「八月納涼歌舞伎」が8月9日に東京・歌舞伎座で開幕した。ステージナタリーでは、第一部「伽羅先代萩」「闇梅百物語」、第二部「東海道中膝栗毛」の様子をレポートする。
第一部の幕開けを飾るのは、仙台藩で起こったお家騒動が題材の「伽羅先代萩」より「御殿」と「床下」。「御殿」では、足利家の家督を相続することになったため、命を狙われる鶴千代(中村長三郎)と、鶴千代を守る乳母・政岡(
女形の大役・政岡を今回初めて勤める七之助は、鶴千代への忠義のために、千松に厳しい態度を取らなければならない母親としての葛藤を繊細に表現し、観客の心を揺さぶった。長太郎は幼い主君である鶴千代を愛らしくも堂々と体現し、勘太郎は、母の期待に懸命に応える千松を健気に演じる。千松が自分の身を挺して鶴千代を守る場面では、あまりのいじらしさに客席からすすり泣きが聞こえた。
続く「床下」では、陰ながら鶴千代を守る荒獅子男之助(
第一部、2つ目の演目「闇梅百物語」には、「納涼歌舞伎」らしく、妖怪やお化けが次々と登場。第二場の「葛西領源兵衛堀の場」では、狸に扮した
第二部では、2016年から続く“弥次喜多シリーズ”の第4弾「東海道中膝栗毛」が上演される。前作で冥土に旅立った弥次郎兵衛(幸四郎)と喜多八(
幸四郎と猿之助によるコミカルながらも見事な早替りに、観客からは盛大な拍手が送られ、
なお第三部で上演されるのは、仇討ちを目論みつつ、芸の道を極める歌舞伎役者・中村雪之丞の物語を描く「新版 雪之丞変化」。映像を取り入れた、
「八月納涼歌舞伎」
2019年8月9日(金)~27日(火)
東京都 歌舞伎座
第一部
「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)御殿 床下」
乳人政岡:
仁木弾正 / 八汐:
沖の井:
一子千松:中村勘太郎
鶴千代:中村長三郎
小槙:
荒獅子男之助:
栄御前:
「闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)」
骸骨 / 読売:松本幸四郎
傘一本足:
小姓白梅:
河童:
新造:
籬姫:
狸 / 大内義弘:
雪女郎:中村扇雀
第二部
「東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)」喜多八 / 黒船風珍:
七化けお七:中村七之助
鎌川霧蔵:
貝蔵:坂東巳之助
お富:坂東新悟
兼松:
河内屋与三郎:
娘お千代:中村児太郎
熊木虎右衛門:
博労安蔵:
猫爪艶之丞:中村虎之介
森の石松:
追分の三五郎:
雲助染松実は伊月梵太郎:
雲助團市実は五代政之助:
飯盛女郎お蔦:中村鶴松
藪玄磧:
船頭寿吉:
女房おふつ:
荒海の鰐蔵:
登喜和屋おかめ:
天照大神:
猿田彦 / 娘義太夫豊竹円昇:
帆下田の久六:
乳母奥の井:
弥次郎兵衛 / 獅子戸乱武:松本幸四郎
第三部
「新版 雪之丞変化(しんぱん ゆきのじょうへんげ)」
中村雪之丞:
中村菊之丞 / 土部三斎 / 孤軒老師 / 脇田一松斎 / 盗賊闇太郎:市川中車
秋空星三郎:中村七之助
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