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MAD JAMIE QUEEN of KAWAII PUNK
あらゆるロックのサブジャンルを飲み込んだオリジナルな音楽
文 / 阿刀"DA"大志
女性ボーカル+ハードなギターサウンド──令和の今、これだけの情報でどんなジャンルの楽曲か言い当てるのはほぼ不可能。令和は、アイドルだって歌がうまい、メタルバンドもカワイイ、アニメ発のアーティストも超ハードな音を鳴らす。今やジャンルの境目は極限まで曖昧になり、あらゆる音楽がクロスオーバー。もはや、本人がメタルと言うならメタルだし、アイドルだと言うならアイドルなのだ。そう考えると、現代のポピュラー音楽を正しく鑑賞するうえで、従来のジャンルに関する知識は余計な先入観を生む邪魔な存在なのかもしれない。だから、もしあなたがMAD JAMIEの音楽に初めて触れるというなら、今すぐこのレビューを読むの止め、使い慣れた音楽配信サービスへ飛んでほしい。
筆者もこのアーティストのことを寡聞にして知らなかった。それを逆に利用し、予備知識ゼロの状態でニューアルバム「HYPER NATURAL」のリード曲「QUEEN of KAWAII PUNK」を聴いた。ハードロック的な懐かしい匂いが漂う攻撃的サウンドにシンフォニックなシンセサイザーがうっすらと乗った音像はモダンで、どう聴いてもバンドのそれ。ハイトーン気味の女性ボーカルは荒々しく、パンクっぽさがあるが、時折キュートなツヤを感じさせ、表現は繊細。技術力が高いことは一目瞭然だ。アイドルっぽくもあるが、何度聴いても不思議とバンド的な魂を感じる。なにせ、曲の冒頭から「Kawaii is Fxxk 叫べ」だ。絶対、これはバンドだろう──そう結論付け、アーティスト資料を見た。自分の見立てはまったく違った。MAD JAMIEとは、パンクロックアイドル・感情線あくびによるソロプロジェクトだったのである。
自分の予想はかすりもしなかったわけだが、言い換えるなら、MAD JAMIEの音楽はあらゆるロックのサブジャンルを飲み込んだ、実にオリジナルな存在だということ。どんなジャンルにも飛び込めるのがアイドルの長所だが、感情線あくびはあくまでもパンクロックに軸足を置き、自由な発想でMAD JAMIEの作詞作曲を手がけているのだろう。
さて、この原稿を書き終えたら、彼女のことをアイドル関係者とメタル関係者に伝えないといけない。MAD JAMIEは人に教えたくなる存在だ。
- MAD JAMIE「QUEEN of KAWAII PUNK」
- 2026年3月14日(土)配信開始 / BIG UP!
- 購入・再生はこちら
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作詞:akubi kanjosen
作曲:yuji、TANO
- MAD JAMIE「HYPER NATURAL」
- 2026年4月22日(水)発売
/ LED GROUND
[CD] LEDG-00002
MAD JAMIE(マッドジェイミー)
東京・渋谷区宇田川発のパンクロックアイドル。2021年4月に1stアルバム「FUCK FOREVER」をリリースしてデビュー。2023年3月に東京・渋谷CHELSEA HOTELで開催したワンマンライブ「BEAUTIFUL MAD DAYS」をもって4人体制での活動を終了した。そして同年5月の東京・LIQUIDROOM公演より、感情線あくびによるソロプロジェクトとして再始動。2023年12月に2ndアルバム「THIS is NONFICTION」をリリースした。近年は海外からの評価も高め、2025年にはオランダ、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、ポーランドの5カ国を巡る海外ツアーを成功に収めた。2026年1月に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)にてワンマンライブ「TOKYO DEMOCRACY」を開催。2026年3月に感情線あくびが全曲の作詞と一部作曲を手がけた3rdアルバム「HYPER NATURAL」をリリースした。
