ゴールデンボンバー鬼龍院翔、7年ぶり有観客ソロライブ「ひとりよがり」で見せたボーカリストの矜持

3

32

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 10 21
  • 1 シェア

ゴールデンボンバーのボーカリスト・鬼龍院翔の単独公演「ひとりよがり7」が全国5公演にわたって開催された。この記事では12月23日に行われた神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール公演の模様をレポートする。

鬼龍院翔(撮影:太田好美)

鬼龍院翔(撮影:太田好美)

高画質で見る

「ひとりよがり」は鬼龍院が不定期に開催している、ゴールデンボンバーの楽曲をたった1人で歌唱する着席形式のソロライブ。コロナ禍の2020年に無観客配信ライブとして行われて以来5年ぶり、有観客では実に7年ぶりの開催となった。

1人ひとりを歌詞の世界に浸らせる

鬼龍院本人による影アナを経て場内が暗転すると、ステージ中央にピンスポットが当たり鬼龍院の姿が現れた。黒いジャケット姿の鬼龍院が最初に歌い始めた曲は「夜汽車」。ダークな歌い出しを経て壮大なスケール感の間奏が始まるとステージは一気に明転し、クラシカルなビロードのカーテンに覆われた全容が観客の目に飛び込んできた。

「君がいない間に」で深みのあるボーカルを聴かせたあと、鬼龍院は7年前に開催した「ひとりよがり6」でもパシフィコ横浜のステージに立ったことを振り返り「7年経ってもこの会場でひとりよがれるのはとても幸せです。1曲1曲大切にお届けします」と意気込む。歌詞の世界をじっくり味わってもらうため、自身のアップなどを映すカメラは用意していないと演出の意図を語った鬼龍院だが「MCのときだけは一応見せておくと、今日はどんな顔をしてるだろう?というモヤモヤも晴れるかなと……」と、後方席の観客のために自撮りカメラの映像をスクリーンに映すサービス精神を見せた。

自撮りの映像をスクリーンに映す気遣いを見せた鬼龍院翔。(撮影:太田好美)

自撮りの映像をスクリーンに映す気遣いを見せた鬼龍院翔。(撮影:太田好美) [高画質で見る]

この日披露する各曲について「歌詞の1単語だけでも、あなたの人生の中から引き寄せられる思い出があれば浸ってください。私もひとりの世界に入って、ひとりよがらせていただきます」と丁寧に観客に語った鬼龍院だが「……MCでは名前呼んでいいですよ? これやらないと暗すぎるから(笑)」と呼びかけて黄色い歓声を浴びるひと幕も。「明るいキリショーとはまた次のMCでお会いしましょう」とMCタイムを締めくくったあとは「男心と秋の空」「煙草」と、切ない恋心をアップテンポなサウンドに乗せたナンバーを連投。シンフォニックなアンサンブルが印象的な「鈍色の臨終」では、鬼龍院が歌う壮大なメロディラインがホール中に朗々と響き渡った。

「別の面も表現できる場があるのは幸せ」

3曲連続で歌い終えた鬼龍院は「まあ全部暗いよ……」とぼやきつつ「一節だけでもあなたの人生とかするものがあれば素敵なことじゃないですか」と、この時間をファンと共有しているうれしさを噛み締める。「Neeeeeee!」「忙しくてよかった」「Reue」と失った恋を嘆く楽曲が再び観客をそれぞれの世界に浸らせるが、「腐男子」「泣かないで」では華々しい照明が会場全体を照らしてムードを一変。鬼龍院のスター性を引き立てるひとときとなった。

鬼龍院翔(撮影:太田好美)

鬼龍院翔(撮影:太田好美) [高画質で見る]

バラードが中心となる「ひとりよがり」のセットリストに鬼龍院は「バラードは使う筋肉が全然違いますね。バカ騒ぎの筋肉しか付いてない(笑)」とこぼし、7年ぶりのステージならではの苦労を明かす。続くグッズ紹介コーナーでは「ブローチは亜鉛合金、強そう! 塩水とかにさらさないようにね!」などと独特の表現で各アイテムをアピールしてファンの笑いを誘った。和やかなムードを届けたのち、鬼龍院は「メンバーと活動している中で求められるのはにぎやかに盛り上げることだけど、1人の人間が生きていれば明るい部分も暗い部分もある。別の面も表現できる場があるのは幸せです」とこのライブの存在意義を語り、「止めることもできたけど、それは生まれてきた曲に申し訳ない。自分は世界に1人だけの自分、世界に1人だけの鬼龍院翔だと証明する場所なんです」とまっすぐな目で思いを明かした。

その言葉を体現するように鬼龍院が歌ったのは、2023年にリリースされたアルバム「COMPACT DISC」の収録曲「胸を痛めても」。本ツアーが初歌唱となったこの曲に、観客はじっくりと耳を傾ける。いよいよライブ本編も終わりに近付き、鬼龍院がここまで語ってきた“1人の人間”の存在意義を問いかけるようなナンバーが続いていく。「断末魔」のあと、本編最後を飾った曲は「夢を見れたら」。音楽に懸ける真摯なメッセージを乗せた鬼龍院の歌声が、オーディエンスを感動に導いた。

鬼龍院翔(撮影:太田好美)

鬼龍院翔(撮影:太田好美) [高画質で見る]

3階席まで駆け回るサービス精神も

アンコールで鬼龍院は「『ひとりよがり』の定番だと思っている曲をアンコールブロックに持ってきました」と話し、前回の開催からの7年間を追ったさまざまなオフショット写真とともに「あしたのショー」を歌う。続く「らふぃおら」は、鬼龍院がニコニコ動画で公開したデモ音源の動画とともに披露された。

「ありふれたうた」では鬼龍院が客席を行き来しながら歌唱。1階だけでなく2階や3階まで駆け回り、曲が終わってからもアカペラで歌いながら「左右対称なので……」と各通路をくまなく巡るサービス精神と几帳面さに、客席からは大歓声が沸いた。「広がる世界」に続いて披露されたラストナンバー「春が来る前に」ではステージから客席に桜の花びらを象った紙吹雪が降り注ぎ、歌詞の世界をファンタジックに彩る。全18曲を歌い終えた鬼龍院は「こんな会に参加してくれた皆さんを他人だとは思っていません。また何がしかでお会いしましょう!」と感謝を述べ、笑顔でステージを去っていった。

「春が来る前に」を歌う鬼龍院翔。(撮影:太田好美)

「春が来る前に」を歌う鬼龍院翔。(撮影:太田好美) [高画質で見る]

この記事の画像(全9件)

セットリスト

鬼龍院翔 単独公演「ひとりよがり7」2025年12月23日 パシフィコ横浜 国立大ホール

01. 夜汽車
02. 君がいない間に
03. 男心と秋の空
04. 煙草
05. 鈍色の臨終
06. Neeeeeee!
07. 忙しくてよかった
08. Reue
09. 腐男子
10. 泣かないで
11. 胸を痛めても
12. 断末魔
13. 夢を見れたら
<アンコール>
14. あしたのショー
15. らふぃおら
16. ありふれたうた
17. 広がる世界
18. 春が来る前に

読者の反応

  • 3

よんだぶ 可視性制限中? @yondabu

ゴールデンボンバー鬼龍院翔、7年ぶり有観客ソロライブ「ひとりよがり」で見せたボーカリストの矜持 最新ニュース - 音楽ナタリー https://t.co/eVygGtksA7

コメントを読む(3件)

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 ゴールデンボンバー の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。