CLAN QUEEN「Secret Empire」インタビュー|「今の自分たちなら戦っていける」メジャー移籍作で表現するのは壮大な世界線と素直な心

CLAN QUEENがソニー・ミュージックレーベルズ内にプライベートレーベル「Princidom Records」を設立。その第1弾作品となるトリプルA面シングル「Secret Empire」を4月15日にリリースした。

2022年に活動を開始したCLAN QUEENは、音楽だけでなくビジュアルやミュージックビデオ、作品の世界観まですべてをコンセプチュアルに組み立てた活動を展開してきた。精力的なリリースとライブ活動を通じて瞬く間にファンダムを拡大した3人は、いよいよその活動の場をメジャーシーンへと移す。

音楽ナタリーでは「Secret Empire」のリリースに際し、yowa(Vo)、AOi(G, Vo)、マイ(B)へのインタビューを実施。CLAN QUEEN結成から現在に至るまでの道のり、メジャー移籍を決断した理由、シングル収録曲各曲について、そして今年12月に東京・東京ガーデンシアターで開催されるバンド史上最大規模のワンマンライブについて語ってもらった。

取材・文 / 蜂須賀ちなみ

たくさんの人と音楽でつながれている今

──もともと一緒にバンドを組んでいたAOiさんとマイさんがyowaさんに声をかけ、CLAN QUEENが始動したのが2022年。活動を始めるにあたり、最初に“ガイドライン”作りを行ったそうですね。

AOi(G, Vo) バンドのロゴの使い方やオフィシャルサイトのフォントの指定などデザイン面のルールや、自分たちの音楽のターゲット層など、CLAN QUEENの世界観をまとめたものです。その資料を、yowaを誘うときに渡しました。

AOi(G, Vo)

AOi(G, Vo)

yowa(Vo) 「こういう世界観で活動していこうと思っているんですけど、入ってくれませんか?」という感じで渡されて。「しっかりしてるな」と思いました(笑)。

マイ(B) 「好きなもの、一緒かな?」という確認を最初にしたかったんですよ。

AOi 一番大事なことだからね。前身バンドが終わってしまったのは、ボーカルと僕らの世界観に相違があったのが原因の1つで。その反省から、最初に世界観を定義しておくほうが建設的なんじゃないかと思って、ガイドライン作りから始めました。

yowa 私はもともと“ダークだけど上品”な表現がしたいと思っていたので、資料を見て「ああ、好きだな」「まさにこれだ!」と思って。

──好みが合うことが確認できて、そこから活動が始まっていったわけですね。

AOi yowaに入ってもらってから1曲目の「ヘルファイアクラブ」(2022年11月リリース)ができるまで、半年ほど試行錯誤しました。ガイドラインを作って世界観を明確にしたものの、実際に歌ってもらわないとわからない部分ももちろんあって。

──「ヘルファイアクラブ」リリース以降、CLAN QUEENの楽曲はすぐに大きな反響を呼びましたよね。中でも2023年リリースの楽曲「踊楽園」は、ノンプロモーションでSpotifyのバイラルチャートで6位を獲得しました。

マイ 偶発的ではあったよね?

AOi そう。だけど当時は「バズらせたい」みたいな気持ちも強く、ヒットを狙いながらコード進行や曲調を考えたんです。そんな曲が多くの人に届いたのは「間違ってなかったんだな」と思えたタイミングでもありました。

──そこから活動を重ねていく中で、ミュージックビデオや楽曲の反響も、ライブの規模もさらに大きくなっていったかと思います。

yowa ステージから見えるお客さんの数がどんどん増えていくのがうれしいです。かけ声を煽ったら、みんなが大きな声で返してくれるのも心強い。最近は大きな会場でライブをさせてもらえる機会も増えてきていて、「こんなにたくさんの人と音楽でつながれているんだ」という喜びを感じています。

CLAN QUEENのアルバムはマルチバース的な設計

──AOiさんは2ndアルバム「NEBULA」リリース時のインタビューで「5枚目のアルバムまでは構想が決まっている」とおっしゃっていましたよね。

AOi そうですね。5枚目までは決まってます。

──その大きな流れの中で、1stアルバム「VeiL」(2024年リリース)、2ndアルバム「NEBULA」(2025年リリース)は、それぞれどのような位置づけですか?

AOi 「VeiL」は愛について、「NEBULA」は知ることについて歌ったアルバムです。詳しくはまだ言えないんですけど、アルバムが5枚そろったときにすべてがつながるようにしたいなと思っていて。アルバムごとにストーリーがあるし、全体で1つの物語になるようにしています。違う世界線を描く、マルチバース的な設計です。

CLAN QUEEN「VeiL」ジャケット

CLAN QUEEN「VeiL」ジャケット

──壮大な構想ですが、まるっきりフィクションを歌っているわけでもないように感じます。

AOi 僕は、血肉の通っていない歌詞は書きたくなくて。まったくの虚構ではなくリアルな質感も大事にしているので、歌詞は全部自分の本心だし、そこに嘘はありません。CLAN QUEENの曲には、僕の人生観がそのまま入っているとも言える。だけどエゴだけで作りたくはない。主人公は聴いている人であってほしいので、共感できる余白を残しておくこと……「あなたの曲ですよ」と言いながら自分のことを書くことを、曲作りにおける信条としています。

──マルチバースという言葉を聞いて「もしかして」と思ったのですが、マーベル作品がお好きですか?

AOi そうですね、完全に(笑)。マーベルみたいに「この曲とこの曲は、実はつながっているんじゃないか」「今回のライブの演出がこうだったから、次はこんなテーマのアルバムが出るかもしれない」といった“考察”をできるようにしたら、バンドの楽しみ方がより広がるんじゃないかと思って。

マイ 最初の頃、AOiが図を描いて私たちに構想を説明してくれたんですよ。今はここにいて、次はここに行く予定で、最終的にここにたどり着きます、みたいな。ガイドラインと同じように、そういう道しるべがあるとブレずに制作ができるからいいですよね。私はマーベルをよく知らないけど、いろいろな要素を紐付けて考えながらコンテンツを楽しむのが好きなタイプなので。それをバンドでやれるのは、エンタテインメントとして新しいんじゃないかと思ってます。

──その大きな構想の中で、今のCLAN QUEENはどんな時期にいるんでしょうか?

AOi どのバンドにとってもそうであるように、1stアルバムである「VeiL」は自己紹介の作品でした。2ndアルバム「NEBULA」の制作期間は、アルバムのテーマも相まって、自分を掘り下げる期間になって。今はそれらを昇華しながら、次の段階に向けて新しい表現を試している時期です。

メジャー移籍は「筋肉がたくさんついたから大会に出よう」

──今回のシングル「Secret Empire」は、初のメジャー作品ですね。

yowa なんか「今だ!」って感じだったよね?

AOi そうだね。「NEBULA」でちゃんと自分を掘り下げられたからこそ、メジャーに移籍する選択ができたんだと思う。アルバム制作を通じて、バンドとしても個人としても成長できた実感があって。「今の自分たちなら戦っていける」という感覚を胸に、去年はフェスにたくさん出させていただきました。そこからさらにメジャーに移籍しますよ、という感じです。筋肉がたくさんついたから大会に出よう、みたいな(笑)。

CLAN QUEEN「NEBULA」ジャケット

CLAN QUEEN「NEBULA」ジャケット

マイ 去年は忙しなく活動させてもらって、ライブを重ねる中で鍛えられたというか、バンドの筋肉がついた感覚は確かにありますね。そういえばyowaが許容できるライブでの曲間も、どんどん短くなってきてるよね?

AOi そうそう。だいぶ短くしても「全然いけます」って言ってくれるから。

yowa 体力的にはキツくても、ライブの流れとしてはそっちのほうがいいと思ったら「いけます」と言うようにしているんですよ。内心「どうしよう」と思いながらも(笑)、そういう場面でもちゃんと対応できるように、去年の3月ぐらいからランニングを始めて。そういう意味でも、筋肉がついてきたのかなと(笑)。

yowa(Vo)

yowa(Vo)

マイ リアルな筋肉がね(笑)。

──環境が変わることに対する心境は、いかがですか?

AOi メジャー移籍をきっかけに何かを能動的に変えるつもりはなくて。それとは別に、僕は「NEBULA」を経て変わった自覚があるから、もしかしたらほかの人も「変わったね」と感じるかもしれません。それはメジャー移籍がきっかけではなく、「NEBULA」がきっかけなんだということは言っておきたいです。ただ、大衆化に向かっていきたいという気持ちは明確にありますね。

マイ AOiは素直になったよね。今、メンバー3人の中で一番素直だと思う。

AOi 心がツルツルになりました。それこそシングルの3曲目の「Dirty Little Secrets」は、心がツルツルじゃないと書けない曲で。

yowa 確かに。

AOi 今までの自分だったら、メンバーに対してこんなに素直に愛を伝えられなかったと思う。いらないプライドが折れて、大人になったなと我ながら思います。