“人に渡す言葉の在り方”を考える、新国立劇場「正論≒極論≒批判≠議論」シリーズ始動

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新国立劇場 2021 / 2022シーズン 演劇ラインアップ発表会が本日3月8日に東京・新国立劇場で行われ、演劇芸術監督の小川絵梨子が登壇した。

新国立劇場 2021 / 2022シーズン 演劇ラインアップ発表会に登壇した小川絵梨子。

新国立劇場 2021 / 2022シーズン 演劇ラインアップ発表会に登壇した小川絵梨子。

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9月には、小川にとって芸術監督就任後初となる海外招聘公演「ガラスの動物園」を上演。フランス・パリの国立オデオン劇場の協力のもと、昨年3月にオデオン劇場の制作によりワールドプレミアを迎えたテネシー・ウィリアムズの代表作が、このたび日本初演される。既報の通り11月には、同劇場のフルオーディション企画第4弾「イロアセル」が上演され、作・演出を倉持裕が務める。12月には、1年間を通して作品を育てていく企画「こつこつプロジェクト ─ディベロップメント─」から生まれた「あーぶくたった、にいたった」を上演。本公演では、「こつこつプロジェクト」第1期に参加した西沢栄治別役実作品を立ち上げる。

小川絵梨子

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来年4月には、「人に渡す言葉の在り方を、他者との関係性を、今一度、立ち止まって考えたい」をテーマに掲げる「正論≒極論≒批判≠議論」シリーズがスタート。シリーズ第1弾では、アメリカの劇作家アニー・ベイカーの戯曲「アンチポデス(仮題)」を小川自ら演出する。第2弾では、アメリカの劇作家・脚本家・監督であるケネス・ロナーガンが手がけた「ロビー・ヒーロー」を、KAKUTAの桑原裕子演出で上演。第3弾では、スイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの代表作「来訪(仮題)」を、文学座の五戸真理枝が演出する。

また「こつこつプロジェクト」第2期が始動し、福山桜子船岩祐太柳沼昭徳の3人が参加することも明らかに。2019年にスタートしたロイヤルコート劇場×新国立劇場 劇作家ワークショップも現在進行中で、一般向けのワークショップや講演を行うギャラリープロジェクトも継続的に実施される予定だ。

小川絵梨子

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芸術監督4年目に突入した小川は「時間をかけて積み上げていくこと、一過性でなく、何年もかけてゆっくり浸透させていくことを、引き続き大事にしていきたい。どうしたら皆さんにとって演劇が身近なものになるか、自分たちより若い人たちに何を残せるかを考えながらラインナップを決めました」と思いを述べる。また来年4月から6月にかけて上演される「正論≒極論≒批判≠議論」シリーズについて、「SNSを含めて個人が発言しやすくなっている状況の中で、自分が発した言葉は意見なのか、感想なのか、批判なのか、文句なのか、誹謗中傷なのか、何かを変えたくて述べようとした言葉なのか……どういう性質を持った発言なのかを今一度考えたいと思って、『正論≒極論≒批判≠議論』というタイトルを付けました」と説明。同世代の演出家である桑原、五戸と共に、「正論≒極論≒批判≠議論」というテーマを作品に昇華して観客に届けたいと意気込みを語った。

なお2021 / 2022シーズンに新作はラインナップされていないが、来シーズン以降、新作の制作が予定されている。

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新国立劇場 2021 / 2022シーズン 演劇ラインアップ

海外招聘公演「ガラスの動物園」

2021年9月
東京都 新国立劇場 中劇場

作:テネシー・ウィリアムズ
演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
出演:イザベル・ユペール、ジャスティーン・バチェレ、シリル・グエイ、アントワン・レナーツ

フルオーディション4「イロアセル」

2021年11月
東京都 新国立劇場 小劇場

作・演出:倉持裕
出演:伊藤正之東風万智子高木稟永岡佑永田凜、西ノ園達大、箱田暁史福原稚菜山崎清介山下容莉枝

「あーぶくたった、にいたった」

2021年12月
東京都 新国立劇場 小劇場

作:別役実
演出:西沢栄治
出演:山森大輔、浅野令子木下藤次郎稲川実代子龍昇

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.1「アンチポデス(仮題)」

2022年4月
東京都 新国立劇場 小劇場

作:アニー・ベイカー
翻訳:小田島創志
演出:小川絵梨子

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.2「ロビー・ヒーロー」

2022年5月
東京都 新国立劇場 小劇場

作:ケネス・ロナーガン
翻訳:浦辺千鶴
演出:桑原裕子

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.3「来訪(仮題)」

2022年6月
東京都 新国立劇場 小劇場

作:フリードリヒ・デュレンマット
翻訳:小山ゆうな
演出:五戸真理枝

「こつこつプロジェクト ─ディベロップメント─」第2期

演出:福山桜子船岩祐太柳沼昭徳

ロイヤルコート劇場×新国立劇場 劇作家ワークショップ

ギャラリープロジェクト

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読者の反応

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飯田光穂 | NOISIE(ノイジー) @mihoiida_tw

>何か嫌な感じ
わかる気がする。
私は、マイノリティが生きるために切実に求めている公正や正義を、雑な両論併記で簡単に打ち消される感覚。

「正論≒極論≒批判≠議論」からは、レッドブルの「くたばれ、正論。」も連想した。

「正しさ」とか「正論」で遊べる人はいいよね、という感じ。 https://t.co/HJFJx9vmMG

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