「町田くんの世界」は、2015年から2018年まで「別冊マーガレット」(集英社)で連載されていた
フォトコールでは冒頭の約10分間が披露された。いつもメガネの町田くんは、物静かな外見とは裏腹に、不器用で要領が悪い。しかし周りをよく見ていて、誰にでも優しく、信頼されている。明るく爽やかな楽曲は、そんな町田くんらしさが伝わる人々との会話を交えて紡がれ、町田くんの人物像を印象付ける。存在感を放つのは中央に置かれた、大きくてカラフルな2階建てのセット。キャストたちが歌いながら交代で1つのセットを回し続ける様子はまるで、人を愛し、愛される町田くんを中心に広がる温かな“世界”の縮図のように見えた。
フォトコール後の囲み取材には、キャストの川崎、
川崎は、町田くんという人物について「町田くんを実際に演じてすごいと思ったのは、相手の目をまっすぐ見て、自分が伝えたいことをはっきり伝えられる能力。町田くん本人は言いたいことを言っているだけですが、きちんとみんなが欲しい言葉を言っている。それに、みんなが町田くんに伝えることも、疑うことなく、すべてまっすぐ受け取れる。そこが町田くんの魅力、普通の人より長けた部分ではないかな」と考えを述べた。
猪原さん役の長澤は、もともと原作を読んでいたそうで「一体どんなミュージカルになるんだろうという緊張感とワクワクがありましたが、猪原さんを演じるにあたり、こんなに大事な言葉が(原作に)書かれていたんだなと気付いたり、自分の背中を押してくれるような楽曲を聴いてミュージカル版の魅力を感じたり、新しい発見ばかりでした」と振り返る。
母さん役の湖月は、町田くんと川崎の共通点を見つけたかと問われ、「劇中で町田くんが胴上げされるシーンがあるのですが(笑)、皇輝くんが稽古場で初めて胴上げされたときの、“浮かされている”感じと、下に降りたときのなんとも言えない不器用な感じを見て、『動く町田くんだ……!』と思いました(笑)。それとオープニングシーンで、私たちがセットを回し、町田くんがその様子を見上げているときに、メガネの下に皇輝くんのキラキラした目が見えて、感動しました。彼のまっすぐな眼差しに映る世界を、これからみんなで表現するんだなと思って」と興奮気味に話した。
一方の川崎は「目をキラキラさせていたと言っていただいたシーンは、実はまだ“町田”モードに入っていない状態で、『始まるのが楽しみだな』と思っている川崎皇輝が8割なんです」と明かし、「でも町田くんでしかなかったよ!」と湖月ら登壇者たちから驚かれる。川崎は「町田くんはなかなか周りにいるような子ではないので、自分と共通点ってあるのかな?と思っていましたが、そう言っていただけると自信になります。舞台上で素が見えてしまっていたのは僕の反省点ですが(笑)」とはにかんだ。
健一役の吉野は、稽古中のエピソードを問われ、ウォーリーの演出スタイルに言及した。「初めての稽古の日、3チームに分かれたキャストに、ウォーリーさんが原作のマンガを渡して、『まず適当にページを開いて。15分間あげるから、そのシーンを表現してみて』と突然言いました。僕は『ああ、この無茶ぶりスタイルが“町田くんの世界”か……』と(笑)。そんなふうに、キャストがクリエイティブに自ら考えながら、この作品を作ってきました」と明かす。川崎も「キャストが自分たちでセットを動かすこともあり、チームワークがあってこそ成り立つ作品です。最初の経験は、チームワークを築く第1歩になりました」と振り返った。
最後に、川崎が「『町田くんの世界』という作品は、忙しない世の中を生きる我々の心を優しさで包み込む作品です。ミュージカルだからこそ伝えられる魅力があるのではと信じ、カンパニーのみんなで作品を作ってきました。“誰もが観て心が温まる”作品を目指して、千秋楽までがんばってまいります。楽しみにして観に来ていただけるとうれしいです」と観客に向けてメッセージを送った。
上演時間は休憩なしの約2時間5分。シアタークリエ公演は4月14日まで行われ、その後、19日から21日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ公演が行われる。
ミュージカル「町田くんの世界」
2024年3月29日(金)~2024年4月14日(日) ※公演終了
東京都 シアタークリエ
2024年4月19日(金)~2024年4月21日(日) ※公演終了
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
スタッフ
原作:
脚本・作詞:
演出:
音楽・作詞・演奏:
出演
町田くん:
猪原さん:
氷室くん:
栄さん:
さくら:
英子先生:
ひかり:
吉高:岩橋大
西野くん:鶴岡政希
母さん:
健一:
スウィング
伊藤里紗 / 成海亮
※川崎皇輝の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
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ピンク地底人3号(ピンク地底人/ももちの世界) @pinkchiteijin3
『#町田くんの世界 』本日初日です🍳
実はミュージカルを書くのは初挑戦だったんですが、何の不安なく、書いている間、ずっと楽しかった。
稽古場には行けてないのですが、映像を見る限りでは傑作の予感。 好きなシーンがいっぱいです。
客席で号泣する準備は出来ています笑
僕も今日、駆けつけます! https://t.co/sPmFuVbqI2