Saucy Dog、“始まりの場所”で成長見せつけたワンマンツアー最終公演

Saucy Dogの全国ワンマンツアー 「one-one tour 2018」の最終公演が、昨日7月11日に東京・WWWで行われた。

「one-one tour 2018」は彼らが5月にリリースしたミニアルバム「サラダデイズ」を携えて行ってきた初のワンマンツアー。チケットは全会場でソールドアウトし、最終公演にも多くのファンが集まった。

メンバーが拳を突き合わせ、場内に静寂と緊張感が広がっていく中、ライブは「煙」で幕を開ける。石原慎也（Vo, G）の弾き語りにせとゆいか（Dr）と秋澤和貴（B）が音を重ねていくと、フロアからいくつもの拳が上がった。「ロケット」「Wake」を熱量たっぷりに連投して観客のテンションを高めたあと、せとは満員のフロアに向かって「ただいま」と挨拶。「おかえり」の声を聞いた彼女は「私たちは大阪で結成したバンドだけど、東京にも『ただいま』って言える場所ができて本当にうれしい」と笑顔を見せた。

秋澤が「曇りのち」のゆったりとしたベースラインを鳴らす中、せとは今回のツアーを回る中でできたという“ルール”について話し出す。「1つ目は、体調の悪い人がいたら助けてあげてください。健康的に元気に楽しんで。もう1つは、今からやる曲はみんなでユルく楽しむ曲です。みんなで一緒に揺れましょう」と彼女が提案すると、観客は秋澤の演奏に合わせて心地よさそうに体を揺らす。石原が「もう一つルール作っていいですか？ 僕、この曲のギターが一番苦手なんです。みんなで応援してください！」と話し場内の笑いを誘いつつ、3人は「曇りのち」をプレイ。長めのブレイクを入れたりと、遊び心たっぷりの演奏で観客を楽しませた。

ライブ中盤には石原とせとのユニゾンが美しい「マザーロード」、性急かつグルーヴィな「バンドワゴンに乗って」といったナンバーが勢いよく披露され、場内の熱気はぐっと高まっていく。石原は「サラダデイズ」のリード曲「真昼の月」では力強くまっすぐな歌声を響かせ、ラブソング「コンタクトケース」では切ない歌声で観客を魅了した。

MCで石原はツアーを振り返り「絶えずメンバーと一緒にいるから、今までしてきた喧嘩より大きい喧嘩をしたり、一緒になって腹を立てたり。悪いところをちゃんと言い合えるような関係に、僕ら3人はなりました」と語る。そしてフロアを見つめながら「今日を機会に声が出なくなってしまってもいいような、もし今日が最後でも悔いが残らないライブをして帰ります。みんなもよかったらついてきてください」と宣言し、ラブバラード「いつか」の演奏へ。一糸乱れぬ力強いバンドサウンドと、石原の振り絞るようなボーカルに観客はじっくりと聴き入っていた。本編ラストの「グッバイ」で石原の歌声はさらに迫力を増し、観客の盛り上がりも最高潮へ。場内一体となった手拍子やシンガロングを巻き起こし、3人は舞台を後にした。

アンコールを受けて彼らは再びステージへ。石原がアコースティックギター、秋澤がリードギター、せとがキーボードという編成で「世界の果て」を演奏し、ヘヴィかつ壮大な世界観を表現した。その後のMCで、せとが「WWWはサウシーの始まりの場所で。ここでオーディション（MASH A&Rが主催する「MASH FIGHT!」）があって、グランプリを取れて、大きなきっかけをもらった」と話すと、石原も「ここでワンマンできると思ってなかったよね」と頷いた。

「最後やで。終わっちゃうで」と名残惜しそうにメンバーと顔を見合わせたあと、石原は「みんなすごい応援してくれるじゃないですか。愛を感じるんですよね、たくさんの人から」と、改めて感謝の思いを観客に伝える。そして「1本1本のライブを本気でやることに意味があると思って。観てくれる人のため、待ってくれている人のためにもどんどんいいライブを更新していきたいと思っているので、これからもずっと末長く、よろしくお願いします」と真摯に述べ、ラストナンバー「ナイトクロージング」の演奏へ。石原と秋澤はステージ上を飛び跳ねながら、せとは弾けるような笑顔でパフォーマンスを繰り広げた。石原は盛大な歓声の中「本当にありがとう！ またいつか！ またいつか、あなたに会えますように」と叫び、初のワンマンツアーを締めくくった。

なおSaucy Dogは10月に対バンツアー「ワンダフルツアー2018」を開催する。