「川西幸一50祭」堂々完結!3時間半の大奮闘で城ホール揺らす

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川西幸一(ユニコーン、BLACKBORDERS / Dr)が50歳になることを記念し、ライブイベント「川西幸一50歳記念 チョットオンチー栄光の50年」が開催。川西の誕生日当日である10月20日に大阪城ホールで千秋楽公演を行い、満員のファンとともに誰よりも元気な“半世紀少年”をお祝いした。

ドラム型バースデーケーキにともされたキャンドルの火を吹き消す川西幸一50歳と、それをあたたかく見守るユニコーンのメンバー。キャンドルは全部で5本、1本で10歳換算だ。

ドラム型バースデーケーキにともされたキャンドルの火を吹き消す川西幸一50歳と、それをあたたかく見守るユニコーンのメンバー。キャンドルは全部で5本、1本で10歳換算だ。

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「半世紀少年」では、メインスクリーンに大きな文字で歌詞が表示。会場にいる人全員で合唱できるように気配りされていた。

「半世紀少年」では、メインスクリーンに大きな文字で歌詞が表示。会場にいる人全員で合唱できるように気配りされていた。

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「素浪人ファーストアウト」では阿部が川西のスタンドマイクに寄り添ってコーラスを歌うパフォーマンスを披露。その横でボーカルの川西はエアギターソロを繰り広げるなど、フロントマンとしての立ち振る舞いもばっちり。

「素浪人ファーストアウト」では阿部が川西のスタンドマイクに寄り添ってコーラスを歌うパフォーマンスを披露。その横でボーカルの川西はエアギターソロを繰り広げるなど、フロントマンとしての立ち振る舞いもばっちり。

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PUFFYのステージで「愛のしるし」を歌う天使姿の川西。PVにあわせた振り付けも決まっている(写真は10月6日日本武道館公演の様子)。

PUFFYのステージで「愛のしるし」を歌う天使姿の川西。PVにあわせた振り付けも決まっている(写真は10月6日日本武道館公演の様子)。

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BLACKBORDERSは、その名のとおり黒い衣装に身を包んでプレイ。川西もクールなサウンドにあわせ、サングラス着用のまま演奏する。

BLACKBORDERSは、その名のとおり黒い衣装に身を包んでプレイ。川西もクールなサウンドにあわせ、サングラス着用のまま演奏する。

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ゲストバンドとして生誕祭に花を添えたBEAT CRUSADERS。計3回も披露した「ACID COLOR ZOO」ではMC 2人がサビで見せた手を振り上げる動きを、観客が真似する場面も。

ゲストバンドとして生誕祭に花を添えたBEAT CRUSADERS。計3回も披露した「ACID COLOR ZOO」ではMC 2人がサビで見せた手を振り上げる動きを、観客が真似する場面も。

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定刻を10分ほど過ぎたころ、客電が暗転。同時に観客が一斉に立ち上がり、わぁっと声を上げる。するとメインスクリーンに「祝」「生誕50周年」という文字が映し出されるとともに、特効のスモークが4本勢いよく吹き上がり、舞台中央張り出しの奈落からせり上がりで川西が登場。その瞬間、大阪城ホールが怒号のような歓声に包まれた。

黒いハッピ姿の川西は、感慨深そうに大阪城ホール全体を右から左までくまなく見渡す。たっぷり数分間会場に目をやった後、おもむろに「ついに50本になりました!」と口にし、すぐに「……まだ演ってないけど(笑)」とはにかむ。これは、7月1日から誕生日の10月20日までの間に50本のライブをこなすという前人未到の挑戦を行ったことを受けての発言だ。「誕生日ということもあり、昨日から祝福の嵐です。そしてそんな日を皆さんと過ごせてうれしいです」と言いおじぎする。「今日はBLACKBORDERSさん、ユニコーンさん、PUFFYさん、それにすてきなゲストさん……まだ発表されてないんだっけ? あ、されてるのか」と軽いボケをかましつつ「楽しみましょう!」と言い放つと、客電が再び暗転。直後にステージが真っ赤なライトで照らされ、この日最初のアクトであるPUFFYのライブが始まった。

PUFFY

まず、挨拶代わりの1曲目として「ジェット警察」を、2曲目として「DOKI DOKI」を立て続けに披露。この間、メインおよびサブスクリーンに映し出されるのは、川西の左横に陣取った専用カメラからの映像がメイン。ヘッドバンキングをしたり、空いた左手をドラムスティックを持ったままひらひらさせたりと、キメポーズをこれでもかと見せる。これらスクリーンには、イベントの頭から終わりまで川西ファンにとってはたまらない映像ばかりが映し出されることとなった。

MCでは由美がマイクをとり「こんばんはPUFFYでございます。本日は川西幸一さんの誕生日おめでとうございます」と挨拶し、「本日のバースデーボーイ……ボーイじゃないか(笑)。こっちに来てください」と川西をステージフロントに呼び寄せる。続けて亜美が「私たちは川西さんのことちゃんとメンバーだと思ってますよ、だからカウントされてもいいのになーと思ってた」と発言。これは、“3カ月半でライブ50本”プロジェクトの中に、当初はPUFFYのサポートとしてドラムを叩く分も1本のライブとしてカウントされていたのが、奥田民生(ユニコーン / Vo, G)の「メンバーじゃないんだから違うじゃろう」という言葉によってカウントされなくなったことを受けたひと言。川西も我が意を得たりと「でもOTがね、ドSだからね」と後をつぐ。そして「今年に入ってから某ユニコーンさんが動き出したことで、PUFFYができなかったんだよね。その間に新作も出てるし。でもこのイベントから晴れて復帰、ということで!」と宣言し、オーディエンスからあたたかい拍手を浴びていた。

続いてスペシャルゲストとして古田たかし(Dr)がステージに呼び込まれ、入れ替わりに川西がステージを降りると、キャッチーなイントロが鳴らされる。それと同時に奈落から、背中に白い羽が付いたキュートな天使の衣装にお色直しをした川西が登場。とても50歳には見えない愛らしい姿に観客から黄色い悲鳴と喝采が沸き起こる。そして亜美・由美の間にマイクスタンドをそそくさと置くと、トリプルボーカルで「愛のしるし」をPVと同じ振り付けで披露。イベント名「チョットオンチー」のとおり、たいへん味わい深い歌を聴かせてくれた。

楽曲の終わりではハンドマイクを持った右手を高く掲げ、するすると奈落から退場。続く「オリエンタル・ダイヤモンド」では、サビで鳴らされるドラ担当として、必要なときだけせり上がりで登場。ドラの鳴る小節が終わると退場し、再びドラが必要な箇所でまたもせり上がりで姿を見せるという慌ただしさ。さらに次の「渚にまつわるエトセトラ」では、花道の上手に用意されたドラムセットに川西が、下手のドラムセットにしーたかが座り、ツインドラムで楽曲を盛り上げる。そして「赤いブランコ」のアウトロでは2人のドラマーが交互に迫力あるソロを繰り出し、会場を興奮のるつぼに巻き込んだ。

ここでしーたかが退場。その後は、由美に「お風呂2回入った後みたいに汗かいてる(笑)」と揶揄されながらも、川西が1人でドラムを担当。「働く男」のアウトロでは再びソロを繰り広げ、「誰かが」のサビでは専用カメラをスティックで指すキメポーズを披露。「アジアの純真」では亜美がドラムのほうを向いてユニークなダンスを踊るのを見て破顔一笑するなど、重厚なドラミングとチャーミングなキャラクターをふりまいた。

BLACKBORDERS

約1時間におよんだPUFFYのステージ終了後、間髪入れずSEが鳴り響き、上手のサブステージにBLACKBORDERSのフラッグが掲げられる。続いて川西と野田タロウ(Vo, G)の2人が姿を見せると、メンバーの名前を呼ぶ声があちこちから響く。野田が「BLACKBORDERSでーす! 川西さん、ついに50歳おめでとうございまーす!」とシャウトし、まずは「4 STEP ROCK」とニューアルバム収録曲「TEENAGE RIOT」を演奏。ギターとドラムのみというシンプルな編成で奏でられるソリッドなロックンロールに、オーディエンスも腕を振り上げて反応する。そうかと思えば、MCでは野田が「川西さんの元気の秘訣は“ご飯を食べる”ことだというので、さっき食べてみました」と言い、川西が「野田くんが? あんまり普段食べないもんね」と返すなどほのぼのしたやり取りが行われた。続く「ロックンロールナイト」では恒例のコール&レスポンスで盛り上がり、ラストの「Go forward now!」ではスピード感あるサウンドを叩き付け、あっという間にステージを去っていった。

BEAT CRUSADERS

3バンド目には、この日のゲスト・BEAT CRUSADERSが登場。メインスクリーンにイベントのロゴ「KK50」(川西幸一50歳の意)が表示され、オープニングSEが鳴ると同時にマシータ(Dr)がステージに駆け込み、張り出しで観客を煽る。そしてヒダカトオル(Vo, G)が定番の挨拶を言い放ち、それにあわせて全員がお面を客席に投げ込む。ビークルを初めて観るオーディエンスもちらほら見受けられる中、度肝を抜くようなパフォーマンスを見せつけると、「HIT IN THE USA」をかき鳴らした。そのまま「LET IT GO」を爆音で演奏し、あっという間に会場の空気をビークル色に染め上げる。さらに3曲目には、マシータとカトウタロウ(G)がMCを務める異色のヒップホップナンバー「ACID COLOR ZOO」を披露するサービスっぷり。

続くMCではヒダカが「どうもー、BEAT CRUSADERSのボーカル&ギター、ヒダカトオルでーす! 今年で41歳です! よってユニコーンの歴史はくまなく見てます!」とイベントホストに絡めたトークを展開。「僕と同じアラフォーの人は、こういうイベントとかフェスとかにユニコーンが呼ばれたら何するかわかってるでしょ? 嫌がらせだよ! だから今日はBEAT CRUSADERSが夜中の12時回るまで演奏します! あ、でもユニコーンファンのみんな安心して。俺が『すばらしい日々』歌うから。川西さんのラップもマシータがやるから。ギターはうちのテッシーがやるから」と言ったところでカトウタロウがライトハンド奏法で聞き覚えのあるフレーズを弾いてみせる。「みんな知ってるエディ・ヴァン・ヘイレンです!」と、ユニコーンとまったく関係ないことが判明したところで客席に笑いが起きた。

続いて、「CUM ON FEEL THE NOIZE」「CHINESE JET SET」と定番曲をプレイすると、どこかで聴いたイントロが。再びマシータとカトウタロウがハンドマイクを持ち、この日2度目の「ACID COLOR ZOO」をパフォーマンス。

2回目のMCでは、ヒダカが「BEAT CRUSADERSは最初2人で、次に4人になって、それから5人編成になったんだけど、5人になるときぶっちゃけユニコーンをずいぶんパクりました!」と衝撃的な事実を明かし、「そんな僕らを初めて観る人もいると思うので、ここでメンバーの面白くないほうから自己紹介をします」とメンバーに振る。誰から言われるわけでもなく、まずマシータが「37歳! こう見えても1児の父親です!」と真っ先に口にし、クボタマサヒコ(B)が「髪を伸ばしてEBIさんのようになろうとしてます」とユニコーンに絡めて自己紹介。そしてケイタイモ(Key)が「BEAT CRUSADERSの国分太一です!」と言ったところでヒダカに「阿部じゃないのかよ!」と突っ込まれ「BEAT CRUSADERSの阿部です!」と訂正。続くカトウタロウは「今年で33歳、三分の一世紀少年です!」と言うが見事にすべってしまいうろたえていた。

さらにヒダカが「そしてユニコーンの歴史をすべて見てきたヒダカトオル41歳! ユニコーンがこういうイベントに出たら嫌がらせをするしかない!」とどこかで聞いたMCを続ける。「そこで今から嫌がらせをします! ロックと言えば“セックス、ドラッグ、ロックンロール”! ドラッグはダメ、絶対! だからこの会場にはセックスの要素が足りないので、今から皆さんにコールをしてもらいます!」とビークルのライブでは定番のコール&レスポンスを客席に要求。オーディエンスが見事に一体となってあまり大きな声で言えない言葉を連呼する、シュールな光景が繰り広げられた。

さんざん盛り上がったMCを経て、「FOOL GROOVE」を怒濤の勢いで演奏。そしてヒダカの「最後の曲です!」という言葉どおり、続いて鳴らされた「TIME FLIES, EVERYTHING GOES」がラストナンバーと思われたが、アウトロでメンバーが慌ただしく立ち位置を移動。なんとこの日3度目の「ACID COLOR ZOO」だ。大盛り上がりとなった観客に負けじと、熱の入ったパフォーマンスを披露するMCの2人。ついにはステージを飛び降り、アリーナ1列前の通路を駆け抜ける。普段のビークルとはひと味違ったステージを展開し、会場をお祭りムードに巻き込んだところで、ライブは終了した。

BLACKBORDERS

ビークルのステージの余韻が冷める間のないうちに、今度は下手のサブステージで再びBLACKBORDERSのライブが始まった。1回目とはセットリストを変え、「スターフィッシュ」「プラスティックファング」「INVITATION!!!」「IT'S ONLY R&R」の4曲を演奏。途中のMCでは野田が照れくさそうにアントニオ猪木の物マネをして川西が爆笑するという、微笑ましい様子が見られた。

ユニコーン

そしていよいよ、イベントのトリであるユニコーンのライブの時間となった。転換SEが止み、鈴虫の鳴き声が聴こえてくると同時に川西以外のメンバーがステージに姿を表す。舞台下手で、4人で向かい合い拍手をするという、まるで「半世紀少年」PVのオープニングのような動きをみせると、それぞれの定位置に向かう。ところが奥田民生が座ったのはドラムセットの前。ざわつき半分、ニヤニヤ半分の客席を前に、同じように笑う民生がとったカウントに続いてバンドが演奏を始めると、舞台中央の張り出しから川西幸一がぴょーんとポップアップで登場。「オハヨー!」と叫び「ロック幸せ」を歌いだした。

1曲目からステージ上を縦横無尽に動き回りながらニコニコと楽しそうに歌う“チョットオンチー”川西を、同じくニコニコしながら見つめるファンが続出。またアウトロではなんと民生がドラムソロを披露するレアなシーンも。しかしソロ終わりでタイミングがつかめず、ボーカルの川西と見つめ合って固まってしまい「あれ(笑)」と口走る羽目に。多幸感にあふれたイベントならではの、ゆるくて楽しい空気が会場全体を包み込む。さらに続く「キミトデカケタ」でも川西がボーカルを担当。メインスクリーンにネオン管で彩られたカラフルな映像が流れ、ハッピーな雰囲気を後押しした。

そして次の曲にそなえ、川西がハッピをまとって登場すると、民生がここぞとばかり「今日はあまりどもらないじゃない」と言い、川西が「昨日お酒控えたからかな(笑)」と返すと、客席からどよめきが沸く。さらにそれに対し「いつも控えれば」と民生が苦笑すると「え、何だって?」と川西。「川西五〇数え唄」の歌詞を地でいく会話に喜ぶファンが多数見られた。

そしてまだまだ続く川西ボーカルタイム。「素浪人ファーストアウト」ではイントロでブルースハープを吹き、一点を見つめて歌う川西を会場にいる全員がドキドキした面持ちで見守る。耐えきれなくなった民生がドラムを叩きながら大笑いし、阿部義晴(Key)や手島いさむ(G)は張り切ってサポートに努めていた。また、この曲は春の全国ツアーでも演奏されたことから、弦楽器隊3人がツアーの時のステージングを再現。センターで歌うボーカルの周りに集まってポーズを決めたり、舞台の空きスペースでボックスステップを踏んだりと、熱狂の全国ツアーを想起させる演出に感動する人も。

次の「ブルース」では、ヘルメットをかぶってハッピを羽織った川西が歌詞の一部分を大阪・新世界の地名「ジャンジャン横丁」に変えて歌ったり、EBI(B)が途中に「おめでとうっ!」と叫ぶ演出があったり、阿部が弾くラストのアルペジオが長めになったりと、サービス満点。しかし民生が「……なんかどんどんヘタになってるな(苦笑)」と呟き、またもや笑いが巻き起こる。そして5曲目には春のツアーでも好評を博した「PTA ~光のネットワーク~」をパフォーマンス。イントロでは会場中にグッズ「ふるえるもん宝」の赤い光が満ち、民生もオーディエンスに負けじと妙な動きで「もん宝」を振り回す。またMC川西とMC EBIからなるラップユニット「甲殻類」がステージ上を左へ右へと走り回り、さらに舞台下に降りて最前列通路を駆け抜ける。ユニコーンの新しいパーティチューンとも言える楽曲に、観客も大喜びだ。

ここで、川西をフィーチャーした一連の演出は終了。本来のパートに戻るべく、民生がギターを手にすると、会場から自然と拍手が沸き起こる。そしてMCで「えー……本日は皆様、川西幸一50歳記念、チョットオンチーがどうしたこうしたに多数お集りいただき真にありがとうございます」と低いトーンで語る民生。「本当に皆様には多大なご迷惑をかけたことを深くお詫びいたします。今後このようなことのないよう、気をつけていきたいと思います」と続けると、観客から苦笑とも失笑ともつかない忍び笑いが聞こえてくる。なのに当の本人である川西は、専用カメラに向かってキメポーズを作るのに夢中で、民生に「聞いてるんですか?!」と突っ込まれる始末。「もう川西さんが歌うことはないので安心してください」と民生がつぶやくとまたしても拍手が発生。会場にいる全員が、あたたかい気持ちでイベントを楽しんでいるのが伝わってくる。

6曲目として演奏されたのは、復活後このイベントで初披露となった「ケダモノの嵐」。そして、全員のソロボーカルパートが印象的な「パープルピープル」、壮大なロックチューン「HELLO」、川西がドラムを叩きながら“ボイン”を形作る手振りとテッシーが片足を蹴り上げるパフォーマンスが名物の「ヒゲとボイン」が立て続けに披露され、オーディエンスの盛り上がりも最高潮に。

さらに川西が「WAO!」のイントロを叩き始めると、ドラム台がぐんぐんと上昇。それを讃えるようにメンバーも観客も両腕を振り上げる。メインスクリーンには緑の光線が走り、さながら川西に後光が射しているかのようだ。またアウトロでは白熱したドラムソロを展開。会場中が息をのんで見つめる中、キックやシンバルを多用した見ほれるようなソロを披露し、ついにはスティックをかなぐり捨て素手で素晴らしいフレーズを叩き出す。初めて観る圧巻のプレイに、何度も何度も大きな拍手が沸き起こる。川西のドラマーとしての本領が発揮された鬼気迫る演奏は、本編ラストにふさわしい輝きを放っていた。

こうして、盛りだくさんの本編が終了したが、オーディエンスはすぐに拍手でアンコールを要求。それに応え、まず民生、阿部、テッシーの3人が姿を見せる。さらに、67missionコラボパーカーをまとった「甲殻類」の2人がステージセンターでポーズをとる。そして特徴的な川西の笑い声が鳴らされ「半世紀少年」に入るはずが、それにかぶさるように「HAPPY BIRTHDAY」のフレーズが鳴り、せり上がりからバスドラム&スネアの形をした巨大なバースデーケーキが登場。この日とうとう50歳になった川西をお祝いしようと、会場全員で「HAPPY BIRTHDAY」を歌う演出だ。内緒で企画されたため、川西はドラムケーキの形に驚きながらキャンドルの火を吹き消していた。

そして改めて「半世紀少年」をパフォーマンス。民生と阿部がキーボードブースで奮闘し、テッシーがショルダーキーボードを弾き、「甲殻類」がラップを楽しそうに披露する様子に、観客からは笑いと合唱が起こる。また最後には、客席に銀色のテープやシャボン玉が舞う中、この日の出演アーティストが続々ステージに登場。メンバーと一緒に「U/C」ロゴの入ったフラッグを振ったり、「50」をかたどったパネルを持って踊ったりしながら、約3時間半におよんだお祭りのラストを彩った。

演奏が終わって川西を除く全員がステージを去ると、この日の主役から最後の挨拶が。「やったぜー!!」と叫ぶと、「今日ですべてが終わったわけじゃないんですが、(客席を指しながら)こんなステキなみんなと、(バックステージを指しながら)あんなステキなみんなと、素晴らしいスタッフと、ここにいられるのがとてもうれしいです」と続け、長く、深々とおじぎする。数分後に頭を上げた川西の目はほんの少し赤く染まり、その様子を一心不乱に全員が見つめる。「……言葉はいらないと思います。ありがとう!」と言い、また深々とおじぎ。そして「死ぬまで生きよう!」と大声で宣言すると、会場中から惜しみのない拍手が注がれた。

こうして、前人未到の“3カ月半でライブ50本”を達成し、晴れて50歳となった川西幸一。素晴らしいプレイヤーであり、愛されキャラクターである彼ならではの、笑いと愛情に満ちたライブイベントは幸せな雰囲気で幕を閉じた。またユニコーンは、年末のフェスティバル「COUNTDOWN JAPAN 09/10」と「RADIO CRAZY」に出演することが決定。さらに、12月23日にはこの1年に行ったライブ音源を厳選して収録するライブアルバム「勤労ロードショー~LIVE IN JAPAN~」の発売も控えている。今年の1月に復活を果たしてから大忙しで働き続けた1年を締めくくるにふさわしい作品が期待できそうだ。

「川西幸一50歳記念 チョットオンチー栄光の50年」2009年10月20日@大阪城ホールセットリスト

PUFFY

01. ジェット警察
02. DOKI DOKI
03. 愛のしるし
04. オリエンタル・ダイヤモンド
05. 渚にまつわるエトセトラ
06. 赤いブランコ
07. 働く男
08. 誰かが
09. アジアの純真

BLACKBORDERS

01. 4 STEP ROCK
02. TEENAGE RIOT
03. ロックンロールナイト
04. Go forward now!

BEAT CRUSADERS

01. HIT IN THE USA
02. LET IT GO
03. ACID COLOR ZOO
04. CUM ON FEEL THE NOIZE
05. CHINESE JET SET
06. ACID COLOR ZOO
07. FOOL GROOVE
08. TIME FLIES, EVERYTHING GOES
09. ACID COLOR ZOO

BLACKBORDERS

01. スターフィッシュ
02. プラスティックファング
03. INVITATION!!!
04. IT'S ONLY R&R

ユニコーン

01. ロック幸せ
02. キミトデカケタ
03. 素浪人ファーストアウト
04. ブルース
05. PTA ~光のネットワーク~
06. ケダモノの嵐
07. パープルピープル
08. HELLO
09. ヒゲとボイン
10. WAO!
<ENCORE>
EN01. 半世紀少年

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読者の反応

たろ ろみん @taro_romi

かろうじて天使(^↓^)の写真あったナタリーさん有難き

「川西幸一50祭」堂々完結!3時間半の大奮闘で城ホール揺らす https://t.co/pmkYmeUj3t

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