「カメレオンズ・リップ」演出の河原雅彦「松下洸平くんは“弟感”がある」

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KERA CROSS 第3弾「カメレオンズ・リップ」の合同取材会が昨年12月下旬に東京都内で行われ、演出を手がける河原雅彦、出演者の松下洸平が出席した。

河原雅彦

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松下洸平

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本公演は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)の作品をさまざまな演出家の手で上演する「KERA CROSS」の第3弾。今回上演される「カメレオンズ・リップ」は2004年に東京・Bunkamura シアターコクーンにて初演された作品で、登場人物たちがうそをつき、だまし合う様が展開する。

河原と松下がタッグを組むのは、2017年に上演された音楽劇「魔都夜曲」以来となる。記者から当時の互いの印象を尋ねられると、河原は「洸平くんは若いけどキャリアをしっかり積んでいて、手堅い芝居をするのかなと思っていたら感情から入るタイプで、良い意味で“荒くれ”な俳優さんだったと記憶してます(笑)」と回答。一方の松下は「河原さんは本当に丁寧に根気強く、僕を含めた若手の芝居を見てくださいました」と、河原への信頼を語った。

「カメレオンズ・リップ」の初演版を「DVDで観た」と言う松下は「作品の完成度はもちろん高いですし、俳優さんお一人おひとりからものすごいエネルギーが伝わってきました」と印象を述べ、「今回は自分が持っているエネルギーを作品にどれくらい注ぎ込めるか、というところが課題であり楽しみ。たくさんのうそが入り混じる中、最終的に“ただの人間”になった人たちが放つエネルギーを感じていただきたいです」と目標を掲げる。

「KERAさんの作品は自分の作品とは真逆のイメージ」と話す河原は、KERA CROSSでの上演作に、劇団健康時代の初期作品を含めた数ある候補の中から「カメレオンズ・リップ」を自ら選んだと言う。その理由について「2004年、KERAさんがコクーンに初進出されたときの作品で、やはり野心作の筆の勢いってあると思うんです。登場人物がだましだまされる面白さで引っ張っていくと見せかけて、わけのわからない“沼”に引きずり込むような作品で、観客さえ煙に巻いてしまう。あえて整合性を取っていらっしゃらない部分もあって。そういう得体の知れない部分に魅力を感じて『カメレオンズ・リップ』を選びました」と語った。

今作では松下のほか、生駒里奈、ファーストサマーウイカ、我が家の坪倉由幸、野口かおる、森準人、シルビア・グラブ、岡本健一と多彩なメンバーが顔をそろえる。キャストについて河原は「いろいろな感性を持った人がそろいました。KERAさんの戯曲からそれぞれがどんなことを発想するのか気になります」と期待を寄せ、「オカケン(岡本)と僕は同い年で、昔から知り合いなのですが、一緒に仕事したことがなかったので楽しみ。ウイカさんとペアの役なので、本当にどうなるのか想像がつかないです」とほほ笑む。続けて「初演では深津絵里さんと堤真一さんが姉弟役でしたが、今回は生駒さんと洸平くんが姉弟になります。生駒さんに本を読んでもらったとき、想像していた以上にお芝居が“お姉さん”で、洸平くんは“弟感”があると思ったので、この2人でやってみようとなりました」とエピソードを明かす。また、音楽を担当する伊澤一葉(東京事変 / the HIATUS)に関しても「理想の布陣です」と自信をのぞかせた。

松下は「僕は心配性なので、いつもは稽古までに念入りにお芝居の準備をするのですが、今回はそれを止めてみようと思っています」と述べ、「その場で起こることをいかに新鮮に感じられるかが課題。本当にどうなるかわからないキャスティングなので、僕自身、鍛えられるでしょうし、すごく勉強になると思います」と稽古への期待をのぞかせた。

さらに河原が「今回は俳優さんの感性を信じてやってみようと思っていて、なんなら僕が稽古場に行くのは、2日に1回ぐらいにして、自主練したものを見せてもらおうかなと(笑)」と発言すると、松下は「凝り固まって1日終わる可能性もありますね(笑)」と返す。これに対して河原は「経験上ですが、例えば僕が稽古場に遅れて入るときがあって、役者さん主体で稽古を任せたら、シーンが面白くなってることが多いんですよ。だから今回も勝手にやっておいてもらえる時間があるといいな(笑)」と会場を笑いで包む。最後に松下は「お稽古が始まって、皆さんと一緒にお芝居をしてみないとわからないことも多いですが、初演のイメージに縛られず、新しい『カメレオンズ・リップ』を作り上げていきたいです」と意気込み、取材会を締めくくった。

「カメレオンズ・リップ」は4月2日から4日まで東京・シアター1010、11日に福島・南相馬市民文化会館 ゆめはっと、14日から26日まで東京・シアタークリエ、5月2日から4日まで大阪・サンケイホールブリーゼ、6日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて。なお5月中旬まで全国ツアーが予定されている。

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KERA CROSS 第3弾「カメレオンズ・リップ」

2021年4月2日(金)~4日(日)
東京都 シアター1010

2021年4月11日(日)
福島県 南相馬市民文化会館 ゆめはっと

2021年4月14日(水)~26日(月)
東京都 シアタークリエ

2021年5月2日(日)~4日(火・祝)
大阪府 サンケイホールブリーゼ

2021年5月6日(木)
愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

※5月中旬まで全国ツアーを予定。



作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:河原雅彦
音楽:伊澤一葉(東京事変 / the HIATUS)
出演:松下洸平、生駒里奈、ファーストサマーウイカ、坪倉由幸(我が家)、野口かおる、森準人、シルビア・グラブ、岡本健一

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※2021年4月24日追記:大阪公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。

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