松原俊太郎×地点が挑む新作はオンライン演劇「君の庭」

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昨日4月28日、2020年度ロームシアター京都自主事業である地点「君の庭」の製作発表会がオンラインで行われ、地点の三浦基、劇作家の松原俊太郎、京都・ロームシアター京都 プログラムディレクターの橋本裕介、愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 芸術文化プロデューサーの矢作勝義、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 事業部長の堀内真人が出席した。

地点「君の庭」の製作発表会の様子。

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「君の庭」は、ロームシアター京都、穂の国とよはし芸術劇場 PLAT、KAAT神奈川芸術劇場の3館が共同製作で立ち上げる地点の新作。台本を手がけるのは、「忘れる日本人」「山山」などで地点とタッグを組んできた松原だ。

地点「君の庭」の製作発表会の様子。

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まず会見冒頭で司会進行役の橋本が、「本作はオンラインを活用した演劇作品として上演する予定です」と説明。その理由として新型コロナウイルスに対する懸念を挙げ、「上演までに状況が好転せず、劇場のような集客施設での上演ができなかった場合、観客にも劇団にもダメージが大きいと考え、通常の上演形態ではなくオンラインを用いた発表を前提に、議論をスタートさせました」と述べた。また映演労連フリーユニオンと地点との間で元劇団員への解雇ならびにハラスメントに関する争いがあったことに触れ、公演主催者として、地点の創作状況や考え方、劇団運営に対する姿勢をできるだけ広く市民に発信していくことが必要だと語った。

続けて作品の内容について、松原と三浦が構想を語る。松原は「『君の庭』は天皇制をテーマにした作品です。天皇制はよくできたフィクションで、かつ現実でもある。自分たちにとっては当たり前すぎて、日常では気にかけない存在になっています。その距離感も含めて面白いと思い、年明けから書き進めてきました」と話す。「ただコロナによって上演の形態も変わることになりましたし、テーマも天皇制とコロナになると思います。状況が変われば発せられる言葉も変わらないといけないと思うので、今台本を書き直しているところです」と明かす。さらに「この作品を通して戦後からずっと使われてきたスケール、ものさしみたいなものを変えていけたらいいなと思っています」と意気込みを述べた。

そんな松原戯曲の魅力について三浦は「今回の状況に関わらず、時事ネタが多い作家ですね。総じて彼は、怒りを持っている作家だと思うので、今回その怒りがどう噴出してくるのかが楽しみです」と話す。そのうえで、「今日起こっていることが明日には変わっている、ということが日常になってきたので、(現在の状況を)俯瞰するには、作家にとってはまだ早すぎるのではないかという懸念もあります。でもそこはいつもの松原くんの緊張感で、いいセリフがいっぱい生まれるのではないかと期待しています」と語った。

地点「君の庭」の製作発表会の様子。

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具体的な上演方法については「暗中模索」と三浦。「もちろん9・10月の上演でこれまで通り、劇場にお客さんに集まってもらって上演ができれば、それに越したことはありません。ただ7月から稽古を予定しているものの、その時期に俳優やスタッフが集まること自体が現実的なのかまだわかりませんし、ならばむしろ『難しい』と仮定して実現できる方法をと思い、オンラインでできることを考えるようになりました。ただ、そもそもオンラインというようなことが僕は苦手なほうですから、仮に僕はこれを“予告演劇”って名付けたいんですけど、演劇の予告を提示できるようなシステムを考えていきたいと思っています」と構想を明かした。

橋本が「いわゆる映像のパッケージにするのではなく、京都と豊橋と横浜でそれぞれのお客さんが楽しめるような、俳優が何度も演じるような作品になるのですか?」と問いかけると「そうなるでしょうね」と三浦。「この間、Zoomで初めて読み合わせをしたのですが、まどろっこしさを感じて(笑)。でもその遠さを逆手に取ったようなパフォーマンスができれば」と述べた。

その後、話題は地点の劇団運営や創作姿勢に及ぶ。三浦は地点の創作スタイルについて「一言で言えば集団創作。地点の特徴として戯曲の解体、再構築とよく言われますが、演出である私はあくまで最終的なゴーをするだけで、(戯曲を再構築する)過程は俳優が作っています」と話す。また橋本が今回の団体交渉とその解決が劇団に与えた影響を問うと、三浦は「いろいろな方を結果的に巻き込んでしまったという印象があります。そのことは本当にご迷惑をおかけし、ご心配をおかけしたという思いがあります」と真摯に述べた。

続けて記者から「天皇制とコロナウイルスはテーマとしてどのように結びつくのか」という質問が寄せられると、松原は「実はけっこう似たようなところがあると思っています。つまり人間と非人間の共生ということが、共通して考えていけるのではないか」と答え、三浦も「天皇制は強固なヒエラルキーのもとにあるが、コロナはそれに関係なく侵食してまう、その点に関係があるのではないか。またコロナについて感じているのは、今回の体験によって、フィクションがどこにあるのか、フィクションと現実との距離感が変わってきたのではないかということです」と語った。

またオンライン読み合わせから得た実感について、三浦は「演劇的な要素として1つ感じたのは、俳優はそれぞれ、自分の顔に向かってしゃべるということ。その奇妙さを拡大解釈できるといいのかなと。ただ、Zoomを駆使してオンライン演劇を作ることは着地点として考えていなくて、あくまで演劇的手法の1つとして取り入れた形で作品ができればと思っています」と語った。

なおこの製作発表の様子は、後日、ロームシアター京都 公式YouTubeチャンネルにて公開される。

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地点「君の庭」

2020年9月 ※予定
京都府 ロームシアター京都 ノースホール ※予定

作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、小林洋平、田中祐気

※豊橋・横浜でも上演の予定あり。

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