左からTaiTan(Dos Monos)、U-zhaan。

U-zhaanが食べて聞く「カレーと音楽」 第3回 [バックナンバー]

Dos Monos・TaiTanが唱えるカレーとヒップホップのフォーマット性の類似

アレンジを加えてもびくともしない強さ、敷居は低く加点幅は無限

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手食嫌いポッドキャスト誕生?

U-zhaan お母さんが作るカレーが原体験だったとして、そのあとどうやってカレーの番組を持つまでカレー好きになっていったんですか?

TaiTan 大学3年か4年のとき、知り合いからダバインディア(京橋で営業していたが2023年4月に閉店)っていう南インド料理屋に連れていかれたんです。そこで食べたカレーが衝撃的においしかった。欧風とかキーマとかそういう、それまでに知っていたすべてのカレーと違って、しかも僕が求めているジャンク感もすごく刺激してくれる味で。それからその知り合いにはサンバレーホテル(※1)をはじめ、さまざまなお店に連れて行ってもらい、しばらくして自分でもカレー屋さんを調べて巡るようになりました。「TOKIO CURRY CLUB」の話が来た頃にはもう完全にカレー好きになっちゃってたので、カレーのことなら語りがいがあると思って引き受けた感じです。

U-zhaan すごい番組でしたよね。途中からレギュラー出演者になっちゃった稲田俊輔(南インド料理専門店・エリックサウスの総料理長)さんも、カレーの語り部として素晴らしかったし。

TaiTan いやー、稲田さんとの出会いは大きかったです。

U-zhaan 僕がゲスト出演した回は、カレーに合わせる主食の話になって。「とりあえずみんな、バスマティライスを5kg買ったほうがいい」って言った記憶がある。

TaiTan 言ってましたね。

U-zhaan 買いました?

TaiTan 僕は常備してますよ。経堂にいいお店があって、そこで買ってます。

U-zhaan 店頭で、鶏の串焼きを250円で売ってるところ(※2)ですよね。

TaiTan よくご存じですね!

U-zhaan あの串焼き食べたことあります? かなりおいしいですよ。通りかかるたびに買っちゃう。

TaiTan あそこではスパイスとバスマティライスぐらいしか買ったことないな。店内でも食事ができるんでしたっけ?

U-zhaan そう、ビリヤニとかパラタとか注文できるんだけど、落ち着いて食べるにはイートインのスペースがレジの真横すぎるんですよ(笑)。経堂には最近までスリマンガラム(※3)っていう南インド料理店があって、あそこも経堂時代はハラル食材屋を併設してたな。スリマンガラム、行ったことありました?

TaiTan 行ってましたし、祖師ヶ谷大蔵に移転してからの店舗にも通ってます。バナナの葉に盛り付けたカレーを食べさせてくれるの、日本では珍しいですよね。いつも手で食べることを勧められるんですが、僕は手食が好きじゃないからスプーンで食べてます。最初にダバインディアへ連れて行ってくれた僕の知り合いからも「カレーは手食に限るよね」みたいなことを「天ぷらは塩だよね」的なノリで言われて、本当かよ?って思いました。

U-zhaan あはは。でも正直、手で食べるほうが若干おいしいと思うけどな。というか、僕は金属製のスプーンの味があまり好きじゃないんですよね。家でカレーを食べるときも、木製スプーンを使うか手で食べるかのどっちかにしています。

TaiTan なるほど。でも、木のスプーンにも独特な味があるじゃないですか。

U-zhaan 僕は金属の味のほうが嫌ですね。バナナリーフや木皿で食べるならまだいいけど、金属の食器と金属のスプーンの組み合わせは最悪。

TaiTan それはめっちゃわかります。鉄と鉄が当たったときに発生する強烈な酸味みたいなのはすごく苦手です。

手前からTaiTan(Dos Monos)、U-zhaan。

手前からTaiTan(Dos Monos)、U-zhaan。

U-zhaan 手食はどのへんが嫌なんでしょうか。

TaiTan 自分の手をもしゃもしゃするのが生理的に今ひとつ受け付けられないのもあるし、あとは手が汚れるのも嫌です。

U-zhaan もしかして、おにぎりなんかも手で持ちたくないタイプですか?

TaiTan そうなんですよ。おにぎりも個包装されてたフィルムやラップの部分にしか触らないようにして食べます。なんならポテトチップスも箸で食べるし。

U-zhaan かなり徹底してますね!

TaiTan 手羽先とかも好きじゃないし、「チキンマックナゲット」も紙ナプキンで取って食べます。手を介入せざるを得ないもの全般が好きじゃない。去年のお正月、ゼロワンカレー(※4)がおせちカレーをやると聞いたんで食べに行ってみたら、カレーにカニが入ってて。仕方なく手を使って食べたんですけど、そうするとどんなにおいしくても煩わしさに気を取られちゃって。もちろんゼロワンのカレーは最高なのですが。

U-zhaan 僕はむしろ手で食べたい派なんですけど、TaiTanさんの今の話を聞いて「うわ、それめっちゃわかる!!」ってなる人も絶対いっぱいいると思いますよ。カレーのポッドキャストの次は、手食嫌いポッドキャストをやってみたらいいんじゃないですかね。

TaiTan 誰も聴かない聴かない(笑)。

U-zhaan 自分の手が汚れるのが嫌なのはわかったんですが、例えば他人が握ったおにぎりとかは食べられます?

TaiTan 絶対に嫌ですね。他人の親が作ったビーフンとかも食べないです。

U-zhaan なんで突然ビーフンが(笑)。

TaiTan すごく仲がよかった友達の家に遊びに行ったとき、お母さんから「ビーフン食べる?」って聞かれたトラウマがあるんですよ。

U-zhaan そのときはがんばって食べました?

TaiTan 断りました。まず、他人の家の食器すら苦手なので。

U-zhaan でも、インド料理屋の食器だってさまざまな人が使ってますよね。

TaiTan そこには大いなる矛盾が生じてくるんですが、店舗になっていれば大丈夫で。住居として登録されている家屋で出される食器が嫌なんです。

U-zhaan じゃあ、TaiTanさんがよく行くレストランのシェフから自宅での食事会に招待されたとしたらどうでしょうか。

TaiTan うーん。それでも嫌かもしれないですね。でも、こんなこと言い続けてたら誰もホームパーティに呼んでくれなくなっちゃう。結果、クリスマスも1人でニンジンステーキを食うことになるんですよ(笑)。

まずはフェスに出店

U-zhaan なんだか興味深い話だな。どこらへんに線引きがあるんだろ。友達の親ではなく、友達自身がいれてくれたお茶とかも嫌?

TaiTan できればペットボトルを持ち込みたいですね。せっかく「アルフォート」を出してくれた友達に「包装されたまま渡してくれればよかったのに、なぜ皿に載せちゃうんだ」って怒ったこともあります(笑)。

U-zhaan でも、それは決してTaiTanさんが悪いわけではないですよね。衛生観念は個人差が大きいし、変えようと思って変えられるものでもないから。

TaiTan 食に限らず、僕には潔癖症的なところが多少あるんだとは思うんですけど、何なんでしょうね。なぜかバーベキューだといけるんだよな。

U-zhaan バーベキューはいけるんですね。みんなで大皿の料理を取り分けて食べるのは?

TaiTan それも問題ないです。いや、やっぱりちょっとは嫌だけど、そう思ってるのを誰にも悟られないように振る舞えるって感じかも。

U-zhaan 逆にTaiTanさん自身が作った料理を誰かに食べさせるのは大丈夫?

TaiTan 大丈夫どころか、むしろ自分の料理を食べてもらうのは大好きなんです。僕が作るキーマカレーはおいしいですよ。

U-zhaan キーマカレーが得意なんだ。

TaiTan はい。先日、カレー作りに自信があるっていう放送作家さんとカレー対決をやったんですよね。ちゃんと審査員まで用意して。彼は中華風あんかけカレーを作ったんですが、100-0で僕のキーマカレーが勝った。

U-zhaan 完全試合! すごいですね。審査員は何人いたんだろう。

TaiTan 2人。

U-zhaan それ、100-0っていうか2-0ですよね(笑)。

TaiTan いつかユザーンさんにも僕のキーマカレー食べてもらいたいな。

U-zhaan じゃあ僕ともカレー対決します? あ、でもTaiTanさんのほうは僕が作ったカレーを食べるの気が進まないか。

TaiTan それがバレないようにする技術は持ってるんで大丈夫です(笑)。もしくはフェスのカレーとかなら全然食べられるんで、よかったらまず出店していただけたら。

U-zhaan TaiTanさんにカレーを食べてもらうだけのために、なんでフェスに出店までしなきゃならないんですか(笑)。

左からTaiTan(Dos Monos)、U-zhaan。

左からTaiTan(Dos Monos)、U-zhaan。

TaiTan(タイタン)

1993年10月12日生まれのラッパー。荘子it、没とDos Monosを結成。2018年にアメリカのレーベル・Deathbomb Arcと契約を結ぶ。2020年より玉置周啓(MONO NO AWARE、MIZ)と配信しているポッドキャスト「奇奇怪怪」および2022年にスタートしたTBSラジオのレギュラー番組「脳盗」が人気に。2021年5月から2022年5月までカレーに特化したポッドキャスト「TOKIO CURRY CLUB」のナビゲーターを務めた。

U-zhaan(ユザーン)

埼玉県川越市出身のタブラ奏者。世界的なタブラプレイヤーであるザキール・フセイン、オニンド・チャタルジーの両氏に師事する。タブラ修業のために毎年インドを訪れ、本場のスパイス料理に慣れ親しんだ経験を生かし、自身が監修したベンガル料理のレシピ集、レトルトカレー、仕切りが取れるカレー皿を発売した。2014年10月リリースの1stソロアルバム「Tabla Rock Mountain」の初回限定盤はスパイスで一部色付けされたことが大きな話題に。

登場したカレーショップ

※1)サンバレーホテル
※2)スパイスワラ経堂店
※3)スリマンガラム
※4)ゼロワンカレー A.o.D

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U-zhaan(ユザーン) @u_zhaan

音楽ナタリーで連載中の「カレーと音楽」、第3回が公開されました。ゲストはDos MonosのTaiTanさんです! https://t.co/YBdtEUWud5

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