「おっ始めようぜ東京!!」
大泉は自身の生誕50周年を記念して、昨年12月よりツアーを実施。武道館公演は、その締めくくりとして開催された。この日の舞台はアリーナエリアの中央に設置された八角形のセンターステージ。全方位から楽しめるステージセットの周りを1万3000人のオーディエンスが取り囲んだ。
開演時刻を迎えると、大泉本人の声でアナウンスが流れ出す。「ほかのお客様のご迷惑となる行為、例えばオナラは、マナーモードか匂いの出ない状態で」「アーティストへの野次、悪口は、テンションが下がりますのでなるだけワーキャーお願いします」「オフィシャルグッズを販売しております。ご来場の記念にぜひ……必ずお買い求め下さい」、捻りの利いたアナウンスに会場は早くも笑いと拍手に包まれる。ほどなくしてCUE ALL STARSの「Party Ya!!」がけたたましく流れると、客席は早くも総立ち状態に。四方に向けて設置されたLEDスクリーンが大泉のヒストリー映像から「オイズーミ」コールを煽る映像に切り替わると、左肩に甲冑、背中に赤いマントを着けた大泉がステージ中央に登場。「おっ始めようぜ東京!!」という雄叫びを合図に、大泉は沢田研二の「TOKIO」、そして「本日のスープ」を披露した。カジュアルなシャツ姿になった大泉は「会いたかったぜ子猫ちゃんたちー!!」「ようこそいらっしゃいましたー!!」と高らかな声で挨拶。歌詞のひと言ひと言を噛みしめるように歌う大泉の歌唱に合わせて観客は左右に手を振り、冒頭2曲で場内には早くも一体感が生まれた。
最初のMCで大泉は「始まりましたよ。恐ろしいね」「どこを見ても人がいるんですよね。僕ずっと回ってるんです。若干、目が回ってるんですよ」と語る。そして武道館の敷地内に展示されていた、本人曰く“絶妙に小さい”自身の黄金像や、武道館入り口に掲示された横断幕のデザインをいじり倒し、ライトで描かれた満天の星のもとで「星空のコマンタレブー」を披露。「君には」では、同曲が挿入歌となった2003年の「ドラバラ鈴井の巣 山田家の人々」の映像をバックにじっくりと歌声を聴かせた。その後大泉は「まだまだ盛り上がれますか武道館!?」と改めて観客を煽ると、白いマイクスタンドを振り回し見事なマイクターンをキメて「スマッシュヒットLOVEバシーン!」を披露する。曲の終盤では突如キャディが登場してボールをセット。大泉がゴルフのドライバーを振って、アリーナの四方八方に向けて次々とボールを打ち込んでいく。さらに彼が「疾れ!」をパフォーマンスすると、ドライブ感あふれる2曲にオーディエンスの熱気は最高潮に達した。
武道館に住む魔物
ここで大泉が一旦退場。会場には映像が流れ出し、「水曜どうでしょう」のディレクター・藤村忠寿と嬉野雅道との対話映像に場内が沸き立つ。リサイタルを「のど自慢」とイジり倒す藤村ディレクターに苦笑しながらも、大泉は今日のための映像を作ってほしいと発注。その映像に観客が期待を膨らませながらも、リサイタルは「昭和名曲ヒットパレード」へ。白いスーツ姿で登場した大泉が、小林旭「自動車ショー歌」、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、 松山千春「長い夜」を大らかに歌い上げていく。北海道を代表する歌手である松山の「長い夜」では、ハンドマイクの持ち方まで再現するという余念のなさだ。そして、いよいよ藤村・嬉野ディレクターによる映像を公開。「大泉ファッションショー」をテーマに、「水曜どうでしょう」のスタイリスト・小松江里子が用意した筆舌に尽くしがたい4つのコーディネートを着用した大泉がウォーキングを見せ、なぜか太鼓を叩くという衝撃の展開を見せる。「水曜どうでしょう」ファンにはおなじみの“ひぐまの洋”も挟んだ映像に大爆笑と拍手がひっきりなしに続く。その後披露された「手漕ぎボートは海をこえて」では、「水曜どうでしょう」の過去映像が流れ、客席から温かな拍手が起きた。
3回目のMCタイムでは、大泉が自身の無茶振りを認めつつ、藤村・嬉野ディレクターに映像を発注するのは「ヤミ金融からお金を借りるようなもの」「丸投げは最後に自分に返ってくる」と自戒。そして「コラーゲン。」「Top Of The World」「ふわり」を披露し、終盤戦へと突入する。「ふわり」では天井から無数に放たれたハート型のペーパークラフトがひらひらと舞い降り、場内が温かな空気に包まれた。その後ステージにはグランドピアノが登場。大泉は「ハナ~僕とじいちゃんと」を弾き語りで届けようとするも、イントロがうまく弾けずに再チャレンジを繰り返す。「武道館には魔物がおる!」「あんなに練習したのに」「リハではうまくいったのに」「『SONGS』のメイキングが入っているのにー!! ここは使わないでくださーい!!」とうなだれる大泉に爆笑と拍手が送られ、7回のミスを経てようやくイントロをクリア。ひまわり畑の映像をバックに、大泉と観客の「シャララ シャララ いつか会える」「ワララ ワララ かならず来る」の大合唱が響き渡った。そして大泉は「ふわり」を書き下ろしたTAKURO(GLAY)への感謝、少年時代に父と訪れたという故郷に立つ塔の思い出、作曲を手がけた玉置浩二から寄せられたという作詞のアドバイスを語り、「あの空に立つ塔のように」を歌唱。ラストに相応しい熱唱を見せ、リサイタル本編を締めくくった。
“スペシャルなアンコール”はあの曲……
盛大な手拍子に応えて再び登場した大泉は、バンドメンバーの田中義人(G)、山田章典(B)、nang-chang(Manipulator)、田中栄二(Dr)、松本圭司(Key)、バンドマスター・NAOTO(Viollin)、コーラスの小此木麻里、まりゑ、会原実希らを紹介する。そして彼は、武道館のために用意した“スペシャルなアンコール”として、マイケル・ジャクソンの名曲「Man In The Mirror」をパフォーマンス。マイケルの細やかなブレス、ソウルフルな節回しやシャウトを再現した熱演で、会場には笑いと拍手が沸き起こる。そしれ最後に彼は「バカね…冬」から「バカね」を続けて披露。「愛してるよー!!」というコールに「俺も愛してるよー!!」と応え、「晴れのそーーーーらーーー」とロングトーンの絶唱でオーディエンスを魅了した。彼は「ありがとうございました!! ありがとうね、武道館!!」と感謝を述べ、花道を歩きながら何度も投げキッスを繰り返す。そして体を抱きしめるジェスチャーでオーディエンスに感謝を伝え、リサイタルの幕を閉じた。
セットリスト
「TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II- 生誕50周年記念!!大泉洋リサイタル in 武道館」2024年2月2日 日本武道館
01. TOKIO(原曲:沢田研二)
02. 本日のスープ
03. 星空のコマンタレブー
04. ビーチドリーマー
05. 君には
06. スマッシュヒットLOVEバシーン!
07. 疾れ!
08. 自動車ショー歌(原曲:小林旭)
09. また逢う日まで(原曲:尾崎紀世彦)
10. 長い夜(原曲:松山千春)
11. 手漕ぎボートは海をこえて
12. コラーゲン。
13. Top of the World
14. ふわり
15. ハナ~僕とじいちゃんと
16. あの空に立つ塔のように
<アンコール>
17. Man In The Mirror(原曲:マイケル・ジャクソン)
18. バカね...冬
19. バカね
※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
水曜どうでしょう最新情報《非公式》 @jundou_com
【大泉洋情報】
大泉洋が初の武道館で熱唱!1万3000人に笑いと感動届けた50周年記念リサイタル
https://t.co/hW4N8BOoKm