04 Limited Sazabys主催の野外フェス「YON FES 2022」が4月2、3日に愛知の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で行われる。
「YON FES」は2016年にスタートしたイベント。2019年まで毎年行われてきたが、「YON FES 2020」は新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑みて中止となった。約3年ぶりとなる「YON FES 2022」には、主催のフォーリミをはじめ、初出演となるAge Factory、Vaundy、Saucy Dog、ハンブレッダーズなど、計21組が出演する。
音楽ナタリーでは、「YON FES 2022」の開催に向けてフォーリミのメンバーにインタビュー。3年ぶりの開催を控えた現在の心境や出演アーティストへの思いを語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 大川晋児
「YON FES」を改めてイチから作るような気持ち
──「YON FES 2020」開催前も例年のようにイベントに向けたインタビューをさせてもらいましたが(参照:「YON FES 2020」特集)、コロナ禍により、やむなく中止になってしまいました。当時の心境から聞かせてもらってもいいですか?
GEN(B, Vo) 中止にするというよりは、どうにかやり方を見つけて開催したいと思っていたので、中止にせざるを得ないという状況になったときは純粋に悔しかったですね。悔しかったし、申し訳なかった。
HIROKAZ(G) 「どうにか延期で……」と考えていたんですけど難しくて。
──翌年2021年も「YON FES」は中止。その代わりに、“フォーリミの日”としている4月4日に愛知県の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)でのアコースティックライブの様子が配信されました。私も配信を拝見しましたが、モリコロパークの美しさも感じられて、グッときました。
GEN 2年連続で4月4日に何もないのは寂しいし、未来への期待を感じてもらいたいなと思ってやりました。「ライブを」というよりは、何かをやりたかったんです。モリコロパークでライブをやるということは急遽決まったのですが、改めてモリコロパークの環境のよさを見せられたと思うし、ファンの人を喜ばせることができてよかったです。あの日、たまたまモリコロパークに遊びに来ているファンの子がいたんですよ。喜んでくれている姿を目の前で見られたのもよかったです。
──そして今年、「YON FES」は3年ぶりの開催となります。これまでとは違うことも多いとは思いますが、どのような気持ちで準備を進めていますか?
GEN 今まで築いてきたノウハウを使いつつも、3年ぶりだし、状況も前と違うので、1年目の気持ちというか。改めてイチから作るような気持ちです。
KOUHEI(Dr, Cho) コロナ禍ということに加えて、モリコロパークの工事の関係もあって、会場の使い方が例年とは異なるんです。「新しさ」と言うには微妙ですけど、みんなで対応していけたらと思っています。いろんなイベントやフェスに行って思ったのが、出ている俺らよりも、お客さんが順応してくれる部分が大きいんですよね。規制退場だったり、ソーシャルディスタンスを保つための導線だったり。だからお客さんにとって一番快適な空間を作ることが大事だなと思っています。
──今年はステージの位置も変わるそうですね。
HIROKAZ そうなんですよ。お客さんが移動せずにSKY STAGEもLAND STAGEも見られるのはいいところなんじゃないかなと思っています。次回以降もこの形になるかはわかりませんが、今回は今回で、できる範囲内でいい環境になっていると思います。
男臭いAge Factory、かわいいVaundy
──ここからは出演者について聞いていきたいと思います。今年は、My Hair is BadやSHANKといった「YON FES」お馴染みのアーティストに加えて、初出演のアーティストも多いですね。2020年に初出演となる予定だったMAN WITH A MISSION、Suspended 4th、TOTALFAT、Track's、SPARK!!SOUND!!SHOW!!については前回も伺っているので、まずは今回初めてラインナップされた4組について聞かせてください。まずは初日に出演するAge Factoryから。
GEN Age Factoryは絡みがないときから「カッコいいよね」とメンバー間で話をしていて、いつか出てもらいたいなとは思ってたんです。そのうちに僕が仲よくなって、奈良大学の学園祭「青垣祭」で対バンして。常に新しいことをしているバンドなので、今どんな感じのライブをするのか観てみたいし、みんなにも観てもらいなと思って声をかけました。
RYU-TA(G, Cho) Age Factoryは人柄も音も男臭くて、大好きです。
HIROKAZ (清水エイスケ[Vo, G]の)声も独特でカッコいいですよね。
──「YON FES」ではどんなライブを期待しますか?
GEN Age Factoryと同世代のバンドが多いので熱くなるんじゃないかな。そういう負けん気があふれているライブが観たいですね。
──続いてはVaundy。昨年はライブナタリー主催のツーマンライブ「ライブナタリー “Vaundy × 04 Limited Sazabys”」で共演されていました(参照:Vaundy×04 Limited Sazabys、両者初の日比谷野音で伝説作り上げた秋雨の一夜)。
GEN はい、あの日がきっかけでオファーをして。今回のメンツの中では一番新しく出会ったアーティストです。この2年の間に出会ったアーティストを「YON FES」に連れて行けるのはすごく大きな意味を持つと思っています。Vaundyは曲のよさと演奏のクオリティで戦えるのに、この間一緒にやったときなんかは、僕たちみたいに外音をデカくしてきて。そういうところでも勝ちに来ている感じがして、気持ちいいなと思いました。
RYU-TA バックバンドのメンバーがすごいというのもありますけど、そもそも曲がいいですよね。普段からよく聴いてます。
KOUHEI あの若さであれだけ堂々とできるのがすごいなと思いました。自分があの歳だったとき、あんなに堂々とできていた自信ないですもん。
RYU-TA あと、かわいいですね。
全員 かわいい!
GEN まあ、若い子全般かわいいと思う年齢になってきてはいますけど(笑)。Vaundyは今回のメンバーの中で一番年下ですからね。Vaundyも含めて、最近は普通に中高校生のときに僕たちの曲を聴いたりコピーしたりしてくれていた世代が、こうやって活躍しているんですよ。そういう下の世代からの突き上げを強烈に感じますね。
──Vaundyさんには当日どんなことを期待しますか?
HIROKAZ 出演者は普段Vaundyが絡まなさそうなバンドばかりなので、そういうバンドにもVaundyを観てもらいたいし、Vaundyにもほかのバンドを観てもらいたいです。
GEN それこそ、マンウィズ(MAN WITH A MISSION)先輩とかもひっくり返るようなライブをしてほしいです。
逆オファーをくれたサウシー、アンコール中にオファーしたハンブレ
──2日目はSaucy Dogとハンブレッダーズが初出演です。まずはSaucy Dogから。
GEN Saucy Dogは、この中で唯一、誘ってないバンドなんです。
──「誘ってない」というと?
HIROKAZ 逆オファーだったんです。
GEN コロナ禍になってから、Saucy Dogとかマカロニえんぴつとか、純度の高いポップスをやっているバンドが躍進しているイメージがあって。すごくいいことだなと思っていたんです。そういう意味でも、もちろんSaucy Dogも候補には上がったんですけど、ステージのバランスを考えると今年は呼べないなと思っていて。そしたらSaucy Dogから「どんな条件でもいいから出たい」と逆オファーをくれたので、ありがたいなと思って「じゃあお願い」って。
KOUHEI これだけ活躍しているのに「どんな条件でもいいから出させてほしい」と言ってきてくれるという“バンドマン感”が、昔から変わっていないのがいいですよね。Saucy Dogって、僕らと音楽性は違いますけど、そのバンドマンシップのようなところに同じものを感じるので好きだし、その気持ちに応えたいと思いました。
──Saucy Dogにはどんなライブを期待しますか?
GEN 個人的に、2日目の“歌部門”で言ったら、Saucy Dogが一番だと思ってるんです。もちろんみんなそれぞれに魅力はあるけど、“歌力”はSaucy Dogかなって。だから圧倒的な歌力を見たいですね。こいちゃん(Crossfaithのkoie[Vo])なんか、びっくりしてもう一生メロディ歌わなくなっちゃうんじゃないかな(笑)。それくらい圧倒的な歌を聴きたいですね。曲も、慎ちゃん(Saucy Dogの石原慎也[Vo, G])の歌も、昔からめちゃくちゃいいけど、今はさらにパワーアップしているだろうから。あとは「YON FES」の“対バン感”の中で、どう自分たちの武器を磨いてくるのかも楽しみ。
──ではハンブレッダーズはいかがですか?
GEN ハンブレッダーズはけっこう前から、メンバーと面識はなかったけど曲は聴いていたんです。きっかけはインディーズアーティストのディストロをやっている「HOLIDAY! RECORDS」が押していたこと。気になって聴いてみたら「確かに曲がいいな」と思って。で、そろそろライブを観てみたいなと思っていた今年の1月に、イベントで一緒になって。ライブを観てメンバー総意で「いいね」となったので、その日に声かけました。
──その日に?
GEN はい、ハンブレのアンコールの途中でステージに出てオファーをしました。
──実は事前に話をしていたということでもなく、本当にその場でオファーを?
GEN はい。彼ら、そのあと急いでスケジュール調整してました。
KOUHEI というのも、ハンブレに期待はしていて「ライブを観てよかったら誘おう」と思ってたんです。ライブを観ない状態で誘うのは違うなと思っていたので。で、その日ライブを観てみんなで「いいね」と。
GEN 「スペシャのヨルジュウ♪」(GENがMCを務めるスペースシャワーTVの番組)にゲストで来てもらったこともあって人となりは知っていたので、あとはライブを観るだけでしたね。
──どのような人となりなんでしょうか?
全員 陰キャです(笑)。
KOUHEI 陰キャというか真面目なんですよね。個人的には、木島(ハンブレッダーズ / Dr)の趣味が料理と聞いて、一気に距離が縮まりました。
GEN 彼らは自分たちで「スクールカーストの最底辺」と言っていますけど、まさにそういう、クラスの端っこにいそうなやつが楽器を持ってステージに立ったらカッコいいというのを体現していて、グッときます。
──ハンブレッターズにはどんなライブを期待しますか?
GEN 陰キャ代表として、輩っぽいCrossfaithとか、年齢が近いハルカミライとか、そういう「YON FES」に馴染みのあるバンドを食うようなライブをしてほしいですね。
HIROKAZ それこそ「YON FES」をきっかけにCrossfaithとかスサシ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)がハンブレと仲よくなったら面白いですよね。
GEN 確かに、改めてこうやって見ると、ハンブレは誰とも仲よくなれなそうだな……(笑)。Wiennersが優しくしてくれるくらいかもしれない(笑)。
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初年度に出ていたバンドに帰ってきてほしい