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Jonah 長方形の私
ドラマ「失恋カルタ」主題歌、聴き手に直接語りかける言葉の数々
文 / 天野史彬
晴れやかな肯定の歌である。
シンガーソングライターJonahの新曲「長方形の私」は、又吉直樹(ピース)とイラストレーターたなかみさきのコラボレーションによるグッズ「失恋カルタ」を原案として実写化したドラマ「失恋カルタ」(MBS / TBSドラマイズム枠)のオープニング主題歌。「長方形の私」というのはなんとも不思議なタイトルだが、この曲が肯定しようとする、人それぞれのさまざまな“形”の中のひとつの在りようを指している。だから、この世界には「三角形の私」もいるかもしれないし、「平方四辺形の俺」がいるかもしれないし、「私は完全なる円なのである」と言い張る人もいるかもしれないし、「うちは絶対に星型だ」と言う人もいるかもしれない。ひとえに、あなたはあなただ、ということである。ちなみに、「自分は図形で言うとなんだろう?」と考えてみるのは面白い。私が自分に対して思い浮かぶのは「不格好な楕円」である。
話を「長方形の私」に戻す。全体的に柔らかく、透明感のあるフォーキーなバンドサウンドが春の晴れた日にぴったりだ。淡く華やかなコーラスも、まるで風に舞う桜の花のようである。サウンドプロデュースはこれまで何度もJonahとタッグを組んできたSUKISHA。決して圧が強いわけではないが、心からメッセージを届けようとしていることが伝わるJonahの歌声と、軽快なリズムが見事にマッチしている。Jonahは、まるで聴き手が目の前にいるかのような言葉を紡いで、歌を歌う。歌詞の中には「君もそうでしょ」「私が あげるよ」「君はどうなの?」──そんなふうに、聴き手に直接語りかけるような言葉が散らばっている。きっとあなたにもあるだろう悩みや苦しみから、ささやかな肯定をつかみ取る。Jonahはそんな歌を、あなたと分かち合いたいと思っているはずだ。
人にはそれぞれ形がある。先ほど三角形や楕円なんて書いたが、その中でもやはり「長方形」というのは、人ひとりがすっぽりと収まる、一番人間らしい形のような気もする。Jonahは自分が「人間である」ことが時に悩みの種であり、でもとても愛おしいことだと思いながら、この曲を書いたのかもしれない。
Jonah「長方形の私」ミュージックビデオ
Jonah(ジョナ)
イギリス人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター。2007年、高知県生まれ。eggmanとNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディションプロジェクト「Catching Wave Audition 2024」に出場後、2025年1月にプロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより第1弾シングル「エコー」を配信リリースした。最新曲は2026年4月にリリースされた第7弾配信シングル「長方形の私」。
