劇団四季「ノートルダムの鐘」オーディションに、オリジナル版演出家が来日

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12月に東京・四季劇場[秋]で上演される、劇団四季の新作ミュージカル「ノートルダムの鐘」。そのキャストオーディションが昨日4月18日から始まり、演出のスコット・シュワルツを囲んで記者会見が行われた。

劇団四季 ミュージカル「ノートルダムの鐘」カジモド役候補10名の本選オーディションの様子。(撮影:阿部章仁)

劇団四季 ミュージカル「ノートルダムの鐘」カジモド役候補10名の本選オーディションの様子。(撮影:阿部章仁)

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スコット・シュワルツ

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オーディション応募総数は約1600通。そのうち書類・予選審査を通過したのは、カジモド、エスメラルダ、フロロー、フィーバス、クロパンのメインキャスト5役候補の38名、アンサンブル候補の47名、クワイヤ(聖歌隊)候補の48名だ。18・19日の本選オーディションではメインキャスト5役とアンサンブルが、23~25日の本選オーディションではクワイヤが決定する。18日の夕方、約4時間に及ぶオーディションを終えたスコット・シュワルツは、その疲れを全く感じさせない笑顔で記者たちの前に姿を現した。

「私がこの作品をもっとも愛しているところは、物語が非常に複雑でかつ豊かであるところです」と、開口一番に本作への思いを語ったシュワルツ。続けて「この物語はまず、大人向けの物語なんですね。ディズニーアニメ映画版のほうはとても広く愛されていると思いますが、ミュージカル版の作家チームと話したときに、物語はヴィクトル・ユーゴーの原作にのっとった、大人向けのダークなイメージにしようということになりました。ただ、映画版の素晴らしい音楽を紹介することも、ミュージカル版にとって重要なことではないかということになり、スコアは映画版を使用することにしたんです」と、身振り手振りを交えながら、一気に語り始める。「さらに重視したかったのは、登場人物各人とそれらの関係性の複雑さに焦点をあてること。ミュージカルはわかりやすくするものなので、こういうやり方は珍しいかもしれませんが、この物語には細かいニュアンスやさまざまなレイヤーが含まれているので、そこにも焦点をあてたいと考えたんです」と話して、シュワルツはにっこりと笑顔を見せた。

ただし本作は、典型的なミュージカルとは少しイメージが違う、とも彼は説明。「この物語は、社会の中で個人が他者、つまり自分たちの仲間には入らないものに出会ったとき、どのような関係性を築くかとか、他者をどのように受け止めるかという問題につながると思っています。さらに愛や欲、救いの物語でもありますし、それが歪んだときにどれほどの破壊力が生まれるか、という問題も関わってくる、非常に壮大なミュージカルだと思うんですね。そしてそれらが素晴らしい音楽によって引き立てられている。私はこの作品にとても情熱を感じています」。オーディションについては「かれこれ8年もこの作品に関わっていますから、登場人物にもそれぞれ思い入れがあります。でも今日オーディションに立ち会って、お芝居も歌唱も非常にレベルが高い人ばかりだったことに非常に感銘を受けましたし、そのような素晴らしい方たちにこの作品に関わっていただけることをうれしく思いました」と満足げな笑顔を見せた。

劇団四季 ミュージカル「ノートルダムの鐘」エスメラルダ役候補6名の本選オーディションの様子。(撮影:阿部章仁)

劇団四季 ミュージカル「ノートルダムの鐘」エスメラルダ役候補6名の本選オーディションの様子。(撮影:阿部章仁)[拡大]

記者から、カジモドとエスメラルダ役を演じる俳優にはどのようなことを求めているか、と質問されると、シュワルツは「この2役はまず非常に美しい歌声を持っていることが重要です。と同時に、キャラクターの多面性を同時に表現できる人を求めますね。例えばエスメラルダは、純真さと自己防衛能力、それと自分のことを顧みず他人のために行動できる強さを持った女性です。さらにビックダンスナンバーを踊るのでダンス能力も必要ですし、男性の登場人物ほぼ全員から一目惚れされるので、美人であることも……と、本当にたくさんの要素を要求されると思いますよ!」と快活に語る。

カジモド役については「このプロダクションでは特殊メイクなどはせず演技だけで、彼の身体的特徴を表現するので、非常に身体的な表現力が必要ですね」とまずひと言。「さらに彼は、小さな頃から鐘のある塔で他者との関わりを持たずに育てられているため、内面的に非常に未熟で子供的であると同時に、年齢相応な大人としての欲求も持ち合わせている。無意識に怒りの感情もあり、そんな“光と影”を併せ持った人物だと思いますね。この作品の中の中心的な、魂のような存在です」と熱っぽく説明した。

具体的な演出プランについては、「人間性、登場人物たちの関係性を描くことをテーマに据えている」と言い、「中世のヨーロッパの演劇のテクニックからインスピレーションを受けていて、今回の演出でも現代の手法を使いつつ、人間発信の部分がとても大きい」と強調する。さらに「最終的な目標は、舞台上で起こっている物語とお客さんの距離を詰める、ということです。できるだけ余計なものを排除して、お客さんにも舞台上の群衆のひとりとしてこの物語を体験し、語っていただきたいと思っています」と述べて、シュワルツは再び満面の笑みを見せた。

海外版 ミュージカル「ノートルダムの鐘」のオリジナルロゴ。(C)Disney

海外版 ミュージカル「ノートルダムの鐘」のオリジナルロゴ。(C)Disney[拡大]

「ノートルダムの鐘」はヴィクトル・ユーゴーの代表作「Notre-Dame de Paris(ノートルダム・ド・パリ)」から想を得ている作品。15世紀末のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼で暮らす男カジモドと、大聖堂聖職者フロロー、同警備隊長フィーバス、ジプシーの娘エスメラルダを軸に展開される、愛と友情と葛藤を描いた人間ドラマだ。劇団四季が上演するのは、2014年にディズニー・シアトリカル・プロダクションズが製作したミュージカル版。1996年に製作されたディズニー劇場版長編アニメに基づき、「美女と野獣」「アラジン」のアラン・メンケン作曲、「ウィキッド」のスティーヴン・シュワルツ作詞、ピーター・パーネルの脚本、スコット・シュワルツの演出でサンディエゴにて舞台化された作品を、ブラッシュアップし上演する。

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劇団四季 ミュージカル「ノートルダムの鐘」

2016年12月
東京都 四季劇場[秋]

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あずき @azuki_vision

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