小野賢章

私と音楽 第22回 [バックナンバー]

小野賢章が語るOfficial髭男dism

うれしい反面さみしい、主張したい「Pretender」以前の魅力

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各界の著名人に“愛してやまないアーティスト”への熱い思いを聞くこの連載、今回は俳優や声優、アーティストとしてマルチに活躍する小野賢章が登場してくれた。約2年半前からOfficial髭男dismを愛聴しているという小野に、ヒゲダンの音楽との出会いやその魅力についてたっぷり語ってもらった。

取材・/ 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部)撮影 / 斎藤大嗣

出会いは「LADY」

小野賢章

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昔からバンドが好きなんですけど、Official髭男dismを好きになったのは、よく聴いていた「アルコ&ピース D.C.GARAGE」(アルコ&ピースがパーソナリティを務めるTBSラジオの番組)がきっかけ。あるときこの番組で「LADY」が流れてきたんです。その瞬間に衝撃を受けて、「うわっ、えっ? 誰だ!?」と思っていたら曲が終わって、「Official髭男dismで、『LADY』でした」と聞こえてきて、すぐにバンド名を調べました。R&Bやゴスペルの要素を感じるヒゲダンの音楽は、僕の好みにぴったりだったんです。今でもこのときのことははっきり覚えてるな。藤原(聡 / Vo, Piano)さんの力強くてよく伸びる声。藤原さんの声ってちょっとハスキーというか、めちゃめちゃハイトーンで歌っていても、高い声として聴こえないんですよね。いざ自分でヒゲダンの曲を歌ってみると「何これ、めっちゃ高いやん!」ってなる。イベントでカラオケ大会みたいなのをやったときにヒゲダンを歌ったことがあるんですけど、高すぎて最後まで歌えなかったです(笑)。

新曲はradikoで何度も

小野賢章

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僕はラジオか携帯電話で音楽を聴いていて。ラジオ番組で言えば、藤原さんがあいみょんさんと週替わりでDJをされていた「MUSIC FREAKS」(FM802のラジオ音楽番組)は必ず聴いていました。この番組が新曲お披露目の場になることが多くて。番組放送後にも、radikoのタイムフリー機能を使って、新曲部分を何度も聴くんです。ただradikoは1つの番組につき3時間までしか再生できないから、その3時間をフルに使って、約5分の曲を何度も何度も聴くんです。でも意外と3時間ってあっという間なんですよね……。「Stand By You」と「Pretender」はそんな方法で聴いていました。ただ「MUSIC FREAKS」の藤原さんがDJの期間が終わってしまったので、最近は新曲が発表されるたびに「どこで最速で流れるんだ!?」と思っています。

応援歌のような「異端なスター」

小野賢章

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これまでリリースされてきた曲は、もちろん全部聴いてます。「Pretender」を機に知った方も多いと思いますが、その前からいい曲いっぱいあるよっていうのは主張したいです! すごく正直なことを言うと、ブレイクしてうれしい反面、2、3年前から好きなので少しさみしくて……変な言い方かもしれませんが、今までの色を失わないでほしい、ヒゲダンらしさをずっと保ち続けてほしいなと思っています。

好きな曲は絞れないですけど、「レポート」(2017年4月リリースの3rdミニアルバム)がすごく好きで。中でも「異端なスター」「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」とか。「レポート」の収録曲以外でも「Tell Me Baby」「What's Going On?」も好き。「未完成なままで」も好きだなあ……だいたい好きです(笑)。歌詞で言うと大人な感じの「異端なスター」が特に好きかも。自分の職業と重なる部分があるんです。最初の「面白くなけりゃダメで 見た目が良くなけりゃダメで そうやって選ばれたスター 人気者さ」という部分が特に印象的で。

役者って大勢の人の前に立つ、特殊な職業だと思うんです。普通の生活をしていたら浴びないような批判の声を浴びることもある。演じることが好きだからこの仕事をしていますが、ときにはそんな生き方、職業をわざわざ選んだのってなんでだろうと悩むこともあって。そんなことを考えてしまうときにこの曲を聴くと、応援してもらえているような気持ちになるんです。周りと一緒じゃなきゃだめみたいな空気が漂う中で、「他人と一緒じゃなくていいよ、自分らしくていいよ」と励ましてくれているような感じがして。ホントにヒゲダンの歌詞、いいよなあ。

どういう思いで書いたのか

最近、出勤のときはずっと「Traveler」(2019年10月リリースの2ndフルアルバム)を聴いています。曲調で言うと、ダンサブルな曲やビート感のある曲が好きで、中でも一番聴いているのは「Stand By You」かな。どういう思いでこの曲の歌詞を書いたのか、聞いてみたいです。「涙のターミナル」「未来がハイになる」とか俺だったら思いつかない! 語呂がいいというか、思わず口ずさみたくなる歌詞ですよね。「Stand By You」はミュージックビデオも好きで。ピアノ演奏シーンのおしゃれな感じとか、バンドの仲のよさが伝わってくるところとか。銭湯が舞台の「What's Going On?」のMVも好きです。この頃はチェックのシャツに蝶ネクタイとか、みんなおそろいの衣装のイメージが強かったけど、最近はちょっと変わってきてますよね。

どんだけ高い声出るんだよ!

小野賢章

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実はライブには、タイミングが合わなくて足を運んだことがなくて……ホントはね、あまり大きくないハコで観てみたかったです。でもライブの様子は観たくて、「Pretender」の初回限定盤に付いているライブDVDは手に入れました。「エスカパレード」(2018年4月リリースの1stフルアルバム)の初回限定盤特典のライブDVDも観たいんですけど、今はネットでめっちゃ高値になっているんですよ。ライブ音源を聴くと、「藤原さん、どんだけ高い声出るんだよ!」と改めて驚かされます。より生で観たい、聴きたいという思いが強くなりましたね。画面越しだと伝わらない会場ならではの空気感が絶対にあると思うので、それを味わいたいです。だから今度のツアー(参照:Official髭男dism、全18公演のアリーナツアー開催)の横浜アリーナ公演には絶対に行こうと思ってます!

小野賢章

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僕は声の仕事もたくさんさせていただいているのですが、1つ悔しい思いをしたことがあるんです。なぜ俺は、ヒゲダンの「FIRE GROUND」がオープニングテーマだった「火ノ丸相撲」(2018年10月から2019年3月まで放送されたテレビアニメ)に出演していなかったんだ……わかってるんです。「週刊少年ジャンプ」原作アニメの主人公を演じると、そのイメージがつくからほかの「ジャンプ」作品にはなかなかご縁がなくなるんだろうなって。その中でも僕はたくさんやらせていただいているほうだというのもわかってるんですけど……だから今の密かな夢は、ヒゲダンが主題歌担当のアニメに出演することです。

今日も聴きながら帰ろう

メンバーの皆さんに会ったことはないので、もし実際に会えたら「ファンです!」と伝えたい。あ、でも普段からTwitterでヒゲダンについて投稿しているからか、ギターの(小笹)大輔(G)さんにフォローしていただけたんです! すごくうれしかったです。きっかけがなくて一度もやり取りはしたことないんですけど……いやあ、でもこうして話してると、改めて聴きたくなってきちゃいますね。今日も聴きながら帰ろう。そして今、「Traveler」の初回限定盤をネットで買いました(笑)。届くのが楽しみです。

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小野賢章

1989年10月5日福岡県生まれ。声優、俳優、歌手とジャンルを超えて活動している。2001年より「ハリー・ポッター」シリーズの日本語吹替版で全作にわたり主人公ハリー・ポッター役を担当。2018年6月にはSPYAIR提供曲を収めたシングル「FIVE STAR」をリリースした。2020年3月まで上演しているミュージカル「『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2」にはリフ役で出演中。4月から放送されるTVアニメ「アイドリッシュセブン Second BEAT!」に七瀬陸役で出演する。

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