ナタリー PowerPush - ASIAN KUNG-FU GENERATION × Music Unlimited

デビュー10周年アジカンが伝える 定額制音楽サービスの楽しみ方

9月14日と15日の2日間にわたり、神奈川・横浜スタジアムにて「デビュー10周年記念ライブ」を開催するASIAN KUNG-FU GENERATION。現時点でのキャリア集大成ともいえるこのライブに向けて、定額制音楽サービス「Music Unlimited」(ミュージックアンリミテッド)ではアジカンの過去タイトルが一挙に解禁された。

これまでインターネットを通じてリスナーとの新しいコミュニケーションを模索してきた後藤正文(Vo, G)に、定額制音楽サービスの持つ可能性、そしてアニバーサリーライブにかける思いなどを聞いた。

Music Unlimitedは「30日間980円のパブリックな試聴機」

──後藤さんは、自身のレーベル&音楽WEBサイト「only in dreams」を立ち上げたり、未来を考える新聞「THE FUTURE TIMES」を発行したり、ネットやメディアを通して幅広い活動をしていらっしゃいますね。「Music Unlimited」のような定額制音楽サービスについてはどんなイメージをお持ちですか?

後藤正文

自分ではまだほとんど使ってないんですが、こういったサービスがもっと普及すると一般に音楽との付き合い方は劇的に変わるだろうなとは感じますね。例えば夏フェス。どんな音楽好きでも、すべての出演アーティストのアルバムを事前に聴いていくのは難しいですよね。毎月山のようにCDを購入するのは現実的じゃないだろうし。そこを補完してくれるツールとして、定額制音楽サービスはアリなんだろうなと。

──実際「FUJI ROCK FESTIVAL」や「SUMMER SONIC」などの主要イベントについては、「Music Unlimited」上に特設チャンネルが作られて人気を集めていました。

予習だけでなく、ステージで見かけて気になったバンドの曲を帰宅してじっくり聴くというパターンもあるだろうし。そうやってバンドの取りこぼしをなくしたり、偶然の出会いを深めてくれるという意味でフェスとの親和性は高いでしょうね。俺らも「NANO-MUGEN FES」というイベントを主催していて。有名無名問わず、自分たちが心からいいと思うアーティストに出演してもらっているんだけど、やっぱりライブから作品への敷居は高いと思うんです。でも「Music Unlimited」に加入していれば、よかったバンドは即検索して帰りの車の中で聴くこともできる。そうやってみんなが「30日間980円のパブリックな試聴機」的な感じで利用して、気に入ったタイトルは実際に手に取ってくれれば、いろんな意味で音楽の裾野は広がる気がします。

──音楽との出会いの場としては有効だと。

うん。ただ一方で、音楽を作る側としては逆のことも考えてしまったりする。これだけ楽曲の選択肢が膨大になると、みんなアルバム単位では音楽を聴かなくなっていくかもしれない。音楽との向き合い方が、どんどんプレイリスト化していくというのかな……。デジタルアーカイブが当然になった時代、アルバムという表現にどんな意味を持たせていくかという問題意識も俺の中にはちょっとあります。

──でも、いみじくもアジカンには「マジックディスク」(2010年6月リリース)というタイトルの作品があるように、アルバムでしか表現できない“何か”は必ず残るのでは?

もちろん。少なくとも自分たちの作品については、そうありたいと思ってますし。特に「ファンクラブ」(2006年3月リリース)以降は、言葉の面でもサウンド面でも、アルバムという表現形式を意識して作ったつもりです。ただ、業界全体がそういう流れになってるかというと別の話で。現実にはシングルが数曲たまった段階で足りない分を書き足し、お手軽にまとめてリリースするパターンが主流だと思うんですよ。悪いとは言わないけれど、それはあくまでビジネス上の要請であって、表現上の必然じゃない。そんなアルバムだったら誰も聴かないよっていうか……。アートワークも含めてしっかり作り込んだものと二極化していくのは仕方ないのかなと。そもそも音の基本的なトーン1つとっても、スタジオ選びやレコーディングエンジニアによって全然違ってくるわけだし。そういう空気感や手触りも含めて、俺らは1枚のアルバムだと思ってるし……。すみません、話が少し逸れちゃった(笑)。

リスナーと新しい音楽をつなぐ“場”に育てたい

──9月14日と15日に開催される「デビュー10周年記念ライブ」のタイミングに合わせて、「Music Unlimited」ではアジカンの旧譜が聴けるようになりました。過去のアルバムを提供することになったきっかけはなんだったんでしょうか?

そう大げさではないけれど、より多くの人に聴いてもらいたいという思いがあって。俺らにとって初期のアルバムなんかは、例えて言うと「もう文庫本にしてもらってもいいかな」という感じなんですよ。ずっと“ハードカバー価格”で棚に陳列していても、手に取ってもらえる機会は減る一方だし。それよりは「Music Unlimited」に提供して、今までアジカンと縁がなかった人たちにいろんな聴き方をしてもらったほうがいいかなと。考えてみればバンド結成当初なんて、タダでもいいから自分らの曲を100万人に聴いてもらいたいと真剣に願ってたわけで。実際、サラリーマン時代にバンドやってた頃はホームページで楽曲の無料試聴とかやってたし(笑)。ミュージシャンの喜びって、本当はたくさんの人に聴いてもらうことじゃないのかなと思うんです。

──なるほど。

後藤正文

現実的には難しい問題があるとしても、少なくとも俺らは、こういう新しいサービスに対してネガティブな気持ちはない。なんでもそうだけど、最初から“ベスト”な状況を望むのは難しいと思うんです。定額制音楽サービス自体、まだ始まったばかりだし。結局のところ、みんなで知恵を出しながら「ベター」な使い方を探っていくしかない。もちろん、今自分が考えていることが正しいとは限らないし、この先、状況が変わることも十分ありえるけれども。少なくともインターネットにおける音楽サービスは、なるべくフリーに近付いていくのがいいと俺は思っています。その意味では「Music Unlimited」が、リスナーと新しい音楽をつなぐ“場”に育っていけばいいなと。現時点ではそう捉えていますね。

──試行錯誤を重ねながら、少しずついい方向に変えていく……このスタンスは後藤さん自身のネットとの付き合い方にも通じる気がします。

もちろんビジネスである以上、配分はフェアになされるべきだし。安さと利便性ばかりが強調されて、ミュージシャンという一次生産者へのリスペクトが失われてしまっては元も子もないと思う。このへんの構造は、例えば食品だったり衣服だったり、どんな産業にも言えることだよね。何をもってフェアとするか自体、とても難しい問題ではあるけれど……。でも、「Music Unlimited」がリスナーにとってもミュージシャンにとっても、できるだけ公平なシステムであってほしいとは強く思います。海外ミュージシャンの発言なんかを見ていると、音楽業界が構造的に変化して、若い世代が出てこられなくなったことを憂えてる人が本当に多い。欧米ほどシビアな状況でないにせよ、根本的には日本も同じだと思います。ほんと、若い子が音楽に希望を抱けなくなるっていう状況は大問題。このあたりに関しては、俺たちみたいにまがりなりにもデビューして音楽で食べていけるようになったミュージシャンが、責任を持ってモノを言ってかなきゃいけないと。

Music Unlimited(ミュージックアンリミテッド)

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ASIAN KUNG-FU GENERATION
(あじあんかんふーじぇねれーしょん)

1996年に同じ大学に在籍していた後藤正文(Vo, G)、喜多建介(G, Vo)、山田貴洋(B, Vo)、伊地知潔(Dr)の4人で結成。渋谷・下北沢を中心にライブ活動を展開し、エモーショナルでポップな旋律と重厚なギターサウンドで知名度を伸ばす。2003年にはミニアルバム「崩壊アンプリファー」がキューンレコードから異例の再リリースとなりメジャーデビュー。同年「FUJI ROCK FESTIVAL '03」や「SUMMER SONIC 2003」などの夏フェスに出演し、メジャー1stアルバム「君繋ファイブエム」を発表。2004年には2ndアルバム「ソルファ」でオリコン週間ランキング初登場1位を獲得し、初の日本武道館ワンマンライブを行った。
2010年には映画「ソラニン」の主題歌として書き下ろし曲「ソラニン」を提供し、大きな話題を呼んだ。2003年からは自主企画によるイベント「NANO-MUGEN FES.」を開催。海外アーティストや若手の注目アーティストを招き、幅広いジャンルの音楽をファンに紹介する試みも積極的に行っている。2012年1月には初のベストアルバム「BEST HIT AKG」を、4月にはシングル「踵で愛を打ち鳴らせ」をリリースした。2013年2月には映画「横道世之介」の主題歌「今を生きて」をシングルとして発表。同年9月にはメジャーデビュー10周年を記念して、横浜スタジアムで2DAYSライブを開催する。


2013年9月6日更新