図夢歌舞伎「弥次喜多」の収録が、10月下旬に東京都内で行われた。ステージナタリーでは、収録現場の様子をレポートする。
これは、新作の歌舞伎作品をオンライン配信する企画・図夢歌舞伎の第2弾。2016年から毎年、東京・歌舞伎座で上演されてきた"弥次喜多"シリーズの最新作が、図夢歌舞伎として収録され、Amazon Primeに登場する。なお、第1弾「忠臣蔵」は今年6月から7月にかけてStreaming+で配信された。
図夢歌舞伎「弥次喜多」では、
劇中では、江戸の片隅にある商店を舞台にしたSF劇が展開。弥次郎兵衛と喜多八は、歌舞伎座で共に働いていたが、弥次郎兵衛は出世し、喜多八は弥次郎兵衛によりリストラされてしまう。路頭に迷った喜多八は、弥次郎兵衛の父が営む万屋・家族商店で働くことになり……。
撮影所には、「おぬしとよろずに 家族商店」とつづられた、どこか見覚えのある看板を掲げた商店が現れた。当日は、作品の冒頭部分が撮影された。今作で初めて監督を務める猿之助は、カットごとに収録した映像を確認し、「2人(幸四郎・中車)が商店に入ってくるのは、俺がセリフを全部言い終わってからのほうがいいよね」「ここはあんまりコントっぽくしないほうがいいね」と共演者に声をかけつつ、共に監督を務める藤森圭太郎にカメラワークやシーンの構図について確かめながら、スピーディーに撮影を進めた。
幸四郎は、気だるげな雰囲気で弥次郎兵衛を演じ、猿之助は店を切り盛りする喜多八をパワフルに好演する。一方、中車は、抜け目ない時枝をコミカルさを強調しながら演じた。また、過去作は仲むつまじさで観客の笑いを誘ってきた弥次郎兵衛と喜多八だが、今作の冒頭では、よそよそしい態度を取り合う。しかし、「カット!」の声ががかかった瞬間、それまでシリアスな芝居をしていた幸四郎と猿之助が、同時に「ンフフ……」と顔を見合わせて笑い出してしまう一幕も。2人の息の合った様子に、現場は和やかなムードで包まれた。
夕方、染五郎と團子が撮影所に現れると、2人のフレッシュさが撮影中の俳優陣の表情をほころばせた。染五郎は金髪の、團子は赤髪のかつらを被り、過去シリーズから一転した派手な衣装で、とある事情から不良になってしまった梵太郎と政之助の姿を体現。弥次郎兵衛と喜多八から「親の顔が見てみたいねえ!」と言われる、“弥次喜多”シリーズ恒例の“親ネタ”を挟みながら、染五郎と團子はみずみずしい演技で物語に華を添えた。図夢歌舞伎「弥次喜多」は、明日12月26日からAmazon Prime Videoでレンタル配信される。
なお本日12月25日には、本編映像が一部公開された。併せてチェックしよう。
図夢歌舞伎「弥次喜多」配信
2020年12月26日(土)~ ※市川弘太郎は声の出演。
原作:
監督・脚本・演出:
構成:
脚本:戸部和久
監督:藤森圭太郎
出演:
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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ryugo hayano @hayano
【制作現場レポート】今回の“弥次喜多”コンビはよそよそしい?染五郎・團子の不良姿も、図夢歌舞伎「弥次喜多」(動画あり) https://t.co/xNmtRVlkQ9