「とても幸せな10年」アジカン、ファン感謝祭で31曲捧ぐ

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONがデビュー10周年記念ライブを、9月14日と15日の2日間にわたり神奈川・横浜スタジアムにて実施。初日公演は「ファン感謝祭」と銘打った2部構成ライブを行った。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「ASIAN KUNG-FU GENERATION デビュー10周年記念ライブ ファン感謝祭」の様子。(photo by TEPPEI)

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後藤正文(Vo, G)(photo by TEPPEI)

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喜多建介(G, Vo)(photo by TEPPEI)

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山田貴洋(B, Vo)(photo by TEPPEI)

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伊地知潔(Dr)(photo by TEPPEI)

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ASIAN KUNG-FU GENERATION「ASIAN KUNG-FU GENERATION デビュー10周年記念ライブ ファン感謝祭」の様子。(photo by TEPPEI)

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ファンから募ったリクエストをもとにセットリストを作成し、結成の地である横浜でのライブに挑んだメンバーたち。事前に告知されていたように、ライブはサポートを入れた編成ではなく4人だけで行われ、ソリッドなバンドサウンドが集まったオーディエンスを圧倒した。

第1部は投票で11~30位に選ばれた楽曲が披露され、イントロが鳴るとどよめきが沸いたり、歓声が響いたり、ときにはハンドクラップが起きたりと終始大盛り上がりとなった。夕陽が差し込むスタジアムに足を踏み入れたメンバーは、客席エリアをぐるりと見渡し満足げに頷く。後藤正文(Vo, G)は観客に向かって拍手をすると、メジャーデビューシングル「未来の破片」のノイジーなギターイントロをかき鳴らしライブの幕開けを告げた。喜多建介(G, Vo)と伊地知潔(Dr)は微笑み合い、山田貴洋(B, Vo)も客席エリアに視線を向けながら太いグルーヴを作り出す。続く「エントランス」ではオーディエンスは拳を突き上げ、4人が奏でる音に身を委ねた。MCで後藤は開口一番「どうもASIAN KUNG-FU GENERATIONです。今日はファン投票で上位に選ばれた曲しかやらないんで、楽しんで帰ってください」と挨拶をすると、「すげえ懐かしい曲をやります」と初期のナンバー「Hold me tight」を届けた。さらに「電波塔」「アンダースタンド」と1stフルアルバム「君繋ファイブエム」からの曲を続け、懐かしいナンバーの連続に観客も大興奮。後藤は「『Hold me tight』は大学生の頃からやってた曲で、近くにあるCLUB24 YOKOHAMAっていうライブハウスでもやってて。当時は随分かわいい歌を歌ってるってバカにされたりもして、『Hold me tight. Hold me tight』って。あと英語が下手とか言われて」と作った当初のことを回顧。「この中にもそうやってdisった人もいると思うんですけど、そういう皆さんに復讐する場でもあると同時に、最大限の感謝を全身全霊で発しますので心のグローブでキャッチしてください」と彼らしい言葉で煽った。

夕暮れのシチュエーションが歌詞で描かれている世界とマッチした「君の街まで」、シンプルなアレンジがメロディや歌を際立たせた「ブラックアウト」のあとに連続で披露されたのは、「夏の日、残像」「夜のコール」「夏蝉」の3曲。特に「夏の日、残像」と「夏蝉」は夏の匂いが残るこの日のシチュエーションにぴったりハマり、ノスタルジックな空気を場内にもたらした。

後藤は「こういう会場でやるバンドにしては、地味だし、建ちゃんなんてシャツダメじゃん」と汗だくの喜多を指しつつ、「冴えない俺たちを応援してくれて、俺たちの曲をみんな聴いてくれたんだなって。1曲目から感動してたんですけど」「こんなにたくさんの人が観てくれてうれしいです。今日はクサイこといっぱい言いますんで」と素直な思いを吐露。そしてライブでは初披露となる「脈打つ生命」を勢いよく鳴らし、第1部の後半へと進んでいく。「十二進法の夕景」では力強いアンサンブルがゆったりと奏でられ、「未だ見ぬ明日に」では4人がそれぞれの音を確かめるように丁寧にアンサンブルを紡ぐ。深みのあるミディアムチューンが暗くなったスタジアムを彩った。

「俺たちがもっとエンタテイナーだったら、端から端まで走り回るんでしょうけど……」と後藤が口にすると、何かを期待するように客席から拍手が起きる。すると彼はまんざらでもなさそうに「ちょっとやってみるか」とステージを端から端まで全力疾走。息を切らしながら定位置に戻った彼は、「尊敬した。走り回ってる人たちを」「こういうことをするのは最初で最後だと思うけど、意外と味を占めたりして」と笑い、ほかのメンバーにも走るよう促すと、それに応えてそれぞれがステージを全力疾走し会場を大いに沸かせた。

その後、第1部の後半戦では、スタジアムを上下に揺らし、シンガロングを呼び起こした「ループ&ループ」、堰を切ったような後藤のエモーショナルな歌声が響いた「リライト」、陽気でダイナミックなコードが印象的な「迷子犬と雨のビート」を間髪入れずに披露。そして4人のコーラスが目玉の「ワールド ワールド ワールド」で一息入れると、伊地知のシャッフルビートが心地いい「新しい世界」をもって第1部は終了した。

夜空が広がる中で始まった第2部は、投票で選ばれた1~10位の楽曲を下から順番通りに演奏する形で進行。バックスクリーンには、ランクインした楽曲を表示する一覧と、ファン投票の順位とメンバーの順位を確認できる表が映し出される。後藤は「なかなかひさしぶりの曲が目白押しで、俺たちの今月の練習量たるや(笑)」と言いながらも、昔の楽曲を演奏することで思い出がよみがえっていることを明かす。さらに「15年、20年と続けていきますんで。よほどのことがなければ。また定期的にみんなの聴きたい曲を“奉仕”するようにしたいんで」と今後の展望についても口にした。そして第2部は投票で10位に選ばれた「絵画教室」から本格的に幕を開けた。

第2部序盤のMCで「俺たちの好きな曲と、君たちが好きな楽曲が一致するのかどうか……」と後藤が語っていた通り、中にはファン投票の結果がアジカンの4人の思惑とは異なった楽曲も。「それでは、また明日」はファンとメンバーも9位に選んでいたが、7位の「ムスタング」はメンバーの中では30位という順位だったりと次々明らかになるリアルな結果にどよめきが起きていた。

懐かしい楽曲も数多くランクインしているからか、後藤は第1部以上に冗舌に。1stアルバム「君繋ファイブエム」のタイトル決めで山田が「漢字とカタカナが混ざってて、意味がわからない!」と激怒したエピソードや、伊地知が結成当初はあまり練習に参加していなかったことなど、「みんなが選んでくれた曲のおかげで、よみがえってきて」とさまざまな思い出を語る。「思い出話をし始めると夜明けを迎えて、『RISING SUN ROCK FESTIVAL』になっちゃうんで(笑)」と、6位の「羅針盤」へとつなげていく。初期の荒さが光る同曲に続いては、ミディアムテンポの「或る街の群青」へ。曲の途中でスピッツがライブを行っている横浜赤レンガパーク付近で花火が上がり始め、後藤も「ちょっと観てみようかね。これ、スピッツじゃないかっていう話があって。パイセンありがとう!」と一息入れてメンバーとファンとともに花火観賞を楽しんだ。

「僕も好きな曲です」という後藤のひと言で始まったのは、ミディアムテンポの「海岸通り」。しっとりとした空気があたりを包み込んだ頃、伊地知の叩く軽やかな4つ打ちのリズムから「君という花」へ。後藤はハンドマイクでステージを駆け回り、サビ直前では「ラッセー!ラッセー!」の大合唱がスタジアム中に響く。ランキングを追うごとに観客の盛り上がりは加速していき、それとともにメンバーの演奏や歌もどんどん開放的に。ファン投票で2位に選ばれた「Re:Re:」が終わると後藤は「いろいろありましたけど、すごくミュージシャンとして幸せな10年だったと思います。本当にありがとう」と感謝を告げ「ソラニン」のイントロを爪弾いた。オーディエンスは4人の奏でるアンサンブルに耳を傾け、楽曲が終わると厳かな拍手を送った。メンバーが去ったあとにスコアボードでは、「ソラニン」がアジカンの投票結果で40位だったことが明かされ、意外な順位に驚きの声が夜空に響いた。

アンコールでは、後藤を除く3人が横浜DeNAベイスターズのユニフォームを着用して登場。後藤は「だって俺、聞いてないもん(笑)」と笑いつつ、バンド結成当時に使っていたというギターを掲げ、バンドの黎明期の思い出やメンバーへの思いを語る。山田については「アジカンをやめずにこれたのは、髪型が変わらない人が、髪型が変わらないように『このバンドはいいバンドなんだよ』ってバンドを転がしてきてくれたからだと思います」感謝を伝え、伊地知については「最初に会ったときはクソヤローだと思ったけど(笑)」と冗談めかしつつ「ドラム上手でしょ? 音楽的な進歩を助けてくれた、今ではバンマスみたいな存在です」と述べる。喜多に対しては「建ちゃんはもっとやれるよ。この人には惹かれるものがあるんだ。この3人とバンドがやれてすごくうれしい」と熱く述べる。そして「横浜の片隅で見つけられずにいたことを思い出すと今でも悪夢のような気持ちになるけど、いろんな人が自分たちの音楽を見つけてくれてうれしいです。新曲やります」と10周年をテーマに作られた「ローリングストーン」を初披露。爽快なロックチューンをうれしそうに演奏する4人の表情は、新たな門出を迎えた喜びに満ちていた。

「ファン感謝祭」のラストナンバーに選ばれたのは、1stミニアルバム「崩壊アンプリファー」の1曲目「遥か彼方」。現状に甘んじることなく、さらなる高みを目指すバンドの姿勢を表した曲が横浜スタジアムの夜空に轟いた。

ASIAN KUNG-FU GENERATION デビュー10周年記念ライブ ファン感謝祭
2013年9月14日@神奈川県 横浜スタジアム

<第1部>
01. 未来の破片
02. エントランス
03. Hold me tight
04. 電波塔
05. アンダースタンド
06. 君の街まで
07. ブラックアウト
08. 夏の日、残像
09. 夜のコール
10. 夏蝉
11. 脈打つ生命
12. 十二進法の夕景
13. 未だ見ぬ明日に
14. 橙
15. ループ&ループ
16. リライト
17. 迷子犬と雨のビート
18. ワールド ワールド ワールド
19. 新しい世界
<第2部>
20. 絵画教室
21. それでは、また明日
22. 転がる岩、君に朝が降る
23. ムスタング
24. 羅針盤
25. 或る街の群青
26. 海岸通り
27. 君という花
28. Re:Re:
29. ソラニン
<アンコール>
30. ローリングストーン
31. 遥か彼方

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Keiすけ @coupo203sakura

前回のファン感謝祭 #AKG https://t.co/Sw1iPtGWsr

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