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サカキナオ「熱帯魚」ジャケ写

サカキナオ 熱帯魚

驚きと楽しさが押し寄せてくる──多彩なファクターをスッキリとポップにまとめる手腕

文 / 森朋之

和洋折衷にして温故知新。古きよき音楽を現代的なポップミュージックに転生させるスタイルにより、確実に注目度を高めているサカキナオの2026年第1弾シングル「熱帯魚」は、1曲の中に多彩なファクターを自然に込めまくるセンス、そして、聴けば聴くほど深みにはまり込んでいく中毒性をたっぷり注いだ、これぞサカキナオ!なポップチューンだ。

まず印象的なのは、めくるめく音楽世界が繰り広げられるアレンジとサウンドメイク。しなやかなファンクネスを感じさせる冒頭パートで耳をつかまれ、歪んだギターとシャウトによってハードロック味が加わったかと思ったら、サビでは軽やかな開放感が演出される。さらに、鼓っぽいポポポポン!という音やジャズ的なエッセンスも取り入れられ、こんなのあり?という驚きと楽しさが押し寄せてくるのだ。これだけの情報量をスッキリとポップにまとめる手腕はやはり伊達ではない。

歌詞のモチーフは“水槽”。清らかな“あなた(淡水魚)”と汚れを抱えた“俺(海水魚)”が同じ水槽にいる。ともに救い / 救われる関係でありつつも、相手を濁らせてしまっているのでは?という息苦しさもある──という内容なのだが、これは恋人、家族、友達、そして音楽家とリスナーの関係などにも置き換えられ、つまり誰が聴いても共感してしまう普遍性が備わっているのだ。いくら考えても答えはなく、悩んだり工夫したりするしかないという曖昧さを歌いながらも、最後はスコーンと気持ちよく解放してくれるサカキナオのボーカルの強さにもぜひ注目してほしい。

ちなみに、淡水魚と海水魚を同じ水槽で飼うことは基本的にムリ。しかし、近年になってそれを可能にする水の開発に成功した大学があるそうです。あなたが今、「あまりうまくいかないな」と思っている相手との関係も何かのきっかけで好転するかも。「熱帯魚」をリピートしながらそのときを待ちましょう。

サカキナオ「熱帯魚」Music Video

サカキナオ「熱帯魚」
2026年2月11日(水)配信開始 / Scrum Wave Music
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作詞・作曲:サカキナオ
編曲:大久保友裕

サカキナオ

サカキナオ

シンガーソングライター。eggmanとNTTドコモと吉本興業が立ち上げたNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディション「Catching Wave Audition 2024」にて、2024年1月に初代グランプリを獲得。プロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより、第1弾シングル「神退治」を10月に配信リリース。2025年10月にリリースされた第6弾シングル「命・命・命」は又吉直樹の原作・脚本によるショートドラマ「死生の峠」の主題歌に使用されている。最新曲は2026年2月に配信リリースされた「熱帯魚」。