NOMELON NOLEMONが2月11日に3rdフルアルバム「EYE」をリリースした。メンバーのツミキ、みきまりあは前作「ルール」から約2年半、アニメなどのタイアップを通じて短い尺でキャッチーに届ける感覚を磨きつつ、商業性に寄りすぎないためのバランスも探ってきたという。ニューアルバムは既発シングル曲も含め、制作前からプロットを組み立てて生み出され、新曲には“世界”という言葉が共通して記されている。
ツミキが考える「ポップスってなんだろう?」の答えと、みきまりあが体感した「温度感の高さ」。12曲に宿る、今のノーメロのモードを探る。
取材・文 / 森朋之撮影 / 大橋祐希
前作から2年半
──3rdアルバム「EYE」、素晴らしいです。ツミキさん、みきまりあさんの才能、センス、今のモードがさらに強く影響し合い、NOMELON NOLEMONのオリジナリティが明確になった作品だと感じました。
ツミキ ありがとうございます。光栄です。
みきまりあ うれしいです。
──前作「ルール」から2年半ぶりのアルバムとなりますが、この2年半はノーメロにとってどんな期間でしたか?
みきまりあ やっていることはそんなに変わってないと思いますね。音楽に集中して、「ノーメロとしてよりいいものを作る」ということを目指す。それをひたすらやっていた感じです。
ツミキ うん。あとはシングルに注力した期間でもありましたね。これまでの2作(アルバム「POP」「ルール」)は最初からアルバムを前提として制作したんですけど、その後は1曲入魂みたいな時期があったんです。
みきまりあ 「どうにかなっちゃいそう!」もそうですね。いかにキャッチーにするか、聴きなじみいい曲にするかを意識していました。
タイアップ曲にもしっかり宿るノーメロの思い
──「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」挿入歌の「ミッドナイト・リフレクション」「HALO」「きえない」、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱」のエンディングテーマ「水光接天」などアニメ作品とのタイアップも多数収められています。
ツミキ そうなんですよ。短い尺の中でいかにキャッチーに届けられるか、自分たちの思想やプライドみたいなものをどうパッケージするかも考えました。そういう取り組みは初めてだったし、面白かったですね。
──タイアップ曲の機能を果たしつつ、ノーメロとしてやりたいことも表現する。
ツミキ 商業的になりすぎないように取り組みたかったんです。もちろんそういう機能も必要ですけど、ゼロからイチを作る段階ではあまりデザイン的にならないようにしたかったんです。
みきまりあ 歌に関してもこだわりは強くなってますね。ただ、最近は「引き算も大事だな」と感じています。こだわりすぎると聴きづらくなることもあるし、ちょっと客観視できるようになってきたのかな。
ツミキ まりあにだいぶ甘えているところもあるんですよ。僕は思いついたことをどんどん入れるタイプだし、タイアップに関しても、アニメのテーマや台本をもとにして「いかに自分の思想を取り入れるか」という大喜利を楽しんでます。歌については「あとはポップにして!」と任せることが多かった。
みきまりあ デモ音源はツミキさんがボーカロイドで打ち込んでくれているんですけど、それを聴くと「こういう感じで歌ってほしいんだろうな」というのがわかる。そこまでディレクションしてもらわなくても、阿吽の呼吸みたいな感じもあるんじゃないかな。
ツミキ 僕の想定を超えてポップになることもあるし、斜め上のアプローチをしてくることもある。そういうやり取りも面白いんですよ。
思想や哲学をポップスに込めるバランス
──ノーメロを立ち上げるときに「J-POP」というテーマを掲げてましたが、そこも一貫してるんですか?
ツミキ はい。特に今回のアルバムは、ポップスとしての強度を意識しました。今のトレンドもそうだし、メロディや歌詞を含めて、自分たちがやるべきことをポップスの中に投下するというか。
──ポップとアートのバランスも必要ですね。
ツミキ それはもう日々戦いです。いかに自分の哲学をポップに昇華するか、いろんな要素が複雑に入り混じってますね。うまく言語化できないんですけど、すごく緻密に制作しています。「ここはポップに聴かせたい」「1小節先は思想を込めたい」といった形で。
みきまりあ 私はそこまで細かいことは考えてないですけど(笑)、曲が届くたびに「ポップにしようとしているんだな」ということはすごく感じます。それに見合うようにじゃないけど、さらにポップな歌声で返そうと思ってましたね。
──アルバムの全体像については?
ツミキ シングルやタイアップ曲の制作に入る前に、アルバムのプロットを作ったんです。
みきまりあ アルバム全体の構想みたいなものが先にあったんだよね。
ツミキ シングル曲もそのプロットに沿ってるんです、実は。
“世界”をちょっとだけよくできるのがポップス
──収録曲には統一された世界観やストーリーがあるんですね。アルバムの新曲には、どの曲にも“世界”というワードが入っていますが、これも意識的なんですか?
ツミキ そうですね。「ポップスってなんだろう?」とすごく考えたら、もしかしたら世界をちょっとだけよくすることなのかなと思ったんですよ。インナーワールド的な世界もそうだし、実際の世界のこともそうですけど、聴き手それぞれがイメージする“世界”がある。それをちょっとだけよくするのがポップスの役割なんじゃないかなと。
みきまりあ なるほど。確かに“世界”がいっぱい入ってますね……。
ツミキ そういう説明をあえてしてないんですよ(笑)。僕がああだこうだと考えて、それを曲に落とし込む。それを受け取ったまりあが、説得力を持ったポップスにしてくれるという役割。「説明的になってもよくないな」と思って、あまり話さないようにしてたかもしれないですね。
みきまりあ なので、歌のほとんどは私なりの解釈ですね。そのほうが新鮮な気持ちで歌えるし、レコーディングしながらいろいろな発見もあるから。「EYE」の楽曲に共通しているのは、温度感の高さだと思ってるんですよ。熱量のすごく高い曲ばかりだなという印象があったんですけど、さっきのツミキさんの話を聞いて、腑に落ちました。
──世界中でひどいことが起こり続けてますからね。少しでもよくしたいと思っている人も多いだろうし。
ツミキ 確かに悲しいことが多いし、厭世的になりがちかも。音楽で世界を変えるのは難しいってわかってるんですけど、だからといってあきらめているわけではないです。自分なりの落としどころが「世界を少しだけよくする」なんだと思います。
文明カイカの音がする
──では、アルバムの新曲について聞かせてください。1曲目の「カイカ」はオルタナ的な音像が印象的なナンバーです。
ツミキ アルバム全体を通して宇宙的な世界観を描きたいという構想もありました。「カイカ」もそんなイメージで制作しました。冒頭の「さあ行こう」は、宇宙飛行士のガガーリンがボストーク1号に乗り込むときに言った言葉なんですよ。すごくロマンがあるなと思ったし、この言葉をもとにして宇宙に飛び立つところを曲にしてみたいなと。
みきまりあ デモ音源を聴いたとき、ツミキさんが好きな1970年の大阪万博のことを思い出したんです。開幕式の映像を観るとすごく盛り上がっていて、「この瞬間に世界が動いたんだな」という雰囲気がある。この曲からはそれに通じるものを感じたんです。そのとき「文明開化っぽい曲だね」と言ったら、ツミキが「そうそう!」って。
ツミキ うん。「カイカ」は文明開化から来てるんですよ。
──ツミキさんは「太陽の塔」を作った岡本太郎さんも好きなんですよね。
ツミキ めちゃくちゃ好きですね。「EYE」というアルバムタイトルは記号的な感覚で付けたんですけど、岡本太郎もずっと目を描いてたんですよ。「眼は存在が宇宙と合体する穴」という言葉も残してますけど、改めて考えてみると、本当にそうだなと思って。この世に在るすべてと自分をリンクさせるものですからね、目は。
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