ZOROMEHA企画が“はじかれゆく者”たちを捉え直す、清水邦夫作「夜よおれを叫びと逆毛で充す青春の夜よ」

ZOROMEHA企画Vol.4「夜よおれを叫びと逆毛で充す青春の夜よ」が12月7日から11日まで東京・小劇場B1で上演される。

ZOROMEHA企画は、浅井星光と南谷朝子による、清水邦夫の戯曲を上演するためのユニット。喜劇性や音楽性を持った戯曲に生演奏を加えて作品を立ち上げている。「夜よおれを叫びと逆毛で充す青春の夜よ」は、かつて清水が主宰していた木冬社の第1作として1976年に上演された作品で、同作にて清水は第11回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。

舞台はかつて栄えたニシン番屋。そこに隠れ住む“あに”を訪ねて、都会から“おとうと”が帰郷したことをきっかけに、彼らと義母を中心とした愛憎劇が展開する。“あに”役を務めるのは田中寅雄。“おとうと”役は、分裂人格を持つ人物が登場する清水戯曲「花飾りも帯もない氷山よ」に想を得て、浅井と南谷が2人1役で表現する。上演に向けてZOROMEHA企画は、「清水邦夫が追求し続けてきた人間の深層心理に潜む“狂気”に焦点を当てます。20世紀には“狂気”と括られていた人間の精神状態にメスを入れ、『解離性同一性障害』という視点で登場人物を捉えなおします」とコメント。「格差が広がる現代日本社会の中で、“はじかれゆく者”“叫びたくても叫べない者”の行く末に、何かしらの光を感じることのできる舞台にご期待ください」と意気込んだ。

なお本公演は銀チームと青チームの一部Wキャストで行われ、一部公演では映像配信も予定されている。