これは、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市を2017年に訪れたチェルフィッチュの
今回の作品では、「家電のように解り合えない」や「わかったさんのクッキー」などで岡田とタッグを組んだ、現代美術家の金氏徹平がセノグラフィーを手がけ、舞台映像デザイナーの山田晋平とのプロジェクト“映像演劇”の手法も織り込みながら、人間中心主義から逸脱するような作品世界を描き出す。
上演に向けて岡田は「演劇という制度とか劇場という設備を、その場に集まった観客たちにその日の上演を最大級の強度で届けることを第一に考えて用いる、ということの、一歩先へと進んでいきたい。その場以外にも、そのとき以外にも向けられた上演をしていきたい。人間のためにだけではない演劇を、つくれるようになっていきたい」と語り、「人間の人間都合の尺度に対する態度が今よりもっとあっさりしたものになっているような未来が、仮にやってくるとして、そんなときにも演劇は、おそらく機能できる。でもそれは、今のそれとは違う仕方で機能する。その違う仕方というやつを、手探りで見つけていきたい。そのために、てはじめに、モノと人間と が、舞台上にともにあるその仕方がとてもごく普通で、にもかかわらずひとつの驚きでも同時にあるような上演を、つくってみようとおもっている」と意気込む。
金氏も「この新作において舞台美術として目指すものは、『タイムマシン』を作るような途方もないことかもしれません。『タイムマシン』もまた切断と接続の装置です。この装置を使って、例えば、物語を構成しない物や人、都市を構成しない構造物(モニュメント、記念碑)、人為の現実と舞台上の自然、完成のイメージを持たない状態での建設工事と未来が見えている状態での建設工事、物がそれぞれに持っている特有の時間やスケール、などについて考えてみたいと思います」と述べ、「今回の作品は劇場で上演されるだけでなく、美術館など、劇場とは違う文脈の空間、時間の流れの中でも展開されます。そこではただ単に場所を変えて上演するのでも、舞台美術が観客と地続きの空間に展示されるだけでもない状態を考えています。物語にとっての過去や未来としての、現実の時間や、そのリアリティが接続されるかもしれません。そのことで『物の演劇』と呼べるような時空を強化することができるのではないかと考えています」と語っている。
なお「消しゴム山」は「KYOTO EXPERIMENT 2019」のプログラムの1つとして上演され、チケットは7月26日に発売。「消しゴム森」のチケット発売日は後日発表される。
チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」
2019年10月5日(土)・6日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム森」
2020年2月7日(金)~16日(日)予定
石川県 金沢21世紀美術館 展示室7~12、14 ほか
作・演出:
セノグラフィー:
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- chelfitsch
- KYOTO EXPERIMENT|京都国際舞台芸術祭
- 金沢21世紀美術館 | 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa.
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木俣冬 @kamitonami
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