね、走り出すの」と本音をこぼす。節目のライブでもMC中に泣くことはなく、ステージ上で決して不安を口にすることもなかった大森だが、彼は涙で声を詰まらせながら「自分で言うのも変だけど、真面目に活動しすぎてきたものですから、すごくつらかったし、休みたいって言っちゃったし、いなくなっちゃう人とか出てくるし、すげえ怖いし不安だったんだけど、もう本当に今日よかったです。ありがとうございます」とこれまでに見せたことのないようなあどけない表情で話し、客席に向かって深々とおじぎをした。

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)

「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の様子。(撮影:上飯坂一)[拡大]

「さあ! ということで今日は終わりにしましょう!」と大森は明るく告げ、「毎日生きるのが大変な人の味方でありたいし、味方でいてほしいです。みんなで明日を越えていきましょう、毎日! がんばろう!」と呼びかける。ラストナンバーはミセスが活動再開と同時に発表した、フェーズ2一発目の楽曲「ニュー・マイ・ノーマル」。ミセスは新たな始まりの歌を晴れやかに届け、紙吹雪が舞う美しい光景の中で活動再開後初のライブを終えた。最後に3人は手をつなぎ、マイクを通さずに「ありがとうございました!」と力いっぱい観客に伝える。そして笑顔を輝かせて肩を組み、ファンの温かな拍手を浴びながらステージを去って行った。

なおMrs. GREEN APPLEは11月から12月にかけて初のZeppツアー「Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~」を開催する。「ゼンジン未到」は彼らがアマチュア時代から行ってきたライブシリーズ。バンドのオフィシャルファンクラブ「Ringo Jam」では、ファンクラブ会員かつミニアルバム「Unity」の購入者を対象にしたチケットの最速先行予約を7月31日23:59まで受け付けている。

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Mrs. GREEN APPLE「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」2022年7月8日 ぴあアリーナMM セットリスト

01. Attitude
02. CHEERS
03. L.P
04. アボイドノート
05. StaRt
06. 道徳と皿
07. PRESENT
08. 嘘じゃないよ
09. In the Morning
10. ブルーアンビエンス(feat. asmi)
11. 月とアネモネ
12. 延々
13. 君を知らない
14. 僕のこと
15. 青と夏
16. インフェルノ
17. うブ
18. ロマンチシズム
19. ダンスホール
20. Theater
21. Part of me
<アンコール>
22. 我逢人
23. ニュー・マイ・ノーマル

Mrs. GREEN APPLE ゼンジン未到とリライアンス~復誦編~

2022年11月9日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
2022年11月10日(木)神奈川県 KT Zepp Yokohama
2022年11月14日(月)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
2022年11月15日(火)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
2022年11月21日(月)愛知県 Zepp Nagoya
2022年11月22日(火)愛知県 Zepp Nagoya
2022年11月29日(火)北海道 Zepp Sapporo
2022年11月30日(水)北海道 Zepp Sapporo
2022年12月6日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2022年12月7日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2022年12月13日(火)福岡県 Zepp Fukuoka
2022年12月14日(水)福岡県 Zepp Fukuoka
2022年12月26日(月)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
2022年12月27日(火)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

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