私のSAMURAI BLUE Vol. 1 [バックナンバー]
喜矢武豊(ゴールデンボンバー)が選ぶ理想の代表イレブン
ボケは一切なし!鎌田大地を中心にガチで勝ちにいくメンバー
2022年7月19日 12:00 67
4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」が11~12月にカタールで開催される。同大会に出場する日本代表チームの応援企画として、音楽ナタリーではサッカーを愛するアーティストに理想の代表メンバーを妄想してもらう連載をスタート。第1回では、スポーツ全般に造詣が深く、サッカーに関しては長年にわたり日本代表チームのサポーターだという
取材・
喜矢武豊とサッカー
もともと僕は野球をやっていて、サッカーのプレー経験はなかったんです。それがあるときテレビをつけたらたまたま代表戦をやっていて、「俺も日本人の1人として観るべきだな」と観始めたら、めちゃめちゃ面白かったんですよ。あれ、いつだったのかなあ? 今日の撮影に持参した帽子が2009年頃のものなので、少なくともそれ以前ではあると思うんだけど……僕のTwitterをさかのぼれば、いつ頃から観始めたかわかるかもしれない(笑)。サッカーってものすごく熱が入りやすいスポーツで、これまでいろんなスポーツを観戦してきましたけど、一番盛り上がれる競技なんじゃないかと思いますね。何も知らない状態で観ても、なんとなくルールもわかりやすいし。
ただ、バンドのメンバーと一緒に観るようなことは一切ないです。サッカーの話もしない。ミュージックビデオ撮影の空き時間とかに僕が1人で試合を観ていると、だいたい声が出ちゃって「うるせえな」と言われます(笑)。応援しているクラブはなくて、Jリーグも海外リーグも特に観ておらず、代表一本の応援でやらせていただいています。国と国が戦うっていうのが面白いのかな。日本代表の試合はほぼ欠かさずに観ていますね。
軸になる選手は鎌田大地
今回僕が選んだ日本代表は、けっこう一般的というか、誰が選んでも似たような感じになるんじゃないかという人選になりましたね。ガチで勝ちにいくメンバーを選んだので、面白くなかったらごめんなさい(笑)。ボケは一切なしです。
軸になる選手として最初に決めたのは鎌田大地(フランクフルト / ドイツ)です。この人は天才だと思っていて。どんな選手でも大きな大会になればなるほど、いつも通りのメンタルを保てずに本来のプレーができなくなったりすると思うんですけど、彼にはそれがない。常に冷静で、自分本来のパフォーマンスをきちんと出すことができる。それに、観ていて次のプレーがまったく予測できないんですよ。ドリブルなのかパスなのか、シュートなのか。直前までまったく読めないプレーを繰り出すセンスや冷静さはマジですごいです。だから僕は、まず「絶対に鎌田を中心にしたい」と思いましたね。
その鎌田をどこで使うかなんですけど……先にシステムの話をすると、僕は4-2-3-1(※1)を採用したいんです。今の日本代表は4-3-3(※2)という攻撃的なフォーメーションが基本システムになっていて、アジア予選ではそれがハマりましたよね。でも、本大会に出場するとなると相手が強豪国になってくるので、もうちょっと守備的なほうがいいんじゃないかと思っていて。だから僕はボランチ(※3)を2枚にして、中盤に厚みを持たせたいなと。ポゼッション(※4)というよりはカウンター(※5)に近い戦術を採らざるを得ないだろうということで、陣形は4-2-3-1。そのトップ下(※6)に鎌田を置こうと思っています。
なので、まずはどうにか守備を固めたい。ゴールキーパーに関しては、僕はシュミット・ダニエル(シントトロイデン / ベルギー)推しなんですよ。彼はどんなに攻め込まれても常に冷静にプレーできるから、観ていて安心感がある。しかもパスがめちゃめちゃうまいので、カウンター狙いにもうってつけだし。シュートストップという意味では権田修一(清水エスパルス)なのかもしれませんが、シュミットは197cmと身長があるので。
センターバックは、吉田麻也(シャルケ04 / ドイツ)と冨安健洋(アーセナル / イングランド)で決まりでしょう。普通の人選で申し訳ないですけど、今のところ彼らの代わりはいない気がします。問題は両サイドバックなんですが……右は酒井宏樹(浦和レッズ)でいいと思うんですよ。左は……個人的には彼とよくセットで使われていた酒井高徳(ヴィッセル神戸)が好きなんですけど、本人が「代表からは退く」と宣言しているんですよね。でも、ここはあえて高徳でいきます!(笑) 「サイドバックはダブル酒井で」とか言ってると、ひと昔前の人みたいに思われるかな……。
ダブルボランチは、遠藤航(シュトゥットガルト / ドイツ)と守田英正(スポルディング/ ポルトガル)で。まず、遠藤は間違いないですよね。その遠藤とコンビを組むのは誰がいいかと考えたときに、もちろん田中碧(デュッセルドルフ / ドイツ)も好きなんですけど、彼はもう1列前で使いたい選手なので、ボランチは守田でいこうかなと。
両サイドハーフは、これまた誰もが言いそうな形ではあるんですけど、右が伊東純也(ヘンク / ベルギー)で、左が三笘薫(ブライトン / イングランド)。これしかないですよね。伊東って、最初に観た頃は“足が速いだけ”という印象だったんですけど、その後ドリブル力もシュート力もどんどん上がっていって、パスやクロスの精度もかなり高くなりましたよね。まだまだ伸びそうだし、彼は本当にすごいです。その伊東に右サイドをスピードで支配してもらって、手詰まりになったら今度は左サイドに突破力抜群の三苫がいるっていう。相手からしたら「こっちからも来んのかい!」みたいな感じですよね(笑)。
トップに誰を置くかは、かなり迷いました。やっぱり大迫勇也(ヴィッセル神戸)かなあとも考えたんだけど、強い国が相手だと、そもそもなかなかトップの選手にボールが入らないんですよ。「まず大迫に当てて、そこから展開する」がおそらく通用しない。そういう意味で、ここは古橋亨梧(セルティック / スコットランド)を推したいです。彼は裏抜け(※7)がうまいし、決定力もあるので。このフロント3人を、トップ下の鎌田がうまく使ってくれると思うんですよね。守備を固めることで死ぬ気で失点を防いで、どうにか鎌田に1本パスが通れば、何かドラマが生まれるはず!
プレースキッカー(※8)については……正直そこまで考えてなかったんですけど(笑)、まあイメージ的には鎌田になるでしょうね。伊東でもいいし……ちなみに、三笘ってどうなんですかね? 見たことないけど、蹴れるんじゃないかなあ。絶対うまそうだし個人的に見てみたいんで、喜矢武ジャパンではキッカー・三笘でいきましょうか(笑)。期待値込みで。
※1. DF(ディフェンダー)が4人、ボランチが2人、攻撃的MF(ミッドフィールダー)が3人、FW(フォワード)が1人のフォーメーション。歴代の日本代表チームで頻繁に採用されてきた形。
※2. DFが4人、MFが3人、FWが3人のフォーメーション。森保ジャパンではMF3枚が逆三角形のポジションを取り、前2枚がフレキシブルに攻撃参加する一方で後ろ1枚(「アンカー」と呼ばれる)が守備と舵取りに徹するケースが多い。
※3. DFの前に位置する守備的MF。ポルトガル語で「ハンドル」を意味し、チームの“運転”を担う重要なポジション。
※4. ボールを保持して攻撃を組み立てる戦術のこと。
※5. 相手にボールを持たせて守備を固め、相手の攻撃を跳ね返した際に一気に攻め上がる戦術のこと。
※6. 「トップ」はセンターFWの選手を指す語で、そのすぐ後方(つまり「下」)にポジションを取る攻撃的MFのこと。攻撃を組み立てる役割や決定的なパス出し、自らシュートを放ち得点する能力などが求められる。
※7. 相手ディフェンスラインの裏(相手ゴール寄り)のスペースへ抜け出してボールを受けるプレーのこと。成功すれば得点に直結するプレーとなるが、抜け出すタイミングを間違えるとオフサイドに直結する。
※8. フリーキックやコーナーキックなど、一時中断したゲームをリスタートする際に止まった状態のボールを蹴るプレーを「プレースキック」と呼ぶ。プレースキックを担当する選手が「プレースキッカー」。
サブメンバーについて
中島翔哉(ポルティモネンセ / ポルトガル)は面白い選手ですよね。先発で使うにはどうしてもリスクがあるんですけど、何をするかわからないワクワク感があるので、ここぞというときに投入したら何かを起こしてくれそう。ジョーカー的な存在としてベンチに置いておきたいなと。中島が三笘の交代要員だとすると、伊東の代わりは堂安律(フライブルク / ドイツ)。右サイドは彼しかいないと思うんですよ。もちろん久保建英(レアル・マドリー / スペイン)にもめちゃめちゃ期待していますが、技術力はあっても周囲との連携の部分でまだ噛み合っていない印象があるので、今回はあえて外しました。岡田武史監督風に言うなら、「外れるのは久保」(笑)。
南野拓実(モナコ / フランス)はサイドではなく、トップ下のサブとして考えています。ワンチャン、トップで使うのもアリかなと思うんですよね。鎌田と南野をゼロトップ(※9)的に使う4-4-2(※10)も考えたんですけど……面白くないっすか? あと原口元気(ウニオン・ベルリン / ドイツ)は、もちろんアタッカーとしても優秀なんですけど、ゲーム途中で戦術変更をするときにボランチに入ってもらうとか、どっちかというと守備的に使いたいですね。「元気」という名前の通り、彼が入るとチームが活気づくイメージもありますし。旗手怜央(セルティック / スコットランド)もユーティリティ性を買っての選出です。左サイドバックの控えという意味も当然あるし、中盤も前線もできて、なんなら右サイドにも入れるっていう。人数の限られる代表チームでは、こういう選手はありがたいですよね。
サイドバックで言うと、最近の代表戦に左サイドでよく出ている伊藤洋輝(シュトゥットガルト / ドイツ)もすごくいいんですけど、僕はやっぱりサイドバックには経験を求めたい。なので控えはやっぱり左右どっちでも使える長友佑都(FC東京)になりますかね。センターバックの控えは、最近急成長している板倉滉(ボルシアMG / ドイツ)で。
FW陣に関しては、僕はスピード特化の選手よりは“最後のところで仕事をしてくれる”信頼感を重視したい。ということで、大迫、上田綺世(セルクル・ブルージュ / ベルギー)。上田は高さがあって体も強いんですけど、それだけじゃなくボールの受け方もうまいし、決定力も年々上がってきている。だいぶ推している選手ですね。
※9. FWに位置する選手がMFの役割を果たす戦術のこと。いわゆる“点取り屋”が1枚の「ワントップ」、2枚の「ツートップ」に対して、その役割の選手が配置されないことから「ゼロトップ」と呼ばれる。過去の日本代表ではアルベルト・ザッケローニ監督が本田圭佑をゼロトップとして使い話題を集めた。
※10. DFが4人、MFが4人、FWが2人のフォーメーション。世界的にもっともオーソドックスと言えるバランスのいい布陣で、カウンター戦術に向いていると言われる。
現実の森保ジャパンについて
アジア予選を観てきた感覚で言うと、戦術がハマるときとハマらないときの差が激しい。安定感に欠ける印象があるかなあ。うまくいっている試合は安心して観ていられるんだけど、相手によっては「何もできてないやん」が起こりうるので、そのあたりが観ていて怖い部分はありますよね。
本大会グループリーグで日本がドイツ、スペインと同組になったのを知ったときは「アジア予選、もうちょっとがんばっておけば……」と思いましたね。最後のベトナム戦(1-1のドロー)で勝っていたら1位通過だったので、別のポットもあり得たのに「何してんねん」っていう(※11)。まあそれを言っても始まらないので、逆に「日本、どこまでやれるのかな」っていう期待感がありますね。
勝ち上がるのは現実的には難しいとは思うんですけど、何が起こるかわからないのがサッカーなので。10回やったら9回は負けるであろう相手にも、1回勝つくらいは全然あり得る。その1回がたまたまその日に来れば……。
※11. ポットはグループリーグの組分けをする際、1つのグループに強豪チームが固まったり、同一地域のチームが固まったりするのを避けるためのレギュレーション。FIFAランキングをもとに出場国がポット1~4に分けられ、実績の近い同一ポット同士の対戦が行われない仕組みとなっている。日本はポット第2入りを逃し、第3ポットに入った。
自分をサッカー選手に例えると?
なんですか、この設問は(笑)。……岡崎慎司(カルタヘナ / スペイン)かな。バンド内の役割としては、鬼龍院翔(Vo)という司令塔がいるので、僕はどちらかというと体を張って点を取りにいく選手なんじゃないかと。技術ではなく、がむしゃらに走ってゴールを奪うタイプのプレイヤーだと思いますね。岡ちゃんはいわゆる“うまい”イメージの選手ではないですけど、得点への期待感がすごくあるんですよ。貪欲さがズバ抜けているし、体ごとゴールに飛び込んでいくようなスタイルが好きですね。
※カッコ内の所属クラブは2022年7月19日(火)12:00時点
喜矢武豊
ヴィジュアル系エアーバンド・ゴールデンボンバーのギター。バンド内でもっとも芸人気質が強く、自らの毛髪に墨汁を付けて書初めの筆に扮したり、スイカやかき氷の早食いなどを行ったりと、体を張った過激なパフォーマンスを披露することが多い。中学、高校では野球部に所属。2022年5月に東京都体操協会パルクール委員会の広報部長に就任した。ドラマや舞台で俳優としても活躍中。
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サッカー日本代表について真剣に語ってみました!なかなかこういう話をすることもないからめっちゃ楽しかった(^^)がんばれ日本!!!!
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