ヒトリエ全国ツアーが六本木で終幕、爆音で鳴らして完成させたアルバム「Friend Chord」の世界

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ヒトリエの全国ツアー「ヒトリエ Freaky Friendship Tour 2025」のファイナル公演が6月22日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された。

ヒトリエとは?

wowaka(Vo, G)、シノダ(G, Cho)、イガラシ(B)、ゆーまお(Dr)の4人により結成されたバンド。ボカロPとして高い評価を集めていたwowakaがネットシーンで交流のあったシノダ、イガラシ、ゆーまおに声をかけ、2012年に活動をスタートさせた。2013年11月に開催したワンマンライブ「hitori-escape:11.4 -非日常渋谷篇-」にて、ソニー・ミュージックグループ傘下に自主レーベル「非日常レコーズ」を立ち上げることを宣言。2014年1月にメジャーデビューシングル「センスレス・ワンダー」を発表した。その後も精力的なリリースとライブ活動を展開するが、2019年4月にwowakaが急逝。残るメンバーは3名体制で同年9月より全国ツアーを行った。2021年2月に新体制で初のフルアルバム「REAMP」を発表し、2022年6月には新体制アルバム第2弾「PHARMACY」をリリース。2024年6月にメンバー4人それぞれが作曲を手がけた楽曲を収録したシングル「オン・ザ・フロントライン / センスレス・ワンダー[ReREC]」をリリースし、9月に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブを行った。11月にwowakaが作曲した楽曲4曲を収録したシングル「NOTOK」をリリース。2025年1月にニューアルバム「Friend Chord」をリリースし、本作を携えた全国ツアーを3月より開催する。

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

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六本木で繰り広げられた“悪い遊び”

ヒトリエは今年1月にメジャーデビュー10周年を記念してリリースしたアルバム「Friend Chord」を携え、全国13公演にわたる今回のツアー「Freaky Friendship Tour」を開催した。ヒトリエがEX THEATER ROPPONGIでライブを実施するのは2021年1月、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受けて急きょ無観客で行われた生配信ライブ以来で、有観客での開催は2018年のツアー「UNKNOWN-TOUR 2018 "Loveless"」以来実に7年ぶりとなった。

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)[拡大]

オープニングで披露されたナンバーは、アルバムでも1曲目を飾った「耽美歌」。ライブに対する思いを表した歌詞が轟音に乗せて届けられ、ステージとフロアが一体となり歌詞の通りに“悪い遊び”の始まりにふさわしい空気が醸成される。続いてゆーまお(Dr)が鳴らすダイナミックなタムの連打から「ジャガーノート」へ。オーディエンスのキレのあるハンドクラップ、シノダ(Vo, G)の煽りに答えてのコールが響き渡り、場内の熱気はみるみる上昇した。

ヒトリエ(撮影:西槇太一)

ヒトリエ(撮影:西槇太一)[拡大]

「ぶちかますぞ! 2018年以来の有観客の、EX THEATER ROPPONGI。ここに刻み込もう、俺たちの3分29秒!」というシノダの叫びに続いては「3分29秒」へ。狂乱状態のフロアに向けて3人は「Friend Chord」収録の「Quadrilateral Vase」を皮切りに、ファンからの支持も厚い「ワールズエンド・ダンスホール」「伽藍如何前零番地」を立て続けに披露。続いて再び「Friend Chord」から「月をみるたび想い人」を届け、会場のムードをゆったりとアンニュイな雰囲気へと変えていった。MCでシノダは六本木というこの日の立地について「フロアを見る限り六本木と縁遠そうな方が集まっていますが(笑)、ここに来るときドキドキしたでしょう」と軽口を叩いてオーディエンスを笑わせた。

この日のフロアは「みんなで駆け抜けてきた証」

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)

シノダ(Vo, G)(撮影:西槇太一)[拡大]

フロアを和ませたのち、シノダは「まともに帰れないぐらい体力を絞り尽くそうと思ってるんだ」と気合いを見せ、「SLEEPWALK」「Shadowpray」を軽快に歌う。中盤のハイライトとなったのは「Friend Chord」から披露された「おやすみなさい」。6分を超える長尺で3人が奏でる壮大なアンサンブルに、観客は我を忘れたようにじっくりと聴き入った。

シノダは会場を見渡し「こうやって人でパンパンになっているEX THEATERを見るのは2回目で……前回は誰もいなかった。誰もいないのに2DAYSやった(笑)」と、2018年と2021年のライブを振り返る。無観客となった前回の公演の悔しさを吐露しつつも「こうして正しい形でアルバムのリリースツアーのワンマンライブをやれることを幸福に思います。ヒトリエはアルバムを作ってツアーをやって、というある意味ロックバンドらしい動きをいろんな制限がある中でも止めることはなかった。こういう日を迎えるために続けてきたんだ、という確信に満ちています。みんなで駆け抜けてきた証だと思います」とコロナ禍からの日々に思いを馳せる。そして「爆音で鳴らすことでアルバムが完成します。今日、みんなで完成させよう!」と叫び、「ネバーアンダースタンド」の緻密な音像を届けた。

イガラシ(B)(撮影:西槇太一)

イガラシ(B)(撮影:西槇太一)[拡大]

イガラシ(B)のアグレッシブなベースソロから「踊るマネキン、唄う阿呆」、そして「NOTOK」がドロップされると再び会場の熱気が急上昇する。「2018年もここでやった曲があります。あの瞬間を超えるくらいのみんなの声が聴きたい、力を貸してもらっていいですか?」というシノダの言葉に続いて始まったのは「アンノウン・マザーグース」。オーディエンスが繰り広げる大音量のシンガロングにシノダとイガラシ、そしてドラムセットから立ち上がったゆーまおは感慨深げな表情で聴き入った。ラストナンバーはアルバムと同じく「ブルースプリングパンク」。疾走感に満ちた痛快なサウンドでライブが締めくくられた。

2026年には初のホールワンマン開催決定、

ゆーまお(Dr)(撮影:西槇太一)

ゆーまお(Dr)(撮影:西槇太一)[拡大]

アンコールに入る前、地元の東京でファイナルを迎えた心境を尋ねられたゆーまおは「東京で大きめのライブをやれるのは年に2回ぐらいだけなのでうれしいですね。ここ2年は海外でライブをやる機会も増えて経験も積めているので、いろんなことを東京に持って帰れていると思います」と喜ぶ。続いてマイクに向かうようシノダから促されたイガラシは「春先からツアーをやるといいこととよくないことがあって。いいことはシノダが『めっちゃ汗かいてる』ってMCをしなくなったこと。よくないことは、そうしたら天気の話しかしなくなったことです」と冷静な表情で語り、シノダを「この言われよう、すごくないですか?」と苦笑いさせた。

アンコールで映し出された初ホールワンマンライブ開催の告知。(撮影:西槇太一)

アンコールで映し出された初ホールワンマンライブ開催の告知。(撮影:西槇太一)[拡大]

オーディエンスの笑い声が一段落したところで、シノダは「この会場に来ると思い出す景色があります。ここのすぐ裏で、4人で撮った桜の写真に捧げます」と言葉をつなぎ、「さくらのいつか」を歌う。ステージ上には舞い落ちる花びらを模したレーザーライトがゆらめき、感動的な光景を彩った。「劇場街」そして続く「ハイゲイン」ではこの日一番大音量の合唱が響き渡る。アウトロで曲がブレイクした瞬間、ステージ後方には2026年2月26日にヒトリエ初のホールワンマンライブが東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われるという告知が映し出され、フロアからのすさまじい歓声でツアーファイナルが締めくくられた。

ホールワンマンライブ「HITORI-ESCAPE IN THE CUBE」のチケットは公式モバイルサイト「HITORI-ATELIER」にて、6月30日まで先行予約を受付中。7月5日12:00からはオフィシャルサイトでの先行予約受付も行われる。

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セットリスト

「ヒトリエ Freaky Friendship Tour 2025」2025年6月22日 EX THEATER ROPPONGI

01. 耽美歌
02. ジャガーノート
03. オン・ザ・フロントライン
04. 3分29秒
05. Quadrilateral Vase
06. ワールズエンド・ダンスホール
07. 伽藍如何前零番地
08. daybreak seeker
09. 月をみるたび想い人
10. SLEEPWALK
11. Shadowpray
12. おやすみなさい
13. ネバーアンダースタンド
14. 踊るマネキン、唄う阿呆
15. NOTOK
16. アンノウン・マザーグース
17. ブルースプリングパンク
<アンコール>
18. さくらのいつか
19. 劇場街
20. ハイゲイン

公演情報

HITORI-ESCAPE IN THE CUBE

2026年2月23日(月・祝)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

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ヒトリエ Freaky Friendship Tour 2025@東京 EX THEATER ROPPONGIツアーファイナルのライブレポート掲載

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