オサカナことsora tob sakanaは、2014年7月に結成されたアイドルグループ。ポストロック、エレクトロニカを基調とする楽曲とイノセントなメンバーの歌声やパフォーマンスで高い評価を集め、2018年5月にメジャーデビューを果たすも、今年5月に解散を発表し、アイドルシーンを騒然とさせた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、動員数を抑えて行われたラストライブの入場チケットは、6万8000円のSS席、3万6800円のS席、1万5800円のA席の3タイプで販売され、いずれもソールドアウト。ライブの模様は有料生配信され、国内6カ所の映画館ではライブビューイングも行われた。またラストライブを映像化するために実施されたクラウドファンディングには、目標額の1000万円を大きく超える約4600万円もの金額が集まった。
日本青年館や映画館に集まった観客、配信を視聴するファンが開演を待つ中、ライブ会場の客電が落ちると、クジラの鳴き声が響きわたり、壮大なインスト曲「whale song」がスタート。ステージを覆う紗幕にはVJによりクジラが映し出され、徐々にライブのロゴが形成されていく。そして紗幕に浮かび上がる形で現れた神崎風花、寺口夏花、山崎愛は、「sora tob sakana、はじめます」という言葉から「ribbon」でパフォーマンスを開始。幻想的な楽曲に乗ってメンバーのシルエットが影絵のように動く。観客がその世界観に引き込まれていく中、1stシングルの表題曲「夜空を全部」がスタートすると紗幕が落ち、鮮やかな新衣装の3人がバンドメンバーと共に現れる。グループの代名詞的ナンバーで一気にパフォーマンスのテンションを引き上げた彼女たちは、「knock!knock!」「夢の盗賊」を連発。短い挨拶を挟みつつ、駆け抜けるように次々と楽曲を披露し、VJによる炎の演出が定番となっていた「鋭角な日常」では火花の特効が炸裂した。
ポップな「Brand New Blue」でアイドルらしい一面を見せたオサカナは、「タイムトラベルして」「秘密」「シューティングスター・ランデブー」といった楽曲をキュートに歌い踊り、イントロにダンスパートが加えられた「魔法の言葉」を続けて披露。「乱反射の季節」や「My notes」ではメンバーの背後のLEDパネルが動き、グループ史上例を見ないスケール感のステージでパフォーマンスが展開される。「ささやかな祝祭」でプロデューサーの照井順政(G /
休憩時間のあと、インスト曲「海に纏わる言葉」が流れると、下りていた幕が再び上がり、キラキラと輝く水面の映像を背に並び立つ3人が現れる。ラストアルバム「deep blue」の衣装に着替えた彼女たちは「クラウチングスタート」でパフォーマンスを再開し、「Summer Plan」「タイムマシンにさよなら」「新しい朝」を畳みかける。ここでメンバーは椅子に座ると「帰り道のワンダー」「蜃気楼の国」「ブルー、イエロー、オレンジ、グリーン」「燃えない呪文」の4曲をアコースティックアレンジで披露。澄んだ歌声をじっくりと聴かせた。その後、「透明な怪物」「踊り子たち」を穏やかに歌った彼女たちは、「夏の扉」をエネルギッシュにパフォーマンス。この曲のラストではマイクスタンドを使った振り付けを初披露し、そのままスタンドを使って「ありふれた群青」を歌った。
MCで3人がマイクスタンドを使ったパフォーマンスの感想などを話していると、バンドメンバーが「暇」のセッションを始める。「暇」は歌詞が全編アドリブの楽曲だが、ライブではメンバーがサンプラーにより事前収録した音声をバンド演奏に乗せて再生。楽しそうに遊ぶ彼女たちの姿を観客は温かく見守った。和やかなムードがあふれる中、「Moon Swimming Weekender」で再びギアを入れた3人は「tokyo sinewave」に続けて代表曲の1つ「広告の街」をパフォーマンス。終演に向けてラストスパートをかけていく。彼女たちがプロデューサーの照井順政やVJのTONTON、ボイストレーナーの杉浦先生、振付の本田先生、レーベルの中西秀樹氏ら関係者に改めて感謝の思いを伝えたあと披露した新曲「信号」では、スモークとレーザーが美しい光景を生み出し、観客を圧倒する。さらに3人はテレビアニメ「ハイスコアガール」のオープニングテーマ「New Stranger」をアグレッシブに歌い踊り、「1、2、3、4!」のかけ声から「Lighthouse」をパフォーマンス。寺口が「いくよー!」と声を上げると、キャノンが盛大に発射され、ライブの盛り上がりは最高潮に達した。
終演直前、メンバーは1人ひとり思いを語る。まず寺口は「sora tob sakanaがこのメンバーでよかったというのは本当にずっと思っていることだし、決められた世界観の中でやっていくほうが向いてたから、このグループでよかったなと心の底から思います」とコメント。ラジオ番組でレギュラーパーソナリティを務めたことを一番の思い出として挙げつつ、「ホントにウチらクソガキだったから周りの大人には迷惑かけて申し訳なかったと思ってるんですけど、後悔は別にしてないです」と笑った。続いて山崎はグループでの活動について「薄い時期がなくて、めちゃめちゃ濃くて、ビックリするくらい、いろんなことをしてきたんですけど、普通の学生をやってたらできない貴重な体験をさせていただいたなと思いました」と振り返り、「最後まで楽しんでいってほしいです。応援ありがとうございました」と挨拶。最後に神崎は「6年間続けてきたことが、明日からなくなるっていう……どうする?」と笑いつつ、「今この瞬間も懐かしくなるんだろうなと思うと感慨深いんですけど、6年間出会ってくれたすべての方に感謝を伝えたいです」と語り、「これから3人の進んでいく道はバラバラですが、応援してくださるとうれしいです」と呼びかけた。
そして3人は「WALK」で「あの朝日が昇る前に 頼りない勇気だけ持って 歩いて行く この先にある ワクワクするような世界を」と元気いっぱいに旅立ちを歌い、最後に「untie」を静かに合唱。彼女たちが手をつないで輪を作り、笑顔で顔を見合わせるとステージは煙に覆われる。会場に轟音が鳴り響いたあと、煙が消えたステージに3人の姿はなく、スクリーンには“未完成が完成に近づけるように、空に飛び立っていけるように、一歩ずつ空を目指し成長して行く”という願いが込められたグループ名「sora tob sakana」の文字が映し出された。
Vimeoでは3人が50曲を披露した4時間を超えるラストライブの映像を9月10日23:59までレンタル販売中。購入後72時間、映像を視聴できる。
sora tob sakana last oneman live「untie」
2020年9月6日 日本青年館ホール セットリスト
01. whale song
02. ribbon
03. 夜空を全部
04. knock!knock!
05. 夢の盗賊
06. Lightpool
07. FASHION
08. 鋭角な日常
09. flash
10. Brand New Blue
11. タイムトラベルして
12. 秘密
13. シューティングスター・ランデブー
14. 魔法の言葉
15. おやすみ
16. アルファルド
17. 乱反射の季節
18. 嘘つき達に暇はない
19. silver
20. My notes
21. ささやかな祝祭
22. 発見
23. パレードがはじまる
24. World Fragment
25. まぶしい
26. 夜間飛行
27. 海に纏わる言葉
28. クラウチングスタート
29. Summer Plan
30. タイムマシンにさよなら
31. 新しい朝
32. 帰り道のワンダー
33. 蜃気楼の国
34. ブルー、イエロー、オレンジ、グリーン
35. 燃えない呪文
36. 透明な怪物
37. 踊り子たち
38. 夏の扉
39. ありふれた群青
40. ケサランパサラン
41. 暇
42. Moon Swimming Weekender
43. tokyo sinewave
44. 広告の街
45. 流星の行方
46. 信号
47. New Stranger
48. Lighthouse
49. WALK
50. untie
※神崎風花の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
sora tob sakanaのTV・ラジオ出演情報
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