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黒沢清監督作「クリーピー」撮影現場に密着、西島秀俊と香川照之が衝突

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「クリーピー」撮影中の黒沢清(左)、西島秀俊(中)、香川照之(右)。 (c)2016「クリーピー」製作委員会

「クリーピー」撮影中の黒沢清(左)、西島秀俊(中)、香川照之(右)。 (c)2016「クリーピー」製作委員会

黒沢清が監督、西島秀俊が主演を務める「クリーピー」の撮影に、映画ナタリーが密着した。

「クリーピー」は、前川裕の同名小説をもとにしたサスペンススリラー。ある一家の失踪事件を追う元刑事の犯罪心理学者・高倉とその妻・康子が、引っ越し先で出会った奇妙な隣人・西野に翻弄され、深い闇へと引きずり込まれていくさまを追う。

8月1日にクランクインし、9月4日にクランクアップした本作。この日の撮影は、黒沢が「東京近郊を東から西まで探してやっと見つけた」と語る住宅地にて行われた。高倉家と西野家が並ぶ一角に見立てられた現場に足を踏み入れると、西野家の前に建つ巨大な給水塔、その隣のブルーシートが張られた田中家の外観が否応なく目に留まる。原作には登場しない給水塔を建てた理由を黒沢に尋ねると「高台からこの3軒を見下ろすシーンがあるんですが、そうすると(3軒が)コの字型に並んでいるのがわかるんです。そこにぽつんと給水塔が建っていると、3軒の間が中庭的に抜けているというのが遠目からでもわかるなと思い、給水塔を建てました」と説明。続けて原作に触れながら「遠くの街の事件を調査していく内に、その事件が起こった現場の配置と、今自分が住んでいる場所の配置が似ていると気付く瞬間はとても映像的だと思います」と映像作品における場所の重要性に言及する。

当日は塀の陰に身を潜めた高倉が、西野の姿を隠し撮りするシーンの撮影が行われ、現場には高倉に扮した西島のほかに、西野役の香川照之、西野家で暮らす少女に扮する藤野涼子らの姿が。黒沢はキャスト陣や撮影監督の芦澤明子と話し合いながらリハーサルを重ね、シーンを固めていく。黒沢が「高倉はとある昔の事件の謎に気付いて色々と調査し、殺人が行われた場所に謎の人物がいたことを突き止めていく。その昔の事件と、自宅の隣に住む家主との不可解なつながりが、この原作の強みであり面白さだと思いました」と語る、2人の男の特殊な関係を表したシーンの撮影とあり、ロケ地には張り詰めた空気が流れていた。

現場では、円滑にコミュニケーションが取られ、スタッフ各自が受け持ちの仕事を確実に遂行していく。途中から康子を演じる竹内結子が合流し、高倉と西野が争う場面のリハーサルが始まった。西野の正体を暴こうと躍起になった高倉が、力いっぱいに彼を地面に押さえ込む危険なシーンということもあり、西島をはじめとするキャスト陣の表情にも力が入る。カメラの位置を変え、テイクを重ねていく中でも緊張感は途切れることなく撮影は進んだ。

配役に関して質問を投げかけると、脚本の段階から西島と香川をイメージしていたという黒沢。「(配役には)色んな可能性があるとは思っていたんですが、なんとなくの感覚ですけど、この人だったらこの人という組み合わせがありまして。西島さんなら相手役は香川さんというのが、僕の中に当然のようにありました」と思いを明かす。その言葉を裏付けるように、休憩中も立ち位置のすり合わせや談笑を行う西島と香川の姿が印象的であった。

「クリーピー」は2016年6月に全国ロードショー。

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