3年ぶり「YON FES」初日は奇跡のような1日に「俺にはこの場所が必要」

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04 Limited Sazabysが主催する野外イベント「YON FES 2022」が4月2、3日に愛知県の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催中。この記事では1日目公演のレポートを掲載する。

「YON FES 2022」1日目公演終了後の記念撮影

「YON FES 2022」1日目公演終了後の記念撮影

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「YON FES」は2016年にスタートしたイベント。2019年まで毎年行われてきたが、「YON FES 2020」は新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑みて中止となり、2021年の開催も叶わなかった。約3年ぶりとなる「YON FES 2022」ではこれまでと異なる位置にSKY STAGEとLAND STAGEの2ステージが設置され、観客が移動せずに両ステージを観られる構成に。ここでは出演者11組が繰り広げた熱演の模様をレポートする。

「YON FES 2022」1日目公演の様子。

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「YON FES 2022」1日目公演の前説の様子。

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晴天で迎えた初日。開演前にはフォーリミが、「愛・地球博」公式キャラクターのモリゾー、キッコロらとともにステージに登場し、「『YON FES』帰ってきましたー! ひさしぶり!」と挨拶しながら、注意事項をアナウンスする。彼らがおなじみの「1、2、3、『YON FES』!」というかけ声を行おうとすると、突然ステージに出演予定のなかったKEYTALKの小野武正(G, Cho)が乱入してフォーリミメンバーと観客を驚かせた。そして彼らは再び恒例のかけ声で観客を盛り上げて、にぎやかに初日公演をスタートさせた。

Hump Back

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SKY STAGEのトップバッター・Hump Backが高らかに「拝啓、少年よ」でライブの幕を開けると、彼女たちのエネルギッシュなパフォーマンスに呼応するように、モリコロパークにはたくさんの拳が上がる。林萌々子(Vo, G)はギターをつま弾きながら「Hump Backというバンドを組んだのは13年前の春だ。愛も恋も全部このバンドに溶けていったんだ。夢も青春も全部このバンドに捧げてきたんだ。大好きなことがあるっていうこと、夢中になれることがあること、それが青春なんやと思う」とバンドへの思いを爆発させ、3人は「番狂わせ」や「ティーンエイジサンセット」をみずみずしく演奏していく。最後には「祈るとか願うとかそういうことよりも、歌うってことのほうが自分に合ってる気がするんで」との彼女たちらしい言葉とともに「僕らは今日も車の中」で朝イチのステージを締めくくった。LAND STAGEのトップバッターを務めたのは静岡出身のTrack's。「YON FES」初出演となる彼らは「SUMMER」で勢いを付けると、「GreenHouse」「Silly man」「Magic」とパンキッシュなナンバーを続ける。「俺らみたいな社会の底辺みたいなバンドを呼んでくれてありがとうございます。マジで心広いっスわ」とフォーリミへの感謝を告げたあとは「今の俺ら最高なんで」と言い、サーフチューン「SURF」やミディアムナンバー「Shade Sun」を堂々と届けた。

SHANK

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続いてSKY STAGEに登場したのはSHANK。2020年9月発表の「Candy Cruise EP」の収録曲「Rising Down」を勢いよく演奏したところで、会場に吹くさわやかな風を浴びた庵原将平(Vo, B)が「フウー! 気持ちいい」と笑顔を浮かべる。バンドはリズミカルなベースフレーズが印象的な「620」、人気曲「Good Night Darling」を続けてオーディエンスを喜ばせ、MCでは庵原が「ありがとうフォーリミ !大好きですホント」と伝えた。その後も彼らは怒涛のように曲を畳みかけ、終盤には舞台袖からのリクエストを受けて「Weather is Beautiful」を披露してオーディエンスを盛り上げた。愛知・名古屋発のSuspended 4thは4月20日にリリースする1stシングルの表題曲「KARMA」を1曲目にセレクト。ヘビーなサウンドに寂寥感のある歌声を重ね、気だるげながらも熱量を感じさせるパフォーマンスで観客のボルテージを引き上げる。Hiromu Fukuda(B)によるスキルフルな速弾きを経て演奏されたのは人気曲「ストラトキャスター・シーサイド」。メロディアスなサビでは観客が一斉にハンズアップした。「INVERSION」の演奏中にはKazuki Washiyama(G, Vo)が「フォーリミ開催してくれてありがとうございます!」と叫んで絶唱。観客に情緒的な世界観を印象付けてステージをあとにした。

go!go!vanillas

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go!go!vanillasのステージは「LIFE IS BEAUTIFUL」で幕開け。軽快な演奏と厚みのあるハーモニーで、モリコロパークに温かな風を吹き込む。「思い切り弾けていこうぜ!」との言葉のあとには、ジェットセイヤ(Dr)が立ち上がり、牧達弥(Vo, G)、柳沢進太郎(G)、長谷川プリティ敬祐(B)はステージを動きまわるなど、まさに弾けるようなプレイで観客を盛り上げる。3月30日にリリースされたばかりの最新曲「青いの。」では牧がフロアを見渡したり、空を見上げたりしながら歌っていると、少しずつ雲が晴れて青空が広がるというドラマチックな一幕も。柳沢の先導でオーディエンスとともにリズミカルなハンドクラップを刻み一体感を生み出すと、勢いそのままに「カウンターアクション」「平成ペイン」をプレイした。続いてLAND STAGEに登場したAge Factoryも「YON FES」初出演。清水エイスケ(Vo, G)が「2022年の今、こんなときに俺らのライブを観てくれてたのは絶対に偶然じゃないんで。この空みたいにどこまでもAge Factoryの音が届けばいいと思います」とまっすぐな思いを口にする。バンドはそんなピュアな感情を全開にして、清水が空に手を伸ばしながら歌った「Dance all night my friends」や、さわやかな「Merry go round」を届けていく。ラストナンバー「See you in my dream」では3人が感情をむき出しにし、ひときわエモーショナルな演奏を見せた。

Vaundy

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「YON FES 2022」の出演者の中で最年少のVaundyは、Spotify PremiumのCMソングとしても注目を集めた「不可幸力」を艶のある声で歌い上げる。彼は「踊る準備はできてるかい?」と呼びかけ、跳ねるようなリズムの「踊り子」でオーディエンスの体を揺らした。MCでは「今日は呼んでいただき本当にありがとうございます。フォーリミからの期待を背負って立たせていただいてるのでワンマンの気持ちでやらせていただきます」と意気込み、人気曲「東京フラッシュ」を気合十分の様相で歌唱。彼はラストスパートをかけるようにアッパーな「花占い」「怪獣の花唄」で観客のボルテージを引き上げて次のアクトにバトンをつないだ。バトンを受け取ったENTHは、同郷であるフォーリミへのリスペクトを感じさせるパフォーマンスを展開。「I'm the Fool」でハイテンションに滑り出したあと、ステージにはバニーガールならぬ“バニーボーイ”がお茶を持って登場し、メンバーはそのお茶を手に「『YON FES』開催おめでとう」と乾杯した。daipon(Vo, B)は「YON FES」について「自分らのフェスなんじゃないかと思ってきてますし、『お祭り的な場所にしたい』とGEN(04 Limited Sazabys)くんと同じことを思ってます」と語り、そのままフォーリミの「Buster Call」の冒頭を歌い上げて観客を沸かせた。

MAN WITH A MISSION

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初出演のMAN WITH A MISSIONは挨拶もそこそこにエッジの効いた「Change the World」を投下。Jean-Ken Johnny(G, Vo, Raps)のラップが炸裂する「database」では、観客が手を左右に揺らしたりハンドクラップしたりと、場内が一体感に包まれた。中盤には「Remember Me」「yoake」とミディアムナンバーを続けてメランコリックなムードにしたかと思えば、キラーチューン「FLY AGAIN」で再び場内をヒートアップさせる。「イイトコロデスネ、モリコロパーク。フォーリミノ皆サンニ聞イタトコロニヨルト、ジブリパークガデキテモココデヤリタイト。(そのときは)マタ呼ンデクダサイ。モノノケノ里ニイマスノデ(笑)」とオオカミらしいジョークも飛ばし、最後に「Emotions」で盛り上げた。LAND STAGEのトリを務めるのは、こちらも「YON FES」初出演となるTOTALFAT。1曲目「Place to Try」から、クライマックスのようなエモーショナルな演奏を見せ、気合いを感じさせる。さらに終盤「Overdrive」では、KEYTALKの小野が突然ギターを持って演奏に加わる。Shun(Vo, B)が、「ここに来る途中にヤバいギター小僧がいたから連れてきたぞ!」と改めて小野を紹介し、4人で「PARTY PARTY」をプレイしたかと思いきや、演奏中にフォーリミの「swim」をカバー。お祭りムードの余韻を漂わせてフォーリミへとつないだ。

04 Limited Sazabys

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徐々にあたりが暗くなり空気が冷えていく中、トリのフォーリミが登場。1曲目は先ほどENTHが披露した「Buster call」だ。GEN(B, Vo)がエモーショナルな歌い出しで観客の心を一気につかみ、バンドは「climb」「kitchen」とみずみずしいサウンドでアップテンポなナンバーをつなげて熱気を高めていく。「Now here, No where」という懐かしい楽曲を経て、GENは「3年ぶりに帰って来たね。ただいま! ひさしぶりすぎて『YON FES』ってどうやってやってたっけ?みたいな感じ。でも皆さんと出てくれたアーティストのおかげで奇跡みたいな1日になってます。本当に力を貸してくれた皆さんありがとうございます。雨も降るのを待ってくれているみたいなので一緒にいいとこいきましょう」と意気込んだ。日が落ちた頃に演奏されたのは「knife」。場内に荒々しいサウンドとブラストビートが轟き、夜を迎えた会場にぴったりの怪しげなムードが演出された。そしてGENが「世の中のほとんどの悩みは過去への後悔と未来への不安だと思いますが、俺たちは今が大好きです。今一番届いてほしい曲、『JUST』」と前置きをして、同曲のパフォーマンスへ。4人は「JUST」の演奏を通して観客に思いを伝えた。

GEN(04 Limited Sazabys / B, Vo)

GEN(04 Limited Sazabys / B, Vo)[拡大]

アンコールでは、GENが「『YON FES』やライブができない期間はバンドマンとして呼吸ができなくて、ずっと家にいると不幸なヤツな気がして勝手に傷付いてた。それで結局俺にはバンドしかないと気付きました。俺にはこの場所が必要なので、一緒に守って行きましょう」と観客に呼びかけた。そしてポツポツと雨が降り始めた空を見上げて、「これは演出だと思う」とほほえみ、「空は五月雨どうして不安を流して」「雨上がりかかるあの虹を探しに」という歌詞が印象的な「Squall」を力強く歌い上げた。最後にGENが「俺たちは名古屋04 Limited Sazabys、忘れるな!」と叫んでから、フォーリミはショートチューン「Remember」をパワフルに届けて「YON FES 2022」1日目を締めくくった。

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撮影:鈴木公平 / 藤井拓 / 藤川正典 / ヤオタケシ

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