AliAとBIGMAMA競演、バイオリン×ロック内包したアンサンブルが鳴り響いた一夜

AliAとBIGMAMAによるツーマンライブ「ライブナタリー “AliA × BIGMAMA”」が、8月3日に東京・渋谷CLUB QUATTROで開催された。

バイオリニストを擁するロックバンドという共通点があるAliAとBiGMAMA。対バンライブでの競演は今回が初となった。

先攻のBIGMAMAはMCをほぼ挟まずに全14曲をパフォーマンスし、ライブバンドとしての気概を見せ付けた。ライブは「Strawberry Feels」でスタート。イントロを東出真緒（Violin, Key, Cho）によるバイオリンソロにアレンジし、冒頭から観客に鮮烈なインパクトを与える。金井政人（Vo, G）が歌い始めた途端にオーディエンスが歓声を上げたのは「the cookie crumbles」。バイオリンの流麗な音色や金井の透明感のあるハイトーンボイス、アッパーなロックサウンドが混ざり合い、場内に熱気が立ち昇った。5人が跳ねるようなリズムの「POPCORN STAR」でさらに盛り上げたところで、金井は「ライブナタリーにようこそ」と言葉少なにオーディエンスを歓迎した。

BIGMAMAは1曲目の「Strawberry Feels」を筆頭に、メンバーそれぞれの見せ場のあるステージングを展開。柿沼広也（G, Vo）の荒々しいギターソロを合図に始まる「荒狂曲“シンセカイ”」、安井英人（B）の軽やかなベースが冴える「Swan Song」、Bucket Banquet Bis（Dr）がパワフルなドラムソロで魅せる「走れエロス」と、それぞれのメンバーにスポットが当たるたびにオーディエンスからは感嘆の声が上がった。さらに「No.9」では金井がさわやかな歌声と涼やかなアコースティックギターの音色を響き渡らせ、場内に清涼感のある明るいムードを広げた。その後も5人は勢いを落とすことなく人気曲「秘密」「かくれんぼ」などをエネルギッシュにプレイ。BIGMAMAは最後に、今秋リリースの新体制初のアルバム（タイトル未定）に収録される新曲「虎視眈々と」を力強く演奏し、バンドの最新のモードを打ち出してステージをあとにした。

後攻のAliAは黒を基調としたそろいのデザインの衣装を着たEREN（G）、TKT（Key）、AYAME（Vo）、RINA（Violin）、SEIYA（B）に、サポートドラマーのRYOTAを加えた編成で登場した。先に会場を温めたBIGMAMAは2002年、AliAは2018年に結成されたバンド。AliAは1曲目の「AliVe」で、先輩バンドに続く出順ということを感じさせないような、胆力のあるパフォーマンスを披露した。しかしその後AYAMEは、「（BIGMAMAが）超いいライブしていて、どうしようって思って本当に緊張しました」と心情を吐露した。そしてAliAはハードコア調のサウンドが印象的な「limit」、AYAMEがタオル回しを煽る「ユートピア」で一気にオーディエンスのテンションを引き上げる。「ノスタルジア」ではエモーショナルな歌唱や美しいバイオリンの音色を基調としたアンサンブルが鳴り響いた。

「今のAliAの思いを全部込めました」とAYAMEが前置きしてから歌唱したのは、今年6月に配信リリースされた「animation」。彼女は反骨精神が表現された歌詞を気迫に満ちた表情で歌い上げたあと、「まだまだいけるよね？」と観客を焚き付けて「impulse」へつなげる。AliAはキャッチーなサビでオーディエンスをハンズアップさせ、さらにシンセウンドを取り入れた「まあいっか」を続けてフロアを熱狂の渦で包んだ。MCではAYAMEとRINAがBIGMAMAの東出とプライベートで親交があることを明かし、ERENは過去にBIGMAMAのライブを観に行っていたことを語りつつ「音楽を続けているとこうやって出会うんだな」と感慨深げな表情を浮かべた。そしてAliAはラストナンバーとしてスケール感のある「かくれんぼ」をセレクト。メンバーの歌声が重なり壮大な雰囲気の中、AYAMEは笑顔でピースサインを掲げ、場内にピースフルな余韻を残してライブを終えた。