割れんばかりの拍手と歓声に迎えられたメンバーは、昨年12月に発売されたベストアルバム「現世は夢~25周年記念ベストアルバム~」収録の新曲「宇宙からの色」からライブを開始。熟練したテクニカルな演奏を繰り出す、3人の一挙手一投足に歓声が沸き起こる。その後も彼らは同ベストアルバムの収録曲を中心にした、昔からのファンも新規ファンも楽しめるようなセットリストでライブを進行。和嶋慎治(G, Vo)がMCで「渋公には今まで2度ほど出たことがありますが、再び戻ってくるまで20年かかりました。今までの2回はそれほどチケットが売れなかったんですが、初めてソールドアウトしました!」と明かすと、会場中から温かな拍手が起こった。
大きな会場でのアニバーサリー公演にもかかわらず、この日の彼らはあくまで普段と変わらないシンプルな構成でライブを実施。ステージ上に置かれたのはドラムセットやアンプといった最低限の機材のみで、照明以外に舞台演出もほとんどないまま、3人は自らの演奏だけでホール全体に熱狂を生み出していく。MCでも、デビュー当時の思い出話などを中心にしつつ、いつもどおりのリラックスしたトークで笑いを誘った。大きいステージでやり慣れていないため、動きまわったあとでマイクスタンドに戻る感覚がイマイチ掴めないという鈴木研一(B, Vo)は、「たまには大きいところでやんなきゃダメだね。次は日本武道館かな?」とポツリ。それを聞いた和嶋は「それはまだ危険です!」と慌てつつも、「30周年で目指しましょう!」と宣言していた。
バンドが奏でるサウンドはライブが進むにつれてどんどん加熱。押し寄せるような音圧でホール全体が飲み込まれていく。「冥土喫茶」では鈴木が袈裟を脱ぎ去って、ハンドマイクで叫びながら歩き回って観客を煽るという珍しいパフォーマンスも。本編ラストの「針の山」が始まると客席からはひときわ大きな声援が湧き上がり、客席はヘッドバンギングの嵐となった。
アンコールでは鈴木が、バンド初期のトレードマークだった“ねずみ男”の服を約25年ぶりに着て登場。この衣装はプロデビューした際に作って実際に当時着ていたもので、また楽器も、現物は盗難にあってしまったものの当時のものと同じリッケンバッカーのベースが使用された。そして和嶋は2001年発売の「見知らぬ世界」のビデオクリップで演じた、金色の全身タイツで無線機を背負った“ウンモ星人”としてステージに登場。「ねずみ男 vs ウンモ星人」というレアな組み合わせで、1989年発売のインディーズ盤に収録された最初期の曲「陰獣」をパフォーマンスした。
さらに2度目のアンコールでは、鈴木は2000年発売のアルバム「怪人二十面相」のときに着ていたという、金色の帯を巻いた真っ黒な着物に衣装をチェンジ。和嶋はTBS系「三宅裕司のいかすバンド天国」出演時に履いていたという“14歳の頃におふくろに作ってもらったもんぺ”でステージに現れた。和嶋は来場者たちに向けて「ここではまだ発表できないけど、いろいろ予定が決まってます! 2015年は大いに満足していただける1年になるはずです!」と力強く約束。最後に渾身のパフォーマンスで「なまはげ」を披露し、ホールを興奮で包んでひさびさの渋公ワンマンを終演させた。
なお、今回のワンマンライブには映像の撮影が入っており、この模様は後日DVDでのリリースやBSフジでの放送が予定されているとMCでメンバーにより告知されている。それぞれ詳細は後日発表されるとのことなので、続報に期待しておこう。
人間椅子「苦しみも喜びも夢なればこそ『現世は夢~バンド生活二十五年~』渋谷公会堂ワンマン」
2015年1月24日 渋谷公会堂 セットリスト
01. 宇宙からの色
02. 地獄への招待状
03. 新調きゅらきゅきゅ節
04. ねぷたのもんどりこ
05. 神経症 I LOVE YOU
06. 桜の森の満開の下
07. 今昔聖
08. 洗礼
09. 悪徳の栄え
10. 冥土喫茶
11. 深淵
12. 蜘蛛の糸
13. 地獄の料理人
14. 迷信
15. 針の山
<アンコール>
16. 陰獣
17. 見知らぬ世界
<ダブルアンコール>
18. なまはげ
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