大原櫻子×阿部真央「裸になって」対談|初タッグで急接近、切なくも力強い失恋ソング誕生

大原櫻子が、阿部真央による書き下ろし楽曲「裸になって」を配信リリースした。

「裸になって」は大原の新境地と言える、感情をむき出しにして別れの痛みを歌い上げるロックバラード。1月10日に30歳の誕生日を迎えた彼女が「デビュー当時では絶対に歌えなかった」と語る、切なくもエネルギーに満ちた失恋ソングだ。

これまで接点のなかった大原と阿部はいかにしてタッグを組み、この曲を作り上げたのか? 音楽ナタリーでは対談をセッティングし、2人の出会いや、阿部のソングライターとしての矜持、大原の歌声の魅力やそれを引き立てるアレンジについて語り合ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 堅田ひとみ

「ナメんな!」「最高かよ!」

大原櫻子 私、大原櫻子、1月10日に30歳になりまして。真央さんも数日後に誕生日ですよね(※取材は1月中旬に実施)。1月生まれ同士!

阿部真央 そうそう。私ももうちょっとで誕生日(1月24日)。同じ1月生まれでうれしいよね(笑)。

左から大原櫻子、阿部真央。

左から大原櫻子、阿部真央。

大原 そんな私の30歳一発目の楽曲として、真央さんに「裸になって」という曲を書いていただけてうれしいです。そもそものきっかけは、「Traveling」(2025年6月リリース)というアルバムから一緒に制作をさせていただいているディレクターさんからのオススメだったんです。「Traveling」ではいろいろなアーティストの方に楽曲を書いていただき、それまでのポップな大原櫻子というイメージにとらわれない新たな自分の姿を表現することができて。そのうえで、じゃあ次はどうしようかっていう話をしているときに、そのディレクターさんが、繊細な心を持ちながらも力強く立つ女性像を描くのが得意な阿部真央さんの楽曲を私に歌わせたいというアイデアを出してくれたんです。私としても真央さんのことはずっと存じ上げていたし、女性としても憧れの存在だったので、もし書いていただけるのであればぜひ歌いたいですとお話をして、正式にオファーさせていただきました。そうしたら快く引き受けてくださって。

阿部 「やります!」ってすぐ言いましたよね(笑)。だってね、櫻子ちゃんに楽曲提供できるなんて絶対楽しいじゃん。私も櫻子ちゃんのアーティスト活動は知っていたし、俳優さんとしての活動ももちろん知っていました。ただ、実際にどういう人なのかまではあまりわからなかった。そこが面白いと思ったの。周りから見ても、櫻子ちゃんと私の接点ってまったく想像できないと思うんですよ。「え、なんで!?」みたいな。そういう意外性も個人的には好きだから、すぐにお受けしたんですよね。さっきディレクターさんの意図を話してくれましたけど、私にオファーが来るってことは、よほどのクセ強な理由があるんだろうなとも思ったし(笑)。

大原 あははは!

阿部 そこで指名されたことが誇らしく感じられたんです。ただまあ、実際にお会いするまではどんな人なのかがまったく想像できなかったんですけど。たぶん、みんなに言われるよね?

大原 めちゃくちゃ言われるんですよ! こういう取材とかを受けてても、「え、なんか思ってた方と違いますね」って言われることが多いですし。

阿部 そうそう。実際、会ってみるとイメージと全然違うと思った。

大原 なんなんでしょうね。別に素を隠してるわけでもないんだけど、「お花畑で本読んでそう」みたいなパブリックイメージがあるようで。今までの楽曲から受けるイメージが強いのかな。実際は「まったくその要素ないッス」みたいな感じなんですけど(笑)。

阿部 わかるわかる(笑)。実際、会うまではこんなにとっつきやすい人だとは思ってなかったですからね。私としてはまっすぐ“好きなタイプの女の人”って感じ。自ら手を差し出してくれて、がやがやと腕を組んで楽しく話せるみたいな。こんな人なかなかいないと思うんですよね。いい意味で裏切られて、一気に「好き!」ってなった(笑)。

大原 いやーうれしい! 逆に真央さんに対してはイメージ通りだったかもしれないです。楽曲を聴いていても思ってましたけど、物事を多方面からしっかり眺めて、いろんなことを考えてらっしゃる方だなって改めて思いました。同時に、こちらから何をしゃべっても全部受け入れてくれそうな器の大きさも感じましたし。だからこそ自分自身のことを全部知ってもらいたいと思えたというか。

大原櫻子

大原櫻子

阿部 うん。すごい映像も見せてくれたしね(笑)。

大原 そう(笑)。真央さんにはロックな魂を感じていたので、最初の打ち合わせのときに「実は私もロックな曲をやったりするんですよ」ってお話をさせてもらったんです。「READY GO!」という曲があって、音源ではけっこうかわいい感じなんですけど、ライブでは鬼軍曹って呼ばれるくらい「オラー!」と煽ってまして(笑)。それを知ってもらうためにライブ映像を観ていただきました。「私、実はこんな人なんです」って。

阿部 あれはすごかった。大爆笑だったもんね。お客さんがみんなヘロヘロになりながらもめっちゃ声出してるのに、「まだイケるだろ!」みたいな。しかも1回、「ナメんな!」って言ったのよ。こんなにみんながついてきてくれてるのに、「ナメんな!」って何よと思って(笑)。

大原 年々ヤバさが増してるんですよね。冷静に見ると、ファンのみんながかわいそうって自分でも思う(笑)。まあでも、それを観てもらうことが楽曲作りのヒントになるのであればと。

阿部 ヤバイよねえ。その映像を見せてくれたのが打ち合わせの最後だったんですよ。もうすっかり好きになってはいたけど、さらに「最高かよ!」と思いましたね(笑)。

これはあんまり加減をしなくて大丈夫だな

大原 もちろん、その打ち合わせでは楽曲の方向性についてもお話させていただきました。それこそ真央さんの得意な勢いのあるロックで、という話もスタッフ間ではあったんですけど、今回は繊細さがありつつ、エモーショナルな雰囲気を持った楽曲が歌いたいなと思ったので、ロックバラードっぽいものをオーダーさせていただいた感じですね。歌詞についてはお任せという形でお願いしました。

阿部 私に依頼してくださったことも含め、新しい大原櫻子さん像を見せたいという意図がすごく明確だったので、じゃあそのイメージを持ち帰って作ってみます、と。結果的にできあががった曲は、私自身がそのときに体験したことや過去から引っ張ってきた、かなり個人的な思いを描写した内容になりました。歌い手である櫻子ちゃんを通していろんな人のもとに届く曲なので、あまり私のイメージがつかないほうがいいなとは思いつつ、とりあえずその形で提出させてもらって。もし「ここはちょっと」っていう部分があれば全然書き直すつもりではいたんですけど、結局そのままを受け入れていただけた形になりました。私的には、かわいそうな女の人の曲を書かせてもらっちゃった、って感じ(笑)。

阿部真央

阿部真央

大原 いやもう、できあがったものを聴いた瞬間、ソッコーで真央さんに電話して。「めちゃくちゃいい曲ですね!」ってお伝えしちゃいました。真央さんご自身の体験が書かれているということですけど、幅広く、いろいろな方が共感してくれる曲だなとすごく思いました。

阿部 そうね。この主人公は本当にかわいそうだから、あんまり共感してほしくないですけど(笑)、同じような経験をしたことのある人はけっこう多いとは思うので、「わかる!」と言ってもらえたらすごくうれしいです。それを櫻子ちゃんに歌ってもらえる喜びもありますしね。

大原 真央さんはいろいろな方に楽曲提供をされていますけど、その対象によって書き方を変えているんですか?

阿部 たぶん自然と変わってると思いますよ。まずご本人のキャラクターがあるし、その方が世間に持たれているイメージも、さらにその向こう側にはファンの存在もありますからね。それらすべてを考えたうえで、どう書けば受け入れられやすいかっていうところでの加減をしてるんだと思う。櫻子ちゃんの場合は、「READY GO!」のライブ映像を観たときに、「あ、これはあんまり加減をしなくて大丈夫だな」とは思ったよね。

大原 じゃあ、あの映像はヒントになったんですね(笑)。よかった。

阿部 そうね(笑)。櫻子ちゃんのファンの方たちに対してもそう思えた。このファンの方々は櫻子ちゃんがやったことに全力でついてきてくれるだろうから、加減をしなくても大丈夫だなって。だからこそ、しなやかな強さを楽曲に携えることができたんだと思う。