ギターを手にした田中和将(Vo, G)が優しいストロークを奏でながら歌い始めたのは「虎を放つ」。ライブアレンジのアウトロでしっかりセッションを届けた5人は、田中の手を高く掲げる合図に合わせ2曲目「Alright」「EVIL EYE」とアッパーな曲を立て続けに演奏した。「マスクの光景にも慣れてきました」とMCを始めた田中は「いい演奏にはいい拍手で、マスクの下は笑顔で」と呼びかけ、早速演奏を再開。根強いファンが多いミニアルバム「Everyman,everywhere」の収録曲である「Metamorphose」やシングル曲「ジュブナイル」といった近年のワンマンライブではなかなか披露されてこなった楽曲が繰り出されると、客席からは力の入った“いい拍手”がバンドに贈られた。
「BABEL」の演奏中にはステージ上から真っ白な照明がホールの天井に伸び、視覚面でも楽しめるようなステージングが繰り広げられる。隙間のあるサウンドにメンバーのファルセットで彩りを添えた「ねずみ浄土」、昨今の世相を示唆するかのようなアイロニカルな1曲「KINGDOM COME」などを経てライブは中盤へ。さらに田中は「世界が変わるにつれて」「アナザーワールド」を立て続けに歌い、ディープな楽曲の世界観にオーディエンスを引き込んでいく。演奏がひと段落すると田中は本ツアーのことを「特に名目のないツアー」と表現。さらに「多分知らん曲ばっかりやろ。全部新曲です」と冗談を飛ばしながらも「1つだけ本当のことを言います。我々は今年でメジャーデビュー25周年です」と話し、オーディエンスの喝采をさらう。ファンからの祝福に満面の笑みで返した田中は「あと63万曲やります」とジョークを交えながらも気合を入れ「Silverado」でライブを再開させた。ライブ終盤、「阿」や「その未来」といったアッパーチューンで会場内の熱気を引き上げた彼らが最後に繰り出したのは、ずっしりとしたリズムの「Gifted」。緩急を付けたセットリストで観る者の感情を揺さぶった彼らは、深い余韻を残してステージをあとにした。
アンコールで再びステージに姿を表した5人は、田中の「よし、やるぞー!」という言葉を合図に「BREAKTHROUGH」でライブを再開。さらに「気がついたら 春だったとは」という一節が登場する「手のひらの上」を届け、「SPRING TOUR」の名にふさわしい曲目でオーディエンスに春の訪れを告げる。言わずと知れた代表曲「スロウ」に続き、この日最後に彼らがプレイしたのは「ふれていたい」。ライブならではのアレンジでメジャーデビュー25周年の実力をまざまざと見せつけた彼らは、この日一番の盛大な拍手が鳴り響く中、この日のライブを締めくくった。
GRAPEVINE「SPRING TOUR」2022年3月17日 中野サンプラザホール セットリスト
01. 虎を放つ
02. Alright
03. EVIL EYE
04. 目覚ましはいつも鳴りやまない
05. Metamorphose
06. 雪解け
07. ジュブナイル
08. BABEL
09. Neo Burlesque
10. ねずみ浄土
11. KINGDOM COME
12. 世界が変わるにつれて
13. アナザーワールド
14. Silverado
15. Shame
16. 阿
17. さみだれ
18. その未来
19. Gifted
<アンコール>
20. BREAKTHROUGH
21. 手のひらの上
22. スロウ
23. ふれていたい
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