積年の思いを晴らす「GREEN LIGHTS」
公演に冠されている「GREEN LIGHTS」は、miletが2020年春にデビュー後初めて行うはずだったツアーのタイトル。miletは約4年を経て同名のライブを行うことで、積年の思いを晴らしてみせた。本稿では横浜公演の初日の模様をレポートする。
観客がアリーナに足を踏み入れると目の前に広がるのは、濃いエメラルドグリーンのライトに染まったステージと客席エリア。開演時刻を迎えると、「GREEN LIGHTS」の世界に彩られた場内に期待と興奮に満ちた空気が立ち上る中、マイクを手に歌うmiletのシルエットと青々としたジャングルがスクリーンに浮かぶ。地を這うような重低音が響くトラックと、凛とした伸びやかな歌声が重なりダイナミックなサウンドスケープを構築し、ドラマチックな演出とともにライブの幕が上がった。
紗幕が振り落とされ、現れたのは真っ白なセットアップを身にまとい、ヘッドセットを装着したmilet。ステージの前方へと歩を進めた彼女は拡声器を手に、オーディエンスを煽るように「Green Lights」をパフォーマンスして幻想的な世界へと誘った。
弱い自分もありのままに
MAN WITH A MISSIONとのコラボ曲であり、テレビアニメ「『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」の主題歌として世界中でヒットを記録した「絆ノ奇跡」「コイコガレ」。この2曲が“miletバージョン”として披露されたあと、ステージにファイヤーボールが飛び交い「checkmate」への流れを作る。熱気が渦巻く中、miletは颯爽とランウェイを歩き、挑発的な表情でパフォーマンスを展開していく。
「5周年、特別な日に来てくれてありがとう。いつもとは少し違う気持ちでここに立ってます」と静かだが熱のこもった声で告げたmilet。続いてすうっと息を吸い込み、自身のデビュー曲である「inside you」をアカペラで歌い始めた。まっすぐでエッジが効いたその声は、天井を突き抜けるように響きわたり、会場を圧倒。曲が終わってからも、miletのエモーショナルな歌声の余韻にオーディエンスはしばらくの間酔いしれていた。
普段のライブでは自身や観客を鼓舞するような溌剌としたトークを展開するmiletだが、この日は「今日は弱い自分もありのままの歌に乗せてしまいたいと思っています」と告げると、感情の起伏を滝に例えた「Waterfall」を絶唱する。miletの頭上には、滝壺に向かって落ちていく水を思わせるスモークが降り注ぎ、複雑な心情を視覚的に伝えた。
「Anytime Anywhere」で広がった美しい景色
シリアスな空気で支配されていた会場の空気は、「HELL CLUB」のプロデュースも手がけたDJ. HiRAPARKの登場で一変。miletは「HELL CLUB」を皮切りに、大胆なリミックスが施された新旧のナンバーをノンストップでパフォーマンスする。たちまちアリーナはレイブ会場へと化し、強烈なダンスビートとそれに負けぬmiletのエネルギッシュなボーカルがオーディエンスを大いに踊らせた。
その後、ハイボルテージなDJタイムの間にmiletはゴージャスなドレスへと衣装をチェンジ。静寂に包まれた会場の真ん中に姿を見せた。「bliss」を歌とピアノをメインとしたシンプルなスタイルで届けたのち、ひと筋のスポットライトがmiletの背に当たる。続いて、ゆっくりとリフターが上がっていき彼女を高みへと導いた。会場全体を見渡せる位置へと達したmiletは、観客の視線を一身に浴びながら「Anytime Anywhere」をたおやかに歌唱。客席に手を向けるとフリフラ(制御型リストバンドライト)が多彩な光を放ち、鮮やかな景色を描いていく。観客の腕に灯る無数の光を前にmiletは天を仰ぎ、柔らかくほほえんだ。
ランウェイをしっかりと踏み締めながらステージに戻ったmiletは「Wings」「One Reason」を披露し、スケール感あふれる世界をその歌声で表現。このまま、ライブはクライマックスへ向かうと思われたとき、彼女はゆっくり言葉を紡ぎ始めた。「5年間歌ってきました。たくさん手に入れたけど、コロナでツアーが延期になったりなど、たくさんあきらめてきたこともあったと思います」と、困難を乗り越えてきた活動を振り返り、最後はマイクを強く握り締めて感情を爆発させるように「邂逅」を歌い上げた。
アンコールでまさかのクランクイン
「milet! milet!」あちこちから上がるアンコール代わりのコールを受け、miletはドレス姿のまま再び観客の前へ。ここで彼女は2025年公開予定の三木孝浩監督の映画に出演することを報告し、劇中で使用するライブのMCシーンを撮影することをアナウンスした。「実質、今日が初めての映画撮影なので、クランクインなのかな?」とおどけてみせる彼女に、愛するアーティストとの共演は大歓迎とばかりに大盛り上がりのオーディエンス。ステージ袖に待機する三木監督の「スタート」の声がかかると、俳優としての顔をお披露目してファンを魅了した。
一発OKでライブシーンの撮影を終えたmiletは、少し安堵した表情でエレキギターを手に。「I Gotta Go」「You made it」「The Hardest」「The Love We've Made」という自身がこの5年間で世に放ってきた楽曲を、ギターの弾き語りで歌いつないでいく。たった1人でステージに立つ彼女にエールを送るように、フリフラの光が灯り、星空のような光景が生み出された。
「こうやって1人でステージに立ってるのも楽しいけど……」と切り出し、自分を支えるバンドメンバーを呼び込んだmilet。友人のために拙いギターの弾き語りを披露したときに初めて歌手を志したエピソードを「うれしかったのは、私も友達も心の深いところを見せ合えた気がしたから。私の本音だったり心を受け取ってもらえたのがうれしかった」と話す。そして、「今日ここで歌えたことは、私の人生の大きな道標になるんだろうな……していきたいなと思いました」とまっすぐに前を見据え、自身の揺るぎない決意を「Who I Am」に重ねてこの日のライブを締めくくった。
なおmiletは8月から全国19都市を回る全国ホールツアーを実施。miletオフィシャルモバイルファンクラブ「miles」では3月25日23:59までチケットの先行予約を受け付けている。
セットリスト
milet「milet 5th anniversary live "GREEN LIGHTS"」2024年3月19日 横浜アリーナ
01. Green Lights
02. 絆ノ奇跡
03. コイコガレ
04. checkmate
05. Higher
06. inside you
07. Waterfall
08. Your Light
09. HELL CLUB~Higher~Outsider~SEVENTH HEAVEN~おもかげ~us
10. bliss
11. Anytime Anywhere
12. Wings
13. One Reason
14. 邂逅
<アンコール>
15. I Gotta Go~You made it~The Hardest~The Love We've Made
16. Who I Am
ライブ情報
milet全国ホールツアー
2024年8月3日(土)千葉県 市川市文化会館
2024年8月10日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
2024年8月12日(月・振休)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
2024年8月17日(土)岐阜県 長良川国際会議場 メインホール
2024年8月18日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2024年8月23日(金)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
2024年8月25日(日)北海道 旭川市民文化会館 大ホール
2024年8月31日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
2024年9月1日(日)岡山県 倉敷市民会館
2024年9月6日(金)大阪府 フェスティバルホール
2024年9月7日(土)大阪府 フェスティバルホール
2024年9月14日(土)香川県 サンポートホール高松 大ホール
2024年9月16日(月)京都府 ロームシアター京都 メインホール
2024年9月20日(金)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
2024年9月23日(月・振休)神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール
2024年9月28日(土)石川県 本多の森 北電ホール
2024年9月29日(日)新潟県 新潟テルサ
2024年10月9日(水)東京都 東京ガーデンシアター
2024年10月10日(木)東京都 東京ガーデンシアター
2024年10月19日(土)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホール
2024年10月20日(日)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
moeki🌹萌季🌹 @moekisss
#milet_GREENLIGHTS https://t.co/Qu2Ygze2HJ