私のSAMURAI BLUE Vol. 2 [バックナンバー]
山中柔太朗(M!LK)が選ぶ理想の代表イレブン
三笘薫&久保建英を軸に組み立てる“バルサ式”サッカー
2022年7月27日 12:00 81
4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」が11~12月にカタールで開催される。同大会に出場する日本代表チームの応援企画として、音楽ナタリーではサッカーを愛するアーティストに理想の代表メンバーを妄想してもらうコラムを連載中。第2回となる今回は、幼少期よりサッカーに親しみ、中学生時代には栃木県選抜に選ばれた経験も持つ山中柔太朗(
取材・
山中柔太朗とサッカー
僕は幼稚園の頃からサッカーをやっていて、それが唯一続いた習い事だったんですよ。中学を卒業するまでずっとやっていました。高校へ上がるときに「矢板中央高校(※1)への進学を目指すか、芸能界へ行くか」で迷って、芸能界を選んだことでサッカーは辞めてしまったんです。でも、だからこそ趣味として試合観戦やフットサルを純粋に楽しめていると思うので、こちらを選んでよかったなと思っています。
サッカーを観るようになったのは、小学3年生か4年生くらいの頃で……2010年のワールドカップ南アフリカ大会がきっかけでした。アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)のゴールでスペインが優勝したときですね。そのときにスペインサッカーとFCバルセロナが好きになって、今も応援し続けています。近年は最強とはあまり言われていないですが、そんなバルサを応援することに、逆に熱が入っていますね(笑)。「勝てない今こそしっかり応援しなければ!」という感じで。
M!LKのメンバーにはサッカー経験者もいるんですけど、なぜか誰も観ないんですよね……。別グループだと、SUPER★DRAGONの飯島颯くんがマンチェスター・シティのファンなので、プレミアリーグのビッグマッチがあるときは彼と電話しながら観戦することもあります。それがすごく楽しいんですけど、颯くんはプレミアが主に好きなので、バルサの試合はいつも僕1人で孤独に観ています(笑)。
最近は、日本代表の試合すら観なくなったという人も多いですよね。もちろん三笘薫(ブライトン / イングランド)や久保建英(レアル・ソシエダ / スペイン)など、ワクワクさせてくれる選手はたくさんいるんですけど、それが世間一般まで伝わっていないのかもしれない。僕が一番よくないなと思っているのは、「サッカーに詳しくない人は発言しちゃダメ」みたいな風潮があることです。そのせいで新しいファンが入りづらい部分はあると思うので、もっと気軽にサッカーを語って楽しんでもらいたいなと思いますね。
※1. 全国高校サッカー選手権大会に12回出場し、4度のBEST4を誇る強豪校。
キーになるのは三笘と久保
僕はバルセロナが好きなので、山中ジャパンにはシャビ・エルナンデス監督(バルセロナ / スペイン)のサッカーをさせたいと思っていて。けっこう大変だとは思うんですけど(笑)、ボールを保持して攻撃を組み立てていく戦術を採りたいです。そのためのメンバーを選びました。
フォーメーションは4-3-3(※2)。GK(ゴールキーパー)は権田修一(清水エスパルス)ではなく、ビルドアップ(※3)が得意なシュミット・ダニエル(シントトロイデン / ベルギー)を使います。彼にはちょっと(マルク・アンドレ・)テア・シュテーゲン(バルセロナ / スペイン)っぽさがあるというか、ちゃんとボランチ(※4)に縦パスも当てられるし、3人目のセンターバックとしての役割も怖がらずに担ってくれるので。
DF(ディフェンダー)は、右から冨安健洋(アーセナル / イングランド)、板倉滉(ボルシアMG / ドイツ)、長谷部誠(フランクフルト / ドイツ)、中山雄太(ハダースフィールド/ イングランド)。長谷部はサプライズ招集ですね(笑)。代表では主にボランチで出ていた選手ですが、ここではセンターバックをやってもらいます。今年4月にUEFAヨーロッパリーグでバルセロナがフランクフルトに敗れた試合を観たんですけど、長谷部が途中交代でセンターバックとして出てきて、とても安定感のあるプレーをしていたんですよ。キャプテンシーもある選手ですし、そういう人は何人いてもいい。その長谷部とのコンビには、シャルケ04を1部昇格に導いた立役者と言っていい板倉を選びました。
冨安はセンターバックにするか迷ったんですが、アーセナルでやっている右サイドバックのほうが慣れているんじゃないかと思って。戦術的にも、サイドバックは少し絞って前後の選手と斜めの関係を作りたいとも考えているので、冨安ならそういうことも器用に対応してくれそうだなと。中山もたぶんできると思います。それと、ドイツ戦ではレロイ・サネ(バイエルン / ドイツ)、スペイン戦ではアンス・ファティ(バルセロナ / スペイン)のようなえげつない左サイドの選手が出てくることが予想されるので、そこに強度のある冨安を当てたいという狙いもあります。
中盤はちょっとチャレンジになるんですけど、アンカー(※5)に田中碧(デュッセルドルフ / ドイツ)、インテリオール(※6)に遠藤航(シュトゥットガルト / ドイツ)と久保を置きます。アンカーの選手にはセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ / スペイン)の役割をやってほしくて……守備の強度を考えたら普通は遠藤になると思うんですが、プレーの閃きという意味では田中のほうがブスケツに似せられるんじゃないかと。
久保にはペドリ(ペドロ・ゴンサレス・ロペス / バルセロナ / スペイン)みたいに自由にやってほしくて。引いてボールを受けに来るというよりは、バックステップで相手の中盤を押し下げる役割を担ってもらいたい。その一方で、遠藤の役割はちょっと難しくて……もちろん相手を押し下げる仕事もしてほしいですが、どちらかと言うと前線の選手にボールが入ったときにサポート的に動いてボール保持者を自由にプレーさせる役割を期待しています。フィジカルが強い選手なので、クロスに飛び込むプレーでも迫力が出せますし。
そして前線は、左から三笘、鎌田大地(フランクフルト / ドイツ)、伊東純也(ヘンク / ベルギー)。中央の鎌田には偽9番(※7)として動いてもらって、両サイドの三笘と伊東は開かせます。もちろん鎌田を起点にして時間を作る狙いもあるんですが、まずサイドのどちらかにボールを当ててキープしてもらい、その隙にインテリオールに縦のランニングをしてほしいんですね。例えば伊東が右サイドでボールを持ったら、久保はそれを追い越してボックス内に侵入します。その久保にボールを預けてもいいし、久保をおとりにして伊東が自ら切り込んだり、鎌田や遠藤をターゲットにクロスを上げてもいい。バルサがよくやるやつです(笑)。
逆サイドの場合は、三笘と遠藤の関係性で相手の守備を崩すのは難しいと思うので、三笘1人で打開してもらいます(笑)。三笘にボールが入ったときは、遠藤は縦の動きをするんじゃなくて、中山と2人でサポートに入ってもらう。この3人で三角形を作ってくれれば三笘のプレーに選択肢が増えるし、チャンスも広がるかなと。
戦術のキーになるのは、三笘と久保ですね。森保ジャパンではさほど出番の多くない2人ですけど、バルサのサッカーをするには必要。僕はこの2人を軸にメンバーを選んでいきました。ちなみに、プレースキック(※8)は久保に任せます。右足の場合は鎌田か伊東になるでしょうね。
このチームなら、実際のワールドカップでもベスト4くらい行けるんじゃないですかね。機能すればの話ですけど、ドイツやスペインに十分勝てると思いますよ。ベルギーにも勝てる。ブラジルやアルゼンチンと当たった場合は難しいかもしれませんが……。
※2. DFが4人、MF(ミッドフィールダー)が3人、FW(フォワード)が3人のフォーメーション。前線の選手が3枚配置されることから、一般的には攻撃的な布陣と考えられている。
※3. 自陣後方からパスやドリブルを用いて攻撃を組み立てること。一般的にはロングボールではなくショートパスをつないで前線へ攻め上がる攻撃を指すことが多い。
※4. DFの前に位置する守備的MF。ポルトガル語で「ハンドル」を意味し、チームの“運転”を担う重要なポジション。
※5. センターバックのすぐ前方にポジションを取る守備的MFのこと。
※6. FWと守備的MFの間にポジションを取る攻撃的MFのこと。日本では「インサイドハーフ」と呼ばれることが多い。
※7. 「9番」はいわゆる“点取り屋”タイプのセンターFWを指す語で、9番タイプではない選手をセンターFWとして起用する際にしばしば「偽9番」という表現が使われる。
※8. フリーキックやコーナーキックなど、一時中断したゲームをリスタートする際に止まった状態のボールを蹴るプレーのこと。
サブメンバーについて
サブにはちょっと面白味も入れたいなと思って、レアル・マドリードの下部組織で奮闘中の中井卓大(フベニールA / スペイン)を招集します。彼の試合もたまに観たりしているんですけど、けっこういいゴールを決めているんですよ。使い方としては、インテリオールの交代要員ですね。ぜひ久保と並べてレアルコンビで使ってみたいです(取材は6月に実施。久保はレアル・マドリードに所属していた)。南野拓実(モナコ / フランス)を入れるとしたら……システムを4-2-3-1(※9)にして、トップ下(※10)ですかね。たぶん、彼はトップ下が一番向いていると思うんですよ。カウンターのときとか、少ない選択肢の中での判断がめちゃくちゃ優れているので。
前線の控えは、前田大然(セルティック / スコットランド)、古橋亨梧(セルティック / スコットランド)、スーパーサブとして岡崎慎司(カルタヘナ / スペイン)。この3人に関しては、スペイン戦でのブスケツ潰し要員ですね。ワントップというよりは、ずっとブスケツにマンマークで付いてもらうようなイメージです。DFは、センターのサブに吉田麻也(シャルケ04 / ドイツ)、サイドに長友佑都(FC東京)。……DFの人数、少なすぎますかね(笑)。
※10. DFが4人、守備的MFが2人、攻撃的MFが3人、FWが1人のフォーメーション。歴代の日本代表チームで頻繁に採用されてきた。
※11. 「トップ」はセンターFWの選手を指す語で、そのすぐ後方(つまり「下」)にポジションを取る攻撃的MFのこと。攻撃を組み立てる役割や決定的なパス出し、自らシュートを放ち得点する能力などが求められる。
現実の森保ジャパンについて
本大会グループリーグでドイツ、スペインと同組に入ったのは、僕はめちゃくちゃうれしいです。スペインが大好きなので。可能性としてはスタメンの半分くらいがバルセロナの選手で占められることも考えられるし、そうなったらよりうれしいですね。単純に観てみたい。
日本はどうなるでしょうね? グループリーグは抜けてほしいですけど……もしかしたらスペインには勝てる可能性もあると思うんですよ。鎌田がブスケツの周りを動き回りながらタメを作って、うまいことボールを散らしてくれれば……。希望としてはベスト16、さらに超えてベスト8まで行ってほしいです。
自分をサッカー選手に例えると?
鎌田大地に近いかもしれないです。あんなにクオリティ高くないですけど(笑)、常に「視野を広く持って、周りを生かす絶妙なパスを出したい」と思って生きているので。M!LKのメンバーで言えば、佐野(勇斗)さんが走るタイプのFWだと思うので、僕はトップ下くらいの位置から彼に優しいパスを供給したい。で、リーダーの吉田(仁人)さんがGKとして後ろで構えていてくれる感じです。
選手時代もだいたいトップ下をやることが多かったですし、とにかく「パサーでありたい」と謎にこだわっていました。その経験が今につながっている部分はけっこうあるような気がします。
※カッコ内の所属クラブは7月27日(水)12:00時点
山中柔太朗
2001年12月23日生まれ。栃木県出身。BATTLEBOYS 1st 全国選抜を経て、2018年8月にM!LKに加入した。M!LKでの担当カラーはクリスタルホワイト。2021年11月に「Ribbon」でビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー。2022年8月10日にニューシングル「奇跡が空に恋を響かせた」をリリースする。また9月から10月にかけてグループ最大キャパシティとなる東名阪ホールツアー「M!LK HALL TOUR 2022 満月の夜 君と逢う」を開催する。
M!LKオフィシャルサイト
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