時雨TK×安藤裕子、ステージでコラボ曲披露

12月23日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールでライブイベント「December's Calling」が開催された。

このイベントにはTK from 凛として時雨、安藤裕子、オープニングアクトの沖ちづるが出演。開演前、沖ちづるはアコースティックギターを持ってステージに立ち、2月25日にリリースする初の全国流通盤シングル「光」の表題曲などでたおやかな歌声を響かせた。

安藤裕子はピアノに山本隆二、ギターに設楽博臣を迎えて登場し、静かにイスに腰掛けて1曲目「勘違い」からライブをスタートさせた。安藤はこの日、喉の調子が悪いことを観客に伝えていたが、演奏が始まると楽曲の世界観に没頭して全身でリズムを取りながら情感豊かな歌声を響かせていた。MCでは歌手生活10年を超えるが人見知りしがちな性格もあってか知り合いがあまりいなかったことに触れつつ、「今年はイベントやライブでミュージシャンの方々と交流する機会を多く持てて、今日はTKさんが誘ってくれて2014年を締めくくるライブになりました。一生懸命歌うんで、聴いてください」と述べた。

さらにファンから「メリークリスマス」と声をかけられたことをきっかけにクリスマスにまつわるエピソードが語られる一幕も。ここで安藤はクリスマスシーズンの肝心なところで熱を出してまったことや、携帯電話がない時代に友達との待ち合わせに遅れて1人きりで過ごした思い出などを振り返り「クリスマスって嫌な思い出ばっかりだなあ」と回想。さらに「私は14～5歳のときは世の中全員バカ野郎だなんて思って生きてたけど、自分にできないことが増えて、大人になって『バカは自分かな』なんてため息が出ることも多いです。でももっといい歌を歌いたいと思います。皆さんも人生の曲がり角があると思います。がんばっていい来年にしてくださいね」と話した。そして安藤は「エルロイ」「のうぜんかつら（リプライズ）」「海原の月」「聖者の行進」などを披露。抑揚の効いた心地よい歌声が会場を優しく包み込んでいた。

続いてステージに姿を現したTKは、キーボードの前に座り「tokio」をそっと歌い始める。繊細な歌声とピアノの音色で観客を酔わせたのちに12弦のアコースティックギターを抱えて「テレキャスターの真実」を披露。きらびやかなアルペジオと力強いバッキングを使い分けた演奏で楽曲の多彩な表情をのぞかせた。「seacret cm」の段になると、大古晴菜（Piano）と山口寛雄（B）が参加。3人編成では「white silence」「unravel」などが演奏され、ボーイングとフィンガーピッキングを使い分けたコントラバスのふくよかな低音や、ピアノとギターによって紡ぎ出される繊細なアンサンブルが光る。このうち「unravel」は原曲よりもキーが落とされ、しっとりしたアレンジで届けられた。本編の終盤は「illusion is mine」が届けられたのち、1人ステージに残ったTKによる弾き語りの「Sergio Echigo」で締めくくられた。

アンコールでは、まずTKが再びキーボードの前に座ってこれまでのライブでも演奏している新曲（タイトル未定）を歌唱。その後「では今日はもう1曲、スペシャルゲストを呼んで……。安藤裕子さんです」と安藤をステージに招き入れた。TKはこの日のために作曲をTK、作詞を安藤が手がけたコラボ曲「last eye」を作ったことを明かす。そしていざ披露というタイミングで安藤がTKに近づいて楽曲の進行を確認すると、TKは観客に「今日しか合わせてないので、入念な打ち合わせをしてます（笑）」と説明。「けっこう緊張しております」とも話していたが鍵盤に指を走らせると会場に切なげな旋律が響きわたった。2人からの思わぬプレゼントの余韻が残る中、イベントは感動的な雰囲気に包まれたまま幕を降ろした。