6月21日より
座・高円寺2は普段演劇などを上演しているキャパシティ300人程度の会場で、着席での鑑賞が基本。この日はメンバー4人もイスに座ってパフォーマンスを行い、サプライズゲストとのセッションを含め約2時間のライブで満員のオーディエンスを夢心地にさせた。
定刻を少し過ぎると客電が消え、息をするのもためらうほどの静寂が会場を覆う。まずほの暗いステージに現れたのは山内憲介(G)。挨拶代わりにグラスハープを慎重な手つきで奏で、オーディエンスをsleepy.acの音世界へと誘っていく。幻想的な音色が会場を満たしたところで、成山剛(Vo,G)、田中秀幸(B)、津波秀樹(Per)が次々と登場。成山による恒例の挨拶「こんばんは。札幌から来ましたスリーピーです」を経て、ライブは本格的に幕を開けた。
前半は新旧のナンバーをアコースティックバージョンで披露し、楽曲の違う側面を浮かび上がらせた彼ら。例えば「メロウ」は鉄琴が導入されることで愛らしいサウンドスケープが広がり、「アクアリウム」では津波の叩く素朴なカホンと田中の落ち着いたベースによって、物哀しい旋律が浮き彫りになる。音数が限られることで、成山の浮遊感のある声は一層伸びやかに響いた。
そして中盤ではカバー曲も披露。ボサノヴァ的なアレンジを施したピチカート・ファイヴの「メッセージ・ソング」は、オリジナルの軽妙な雰囲気とは違う、穏やかな空気感が引き出されていた。MCでは「ちょうど今日、初のシングル『君と背景』が発売されまして。発売日にライブってなかなかないよね」と田中が発言。「でもライブでは結構やってたんで、まだ発売されてなかったのか!って感じなんですけど……」という成山の紹介に続き、1stシングル「君と背景」がアコースティックバージョンで演奏された。
ライブの終盤では東京公演限定のサプライズも。「初めての試みで、シークレットゲストが来てます。同じ北海道出身で、ニューアルバムにも参加させてもらった福原美穂さんです」というアナウンスに、オーディエンスから驚きの声が沸く。大きな拍手を浴びてステージに颯爽と現れた福原は「女性が多いんですね」とにっこり。イスに座ると、sleepy.abとのコラボレーション曲「Apologies」のレコーディング秘話を惜しげもなく披露。レコーディング中にクリスマスを一緒に過ごしたことや、東京タワーのイルミネーションを観に行ったときのエピソードを成山と楽しそうに語った。
ひとしきりトークで場が和んだところで「Apologies」の生演奏に。ところが全員が緊張のあまり、出だしに失敗。成山は「もう1回いいですか?」と謝り、福原も「緊張して喉が……」と苦笑い。それが緩和剤となったのか、今度はリラックスした雰囲気で演奏がスタート。福原のたおやかな歌声とそれに寄り添うような成山のボーカルが優しく会場を包み込んだ。その後もつつがなくライブは進行し終演を迎えたが、観客の拍手は止まず、予定外のダブルアンコールに。成山が「心残りがあります」と再び福原を呼び込み、この日2度目の「Apologies」でライブを締めくくった。
東京公演を無事終えたsleepy.acは、この後も全国各地を回り、7月10日に地元札幌のコンサートホールKitara小ホールにストリングス隊を迎えた形で凱旋。「JOIN ALIVE」をはじめとした夏フェスシーズン後には、東京と札幌でツアーの追加公演を行う。なお追加公演は東京が9月17日に渋谷PLEASURE PLEASURE、札幌が9月24日・25日にサッポロスターライトドームで開催される。
関連商品
リンク
- sleepy.ab
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
音楽ナタリー @natalie_mu
sleepy.ac東京公演でサプライズゲストと贅沢セッション http://natalie.mu/music/news/33864