ステージナタリー - 舞台・演劇の最新ニュースを毎日配信

物と人との関係を巡って、チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」稽古中

100

チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」公開リハーサルの様子。

チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」公開リハーサルの様子。

10月に上演されるチェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」の東京都内で行われている稽古が公開された。

「消しゴム山」は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市を2017年に訪れたチェルフィッチュの岡田利規が、急ピッチで進む復興工事の様子を見て考え始めた、“人間的尺度”を疑う新作。今回は、劇場(演劇空間)と美術館(展示空間)の特性やナラティブを捉え直した劇場版「消しゴム山」と、美術館版「消しゴム森」が制作される。なお今回の作品では、「家電のように解り合えない」や「わかったさんのクッキー」などで岡田とタッグを組んだ、現代美術家の金氏徹平がセノグラフィーを手がけ、舞台映像デザイナーの山田晋平とのプロジェクト“映像演劇”の手法も織り込みながら展開。また「消しゴム山」は「KYOTO EXPERIMENT 2019」のプログラムの1つとして上演される。

稽古場にはコードリールやタイヤ、水道管の一部、流木、石、発泡スチロールの棒などさまざまなものが雑然と置かれている。その中央で、青柳いづみがマイクを片手に、洗濯機が壊れてコインランドリーにやってきたこと、そこを訪れる人たちのことを話している。その日の稽古では“半透明”をキーワードに、物と人との関係を探っており、「人間に物が仕えているのではない関係を」という岡田の言葉を受けて、俳優たちはさまざまな道具を運んだり並べたりして、物や場をさまざまなものに“見立て”ていった。

また別の日の稽古では、“未来人の襲来”を巡って、出演者それぞれが手法を繰り広げるという稽古を行っていた。出演者たちは順番に、一見すると硬い口調で自説を披露する。しかしその内容は、同じ言葉をさまざまに言い換えながら繰り返しているようで整然とはしておらず、しかもそこに動きが絡まるとおかしみが増していき……。

稽古場では“ガシャポン感”をキーワードに、動きと言葉をいかに表出させるかが繰り返された。出演者たちがセリフの内容を身体で咀嚼し、腕や脚を伸ばしたりジャンプしたり、ムズムズと身体をくねらせたりする様を、岡田は時に頷き、時に笑いながら見つめている。そして1つの動きが終わるたびに、出演者たちは自分がどのようなイメージで動いていたか、岡田にはそれがどのように見えたかというやりとりが密に交わされた。

あるシーンでは、板橋優里がセリフの量以上に身体の動きが“多弁”だったため、岡田が「セリフを無くしてやってみましょう」と提案。その動きが面白かったため、急遽そのシーンだけ動きのみになるということもあった。また別のシーンでは、岡田が安藤真理に、あるセリフの一部を立てるように動いてみては、とアドバイスすると、安藤がすぐにそれに応じ、岡田が「今の流れはきれいでよかった、すごくよかったですね」と笑顔を見せた。その後も稽古は終始和やかなムードで進行し、少しずつシーンを進めながらネジを締めていくように展開していった。

「消しゴム山」は10月5・6日に京都・ロームシアター京都 サウスホール、2020年2月7日から16日(予定)に石川・金沢21世紀美術館 展示室7~12、14ほかにて上演される。「消しゴム山」の上演時間は1時間40分の予定。10月6日14:00開演回はポストパフォーマンストークあり。

チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」

2019年10月5日(土)・6日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

作・演出:岡田利規
セノグラフィー:金氏徹平
出演:青柳いづみ安藤真理、板橋優里、原田拓哉、矢澤誠、吉田庸、米川幸リオン

チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム森」

2020年2月7日(金)~16日(日)予定
石川県 金沢21世紀美術館 展示室7~12、14 ほか

作・演出:岡田利規
セノグラフィー:金氏徹平
出演:青柳いづみ、安藤真理、板橋優里、原田拓哉、矢澤誠、吉田庸、米川幸リオン

ステージナタリーをフォロー