「アルティメットホームランツアー」は、最新アルバム「angels」を携えて昨年5月にスタートした全国ツアー。2月10、11日に大阪・大阪城ホール、18、19日に東京・日本武道館で“ファイナルシリーズ”が行われた。なお、このファイナルシリーズでは、日本初使用となるスピーカーシステム「L-ISA」が採用され、立体感のある音響でマイヘアの音楽が観客に届けられた。
青色の照明に照らされたステージに椎木知仁(G, Vo)、山本大樹(B, Cho)、山田淳(Dr)が登場すると、客席からはメンバーの名前を呼ぶ声が飛び交った。拳を突き合わせた3人は、椎木の「はじめようぜ! 武道館!」という呼びかけから「カモフラージュ」でライブをスタート。「サマー・イン・サマー」を披露したのち、高らかに「運命」を会場中に響かせた。スポットライトに照らされた椎木は、1992年に生まれてから2008年にMy Hair is Badを結成するまでの日々や、結成から10年を経て初めて日本武道館に立った日のことを振り返る。さらに初の日本武道館公演から5年が経ったこの日のライブについて、「最高のマイヘアやりにきました!」と宣言。その言葉に呼応するように響いた山田の力強いドラムに、山本と椎木は自身の音を重ねながら「ドラマみたいだ」をパフォーマンスした。
その後、会場に集まった観客に改めて感謝の思いを伝えたメンバーは、曲名と同じく緑一色に染まったステージで「翠」をプレイ。リスナーは体を揺らしてこの曲を楽しみ、続く「接吻とフレンド」では一斉に手拍子をして盛り上がった。次にマイヘアは淡い黄色の照明に照らされて「正直な話」を柔らかに響かせる。椎木は「間違いとわかっていて、熱くなっている誰かの恋を冷ましますように」と、客席を見渡したあと「綾」を情感たっぷりに披露し、続いて「最近のこと」を歌い上げる。演奏スタートと同時に、ステージが赤く色付いたのは「真赤」。椎木は熱を込めてこの曲を歌い上げ、アウトロで「悲しかったこともつらかったことも全部忘れちゃうんだよ! 全部忘れられるぜ!」と叫んだ。
椎木はこの日の公演の開演が16:00と早かったことに触れ、「16時スタートってよくない?」メンバーと観客と問いかける。それにいち早く頷いた山本は「(ライブが終わったら)飲みに行けるもんね」と返し、「そういうつもりではなかった」と笑う椎木を横目に、「みんなとは行かないよ」と客席のファンをからかった。椎木が「次、5年後に(日本武道館で)3DAYSやって、3日目にみんなで打ち上げする?」と提案するとファンは大きな拍手で賛同の意を示す。この提案に前向きな姿勢を見せた山本だったが、酔っ払った椎木を想像して「めんどくせえな……ナシで!」と冗談めかしながら断りを入れた。
椎木は、このあとのライブをさらにぶち上げていきたいと語り「人に(何かを)求めるときってまず自分からじゃない? 好きになってもらうには、まず好きにならなきゃいけなくない? 優しくされたいなら優しくならないといけなくない? だからぶち上げるために、俺はぶち上がろうと思ってる」と力説した。そして「武道館! 俺のことドキドキさせてみろよ! 誰よりもドキドキしてやるから!」と声を張り上げると、勢いよく「アフターアワー」を投下。その勢いのまま3人は間髪をいれずに「グッバイ・マイマリー」「仕事が終わったら」「ディアウェンディ」をハイテンションにパフォーマンスした。椎木は「今夜一番カッコいいのは俺に決まってるだろ!」と叫び、ステージを大きく使って熱演を繰り広げる。さらに「リルフィン・リルフィン」をアグレッシブに披露し、アップテンポなナンバーで固めたブロックを駆け抜けた。
武道館に集まったファンの1人ひとりに「今夜だけは大丈夫にしてやるから」と告げた椎木が披露したのは、アドリブで言葉を紡いでいく「フロムナウオン」。「画面越しじゃなく直接触れに来たんだ」と力強く語り、「ロックでもブルースでもない、ヒップホップでもない、ポエトリーでもない、じゃあこれはなんなんだよ? 間違いない。当たり前だMy Hair is Badだ」と自分たちのスタンスを表明する。そのまま「戦争を知らない大人たち」「花びらの中に」を演奏した3人は、薄く焚かれたスモークがステージを包む中、「白春夢」を披露。そして、大切な人や物への思いを込めて「味方」を歌い上げた。
本編の終盤に差しかかった頃、椎木は「My Hair is Badを夢中になってやれてすごく幸せです」と、ここまでのライブを振り返り素直な感想を口にする。そして昨年5月より行ってきたツアーを振り返り、「残りの3曲はみんなを抱き締めるつもりで歌う」と宣言した。「すごい優しい歌だよ」という彼の曲振りで始まったのは「宿り」。この曲で山本は涙ぐみながらも、温かな音色を奏でた。椎木が「告白!」と曲名をコールすると、客席からは大きな拍手が。曲中では椎木の煽りに応えた観客が全力で拳を振り、会場内のボルテージが最高潮に引き上げられた。勢いをつけたマイヘアは「歓声をさがして」を躍動感たっぷりにプレイ。椎木はアウトロで「歓声も拍手も俺らの全部も! 全部、全部みんなにあげるから、幸せになってくれー!」と叫んで、ステージをあとにした。
アンコールを求める拍手に応えて再びステージに登場したMy Hair is Bad。椎木と山本がマイクを通して他愛のないやりとりを重ねていると、2人の後ろから山田がマイクを通さずに「ありがとー!!」と声を上げた。2人はその声通りのよさに「なんでマイク通さないで、そんなに声通るんだよ!」とツッコミを入れるなど、にぎやかなトークを繰り広げた。
和やかなムードの中で彼らはバンドのロゴをバックに「瞳にめざめて」を軽やかに演奏。「優しさの行方」では椎木がラストに「愛するべきこの先と、愛するべき過去、全部持って次に行こうぜ!」とポジティブなメッセージを残した。そして「クリサンセマム」をパワフルにパフォーマンスすると、客席に向けて手を振った。メンバーが去ったあとも拍手は鳴り止まず、それに応えてステージに戻ってきた3人はダブルアンコールとして「月に群雲」をプレイ。「人に嫌われたくないなら人のこと嫌うなよ!」と叫んだ椎木は「エゴイスト」でギターをかき鳴らし、熱狂のうちに約10カ月におよんだツアーに幕を下ろした。
なおMy Hair is Badはツアーの振替公演として、4月6日に広島・広島CLUB QUATTROでSIX LOUNGEと、4月24日に神奈川・F.A.D YOKOHAMAでサンボマスターとツーマンライブを行う。
My Hair is Bad「アルティメットホームランツアー」2023年2月19日 日本武道館公演 セットリスト
01. カモフラージュ
02. サマー・イン・サマー
03. 運命
04. ドラマみたいだ
05. 翠
06. 接吻とフレンド
07. 正直な話
08. 綾
09. 最近のこと
10. 真赤
11. アフターアワー
12. グッバイ・マイマリー
13. 仕事が終わったら
14. ディアウェンディ
15. リルフィン・リルフィン
16. フロムナウオン
17. 戦争を知らない大人たち
18. 花びらの中に
19. 白春夢
20. 味方
21. 宿り
22. 告白
23. 歓声をさがして
<アンコール>
24. 瞳にめざめて
25. 優しさの行方
26. クリサンセマム
<ダブルアンコール>
27. 月に群雲
28. エゴイスト
アルティメットホームランツアー(※振替日程)
2023年4月6日(木)広島県 広島CLUB QUATTRO
<出演者>
2023年4月24日(月)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
<出演者>
My Hair is Bad / サンボマスター
My Hair is Bad @MyHairisBad
【ライブレポートでも振り返ろう #マイヘア武道館】
2.19 日本武道館ライブレポート!
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