sleepy.ac、クラシックホールを彩った至福の凱旋ライブ

1

47

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 7 4
  • 0 シェア

sleepy.abがアコースティック編成のsleepy.ac名義で初の全国ツアーを開催。このツアーファイナルが7月10日に彼らの地元である札幌のコンサートホールKitara小ホールで行われた。

ファンの反響に応え、9月に東京と札幌の2都市で追加公演を行うことが決定しているsleepy.ac。札幌公演のサッポロスターライトドーム2DAYSのチケットはソールドアウトしている。

ファンの反響に応え、9月に東京と札幌の2都市で追加公演を行うことが決定しているsleepy.ac。札幌公演のサッポロスターライトドーム2DAYSのチケットはソールドアウトしている。

大きなサイズで見る(全3件)

ライブ音源を収録したCD「LIVE@Sapporo Kitara」は9月15日にリリース。これまでのライブ盤は会場および通販限定だったが、本作は全国流通盤として発売される。

ライブ音源を収録したCD「LIVE@Sapporo Kitara」は9月15日にリリース。これまでのライブ盤は会場および通販限定だったが、本作は全国流通盤として発売される。

大きなサイズで見る(全3件)

今後はsleepy.abとしてフェスや野外イベントへの出演が続く彼ら。今週末は「JOIN ALIVE」に参加する。

今後はsleepy.abとしてフェスや野外イベントへの出演が続く彼ら。今週末は「JOIN ALIVE」に参加する。

大きなサイズで見る(全3件)

今回のツアーでは劇場や酒蔵、プラネタリウムなどさまざまな会場を回ったsleepy.ac。彼らが最終公演の場所として選んだのは、普段はクラシックのコンサートに使用されている美しい音響を誇るホール。以前から成山剛(Vo,G)は地元民としてライブをやってみたいと公言しており、ライブ中は終始同ホールで歌える喜びを隠せない様子だった。

ホールならではの厳粛なムードが漂う中、開演を知らせるアナウンスが流れ、静寂が訪れる。客電が落ち、8人のストリングス隊がステージに。それに続いたのは山内憲介(G)。観客が見守る中、彼はサンプラーを使ってアコースティックギターの音色を奏でる。そこにグラスハープを重ねることで神聖な空気を作り出し、ライブの幕開けを飾った。

やわらかなサウンドスケープが会場を満たしたとき、拍手に導かれ、成山、田中秀幸(B)、津波秀樹(Dr)が登場。オープニングの余韻が残る中、成山の歌い出しから始まる「なんとなく」がスタートした。浮遊するボーカルに、バイオリン、ヴィオラ、チェロが奏でる豊かなハーモニーが重なり、楽曲の持つスケール感を演出。オーディエンスはステージから鳴らされる美しいアンサンブルに耳を傾けた。1曲目を終え成山が「札幌に帰ってきました、スリーピーです」と挨拶すると、彼らの帰札を祝う拍手が会場全体に広がった。

カホンとシンバルの躍動的なリズムに乗せて、滑らかなチェロが鳴った「sonar」、甘やかなストリングスにアンニュイな歌声が絡みあった「まっくら森の歌」が続けて披露された後、ストリングス隊が一旦退場。ステージ上に4人だけになると、田中が口を開き「アコースティックなんで好きに聴いてもらいたいな」と語る。それを受けて成山は、「もう寝てもいいよ(笑)」とオーディエンスに自由にライブを楽しんでほしい旨を伝えた。

伸びやかな歌声が広がった「メロディ」、音数を減らしたアレンジが楽曲の持つ哀切を際立たせた「アクアリウム」とライブではおなじみの楽曲が続いた中盤。「メロウ」で山内はグロッケンを操り、楽曲の可憐な一面を引き出す。そして津波の繊細なコーラスが印象的な「ドレミ」が終わると、成山が再び話し始める。

「何年も前からKitaraでやりたいって言ってて、どんな音が響くんだろうってずっと思ってました。だから今日は(ライブができて)うれしいです」と笑顔で語る。しかし次の発言でほのぼのとしたムードは一転。「次は『パレット』という曲なんですが、この曲は山内が照美さん(マトリョミンの名前)と一緒にやる曲で。金沢で山内がいきなり照美さんを持って会場を一周したんですけど、観客の人に『近くに来たこの人!』って驚かれてて。京都の磔磔では外に出ちゃってね。気が狂ったかと思った(笑)」と成山が毒舌混じりの発言をする。

すっかりハードルを上げられてしまった山内だが、「パレット」の演奏中に観客の期待に応えるパフォーマンスを披露。間奏でマトリョミンを手におもむろに立ち上がると、摩訶不思議な音色を奏でながら客席に降りた。突然の出来事にオーディエンスは爆笑。成山は「ここKitaraだよ、クラシックホールだよ?」と突っ込みつつも山内を見守り、他のメンバーも演奏の手を止め、その動向に注目する。山内が無事ステージに帰還すると、自然と拍手が沸き起こった。

「中島公園にある池を夜中に見たら街が写ってて、それをモチーフにして書きました」というローカルな制作秘話が飛び出した「さかなになって」に続いては、ピチカート・ファイヴ「メッセージ・ソング」のカバーに。山内が奏でるグロッケンとオートハープに、軽やかなベースとカホンが絡む。それに穏やかなボーカルが重なり、会場を幸せな空気で満たしていった。

「君と背景」が終わると、いよいよライブは最後のパートに突入。再びストリングス隊を迎え入れて演奏されたのは、新曲「夢織り唄」。子守唄のような優しいメロディと、繊細なストリングスの音色の相性は抜群。あたたかな言葉で紡がれるラブソングと贅沢なアンサンブルに、観客は笑顔で聴き入った。本編の終盤の「メトロノーム」で成山は、「ツアーから札幌に帰ってくる中で、自分達の居場所はここだなって感じられるのがうれしくて作った曲です」と語り、ドラマチックなストリングスをバックに心地良い声を響かせた。

アンコールでは田中が開口一番、この日のライブが音源化されることを発表する。成山が「(CDに)何入れようか?」とメンバーに質問すると、津波が「『パレット』はもちろん入れるでしょ?」と返答。先程の山内の行動を思い出したのか、瞬時にあちこちで笑いが起こり、会場が和やかな空気で包まれた。アンコールで披露されたのは、クラシックホールにはこの上なく似合う「賛歌」と、カリンバのイントロが可愛らしい「メリーゴーランド」。「メリーゴーランド」の前には、成山が「いろんな人に助けられてここでできたと思います。みんなに感謝してます」と感慨深そうに語った。

メンバーが去った後も会場の興奮は冷めず、ダブルアンコールを求める手拍子があがる。みたびステージに現れた4人は、オーディエンスにお辞儀を繰り返す。山内が考案したツアーグッズ“イカリンバ”の紹介が終わると、いよいよ最後の曲へ。「スリーピーとして初めて作った曲を……」という言葉から始まったのは、荘厳なストリングスが印象的に響いた「PAIN」。バンドの原点となった楽曲を演奏する4人の姿からは、ひとつの目標を達成した喜びと、次のレベルに足を踏み入れようとする強い意志が感じられた。会場が明るくなった後も、ステージで繰り広げられたパフォーマンスを讃える拍手が鳴り止むことはなかった。

セットリスト

01. なんとなく
02. sonar
03. まっくら森の歌
04. メロディ
05. アクアリウム
06. メロウ
07. ドレミ
08. パレット
09. さかなになって
10. メッセージ・ソング
11. 君と背景
12. 夢織り唄
13. メトロノーム
14. ねむろ<アンコール>
15. 賛歌
16. メリーゴーランド
<ダブルアンコール>
17. PAIN

※記事初出時、セットリストに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

この記事の画像(全3件)

読者の反応

  • 1

音楽ナタリー @natalie_mu

sleepy.ac、クラシックホールを彩った至福の凱旋ライブ http://natalie.mu/music/news/34706

コメントを読む(1件)

関連商品

リンク

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 sleepy.ab の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。