Saucy Dogが新作ミニアルバム「サラダデイズ」を5月23日にリリースする。
前作「カントリーロード」から1年ぶりのCDリリースとなる本作には、家族への素直な思いを歌ったリード曲「真昼の月」や切ないラブバラード「コンタクトケース」など全7曲を収録。バンド活動や日常生活における喜びや憂鬱がまっすぐに描かれた作品となっている。
音楽ナタリーではメンバー3人にインタビューを実施。不安でいっぱいだったという「カントリーロード」リリース後からのライブ活動を振り返りつつ、本作に込めた思いを語ってもらった。
取材・文 / 大橋千夏 撮影 / 山川哲矢
「このままじゃだめやな」
──前作「カントリーロード」からちょうど1年ぶりのCDリリースとなりますが、その間に行われた2本のツアーは全会場ソールドアウトと大盛況でしたね。ツアーはいかがでしたか?
石原慎也(Vo, G) 「カントリーロード」を携えてのツアーを通して思ったのは、やっぱりあの作品の中では「いつか」が僕らの代表曲になったのかなって。YouTubeで僕らのことを知ってライブを観に来てくれた人たちがすごく多かったんです。
──「いつか」のYouTubeでの再生回数はすでに320万回を超えています。
石原 なんかちょっともう、「いつか」待ちみたいな空気があったりして(笑)。ただ、僕はやっぱりそこに縛られたくないって思いがすごく強くて。「いつか」だけに助けられたくないと言うか。これまで「いつか」はライブの最後にやることが多かったんですけど、「列伝」ツアーではド頭にやってみたり、セットリストをいろいろ変えて挑戦しました。
──今年2月からはスペースシャワーTV主催のライブツアー「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018」に参加し、Ivy to Fraudulent Game、SIX LOUNGE、リーガルリリーという気鋭の3組と全国各地を回ることで、多くの刺激を受けたんじゃないかと思います。
石原 同じメンツでツアーを回るって、これまでやったことがなくて。ライバル意識も芽生えたし、すごく悔しい思いもしました。
──石原さんはツアー最終公演のMCでも「悔しいこともあった」と話されていたというのが気になりました。そんなに悔やむことがあったんですか?
石原 はい。個人的になんですけど……ライブ中にトラブルが起きてしまって、それに対する怒りや悔しさを舞台上で表に出してしまったんです。それをずっと後悔してたんですけど、そういうことがあったからこそ、失敗を乗り越えるためには何をすればいいのか考えるようになりました。
──反省会じゃないですけど、ライブ後に3人で話し合ったりはするんですか?
せとゆいか(Dr) 毎回じゃないんですけど、やるようになりました。「列伝」ツアーって本当に4組ずっと一緒だから、ほかのバンドのいいところや自分たちにない部分がどんどんわかってくるんです。逆に、ほかのバンドがどんなことで苦しんで葛藤してるのかも全部見えて。そのうえで自分たちは今どんなライブをしたいのか、改めてちゃんと話そうかってなったよね。
石原 うん。「このままじゃだめやな」って話をしました。
カッコいいと思えるバンドにたくさん出会えた
──「このままじゃだめだ」というのは、具体的にはどんな部分で感じていたんですか?
せと 「いいライブをしたい」って気持ちはみんな同じなんですけど、その方向性や認識がちょっとずつズレてたりして。
石原 「そもそもいいライブって何?」とかね。
せと 改めて考え出すとみんな迷っちゃって。でも、「正解がわからなくてもみんなの気持ちをすり合わせないと」って意識が芽生えたのは「列伝」ツアーがあったからだと思います。
秋澤和貴(B) うん。目の前の壁に直面したときに、それをどう解決していくかを自然と話し合えるようになったのは大きな進歩だと思っていて。あとは単純に、「ライブをどう見せるか」という意識も変わってきました。「列伝」ツアーより前はけっこうそこで迷っていたから、素直に楽しめなかったと言うか。
石原 3人そろって「楽しい!」「今日めっちゃいいライブだったよね」と思えることが、あんまりなかったんですよね。
──そうなんですね。サウシーは現体制になった2016年4月以降ものすごい数のライブを重ねているバンドですし、自分たちの世界に観客を引き込むのがうまいなと思っていたので今のお話は少し意外でした。
石原 もともと見えていなかったところがたくさんあって、それが徐々に見えてきたと言うか。
せと それこそオーディションライブ(MASH A&Rが主催するオーディション「MASH FIGHT!」)を受けた2016年頃って、何もわからんなりにがむしゃらにライブをやっていた時期で。そこから関わる人が増えたのももちろんですけど、それぞれにカッコいいと思えるバンドにたくさん出会えたことが大きかったのかなと思います。
──そんな大きな糧となったツアーがありつつ、今回のアルバムの制作はいつ頃始まったんですか?
せと 「カントリーロード」のツアーが終わった9月、10月くらいに「そろそろ作ろうか」って話はもちろんあったんですけど……できなくて、全然。
石原 (小さい声で)はい……できなかったんですよね。不思議ですね。
せと (笑)。で、それからしばらくして「もう前作から1年経つし、そろそろレコーディングしなきゃ」っていよいよ切羽詰まり出して。そこからですね。
──石原さんはなかなか制作モードに入れなかった?
石原 そうですね、単純に曲が浮かばなかったのもそうなんですけど……あのとき何してたんだろ。
──皆さんは今年の夏に大阪から上京されたんですよね。勝手な想像ですけど、環境が変わると日々刺激を受けることはたくさんありそうな気がするのですが。
石原 うーん、そうですよね……部屋の片付けをしてたのかな。
2人 (笑)。
石原 僕、逆に上京してから家から出るのが億劫になっちゃってたんですよね。あんまり人と飲みに行ったりもなくて。だからライブハウスとスタジオと自宅を行き来する生活がルーティーン化してました。
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仮タイトルは「ロンリー」
- Saucy Dog「サラダデイズ」
- 2018年5月23日発売 / MASH A&R
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[CD]
1800円 / MASHAR-1006
- 収録曲
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- 真昼の月
- あとの話
- 曇りのち
- コンタクトケース
- メトロノウム
- 世界の果て
- バンドワゴンに乗って
- Saucy Dog「ワンダフルツアー2018」
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- 2018年10月1日(月)東京都 LIQUIDROOM
- 2018年10月2日(火)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2018年10月4日(木)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年10月5日(金)長野県 ALECX
- 2018年10月12日(金)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年10月13日(土)兵庫県 神戸VARIT.
- 2018年10月14日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2018年10月17日(水)宮城県 仙台MACANA
- 2018年10月18日(木)福島県 郡山CLUB #9
- 2018年10月22日(月)香川県 DIME
- 2018年10月23日(火)岡山県 IMAGE
- 2018年10月25日(木)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2018年10月26日(金)福岡県 BEAT STATION
- 2018年10月28日(日)熊本県 Django
- 2018年10月29日(月)山口県 LIVE rise SHUNAN
- Saucy Dog(サウシードッグ)
- 石原慎也(Vo, G)、せとゆいか(Dr)、秋澤和貴(B)からなるスリーピースバンド。2013年11月に大阪で結成され、メンバーチェンジを経て2016年に現在の編成となる。2016年にMASH A&Rが主催するオーディション「MASH FIGHT!」でグランプリを獲得し、2017年5月に初の全国流通盤ミニアルバム「カントリーロード」をリリース。本作を携えて行われた東名阪ツアーは、アンコールツアーを含め全会場ソールドアウトとなった。2018年5月23日2ndミニアルバム「サラダデイズ」を発売。5月25日からは初の全国ワンマンツアーを追加公演含む11カ所にて開催。